産業

ケミストリー世界史

人類の進化を、化学の面から俯瞰する。どちらかと言えば世界史概説の要素が強い。種々の語源をメインに、エピソードをちりばめているが如何せん網羅的で焦点を欠く。もう少しケミカルに集中して欲しかったが、プラスチックの歴史はこ20世紀に入ってからな…

日本半導体復権への道

80年代に一世を風靡した日本の半導体産業。時代に対応できずシェアは一けたに。その復活への道筋を解く。期待はロボティックス。自動運転を含める。一定の川下市場があることが条件。高齢化社会を迎える日本はその需要とメカ側の基盤があるとする。著者は…

蔵元の娘と楽しむ日本酒入門

タイトル通り著者は滋賀、喜多酒造の跡取り娘。蔵人として修業中であるが、飲む方も好きで研究に怠りない。日本酒の入門書として軽めのタッチで若い人特に女性向けに書かれている。お勧めは本醸造。ゆっくり味わうには良さそうだ。麹と酵母による平行複醗酵…

グリーンジャイアント

2050年のカーボンニュートラルへ向けての、各国の状況、企業の取り組みを解説する。意外に思えたのは中国の再エネ率の高さ。ここでも日本は立ち遅れる。期待の大きいのは洋上風力発電。安全性の高い新たな原子力もベース電源としては欠かせない。日本が…

EV

自動車業界の近未来小説。主人公は経産省の若手官僚。中国の不穏な動きがきっかけ。時期を早めてEVに全面移行することで、日本のハイブリッド車を潰し、世界の経済制覇を狙う。テスラの中国進出をギリギリのタイミングで阻止。日本の部品業界に新たな光明と…

イヤならやめろ

堀場製作所の創業者にしてレジェンドの著者が社員を鼓舞する。社内誌への投稿をまとめた1冊。繰り返されるのは時間の大切さ。コスト削減に直結するだけでなく、個人の働き方改革にも寄与する。執筆は95年とだいぶ前だがまったく古さを感じない。社内向け…

テヘランからきた男

東芝の15代社長西田厚聡。東大政治学の大学院からフィアンセを追ってイランへ。現地採用ながら見る見る頭角を現し、パソコン事業を復活させる。トップとしては選択と集中を実践。半導体と原子力で市場の評価を高める。後半は不正経理疑惑、部下へのチャレ…

シークレットエクスプレス

ジェットコースター小説。青森から佐賀までの緊急貨物輸送。自衛隊の訓練を偽装しているが、実は原発の廃棄燃料輸送。不祥事から表に出せない裏事情。JR貨物の運転士出身のプロが主役。新聞社の女性記者と原発反対派が列車を追う。最後は小泉首相がモデルの…

変化の時を生き抜く

富士ソフト創業者野澤宏の伝記。大学卒業後、専門学校の講師を経て、教え子と自宅で創業。独立系ソフトベンダーとして一代で巨大企業を築く。強みはランプサムでの受注とハードへの組み込み技術。時代の追い風もあるが、積極的な経営は見事。勝負は人材と新…

破天荒

企業小説の第一人者の自伝小説。高校中退ながら石油化学新聞に記者として採用され、数々のスクープをものにする。圧倒的な筆力と物おじしない性格を武器にした取材力。取材先の通産省、企業のトップに気に入られ仲介役としても活躍する。若いころの化学業界…

経理から見た日本陸軍

旧陸軍の経理システムを歴史学として研究し解説。イメージと異なり、意外ときっちりした運用がなされていた。巨大組織を回すには必要であったということだろう。また軍需産業にエキスパートを派遣し、コスト意識を徹底させ、拡大再生産を促した。細かい数字…

よそものが日本を変える

著者は長年JRグループでエキナカ等の商業施設の立ち上げを担当。地域密着による経済再生を手掛ける。特に疲弊している農業分野には「よそもの」の視点が重要。実際の融合は容易ではないが、実績を示すことでムーブメントは生まれる。画一的な商品ではなく、…

仕事で大切なことはすべて尼崎の小さな本屋で学んだ

尼崎立花駅前にある小さな本屋小林書店。ここの名物女性店長が取次の女性新人を導くというノンフィクションノベル。出版不況の中工夫と熱意で、顧客の信頼を勝ち取り、店を守る。よく気のまわるご主人の裏方として貢献。ノベルの部分はもちろん出来すぎであ…

日本再生のためのプランB

現在日本が進めるITを中心とした産業の高度化(プランA)はすでに頓挫しており、将来もないと結論。それに代わるものとしてプランBを提案する。具体的には予防医療を中心とする地方のサービス産業化による構造の転換。高齢化によりすでに医療従事者への需要は…

そこに工場があるかぎり

著者による工場訪問記。大手はグリコだけで、他は中小というより零細、独自の技術、製品を持つところばかり。競技用ボートやサンポカー。科学用のガラス細工に鉛筆と興味深い業種が続く。機会と人の融合。著者の視線は常に温かく作り手への尊敬がにじみ出る…

共創力

掃除ロボット「ルンバ」を世に送り出した創業者コリン・アングルの伝記。子供のころから機械好き。MITでコンピューター工学を専攻。技術的に優秀なのはもちろんであるが、真価は理想を追求し、周囲を巻き込む力にある。飽くなき探求と状況に応じて柔軟に対応…

2025年を制覇する破壊的企業

ベンチャーキャピタリストによる近未来産業地図。GAFA+M、テスラ、ネットフリックス、ロビンフッド(金融)、インポッシブルフーズ(植物肉)、クラウドストライク (セキュリティ)、ショッピフライの11社による産業支配を予見する。いずれもアメリカのIT…

さよならオフィス

コロナで一変したオフィス事情。ベンチャーから大手企業までの事情を取材し、ニューノーマル化での新しい職場のあり方を考える。テレワークが浸透し、その有効性は確認された。コロナは働き方改革を加速させることになる。リアルオフィスは縮小方向だろうが…

逆タイムマシン経営論

近過去に立ち戻り、寝かせた新聞、雑誌の記事を読み込むことで、逆にその時々の経営判断を解析する。章立てで3つのトラップを挙げる。順に「飛び道具」「激動期」「遠近歪曲」。常にメディアは現代のトレンドをはやし立てるが、時代は徐々にステップを踏ん…

木のストロー

住宅建設会社アキュラホームの女性広報担当者が、木のストローを開発するノンフィクション。間伐材を利用し、シルバー世代の手作業で実現する。SDGSの流れに乗り、G20で使われ一気にブレーク。社内外からの抵抗に全力で立ち向かい、ひとつひとつ問題を解決。…

フードテック革命

次に来る注目分野である食料業界を俯瞰する。人口増と所得増で700兆円の市場規模。一方で環境、食糧問題への対応も必要。前半は注目すべきテクノロジーを紹介。キッチンOSと代替タンパクは注目。明らかに欧米が先んじており、日本にとっては第二のスマホ…

宇宙の覇者ベゾスVSマスク

今を時めく米のIT長者が宇宙開発に挑む。幼い頃アポロに触発された夢の実現。官僚化したNASAを反面教師とする。技術開発は容易ではなくなんども爆発や失敗に見舞われるが、めげないチャレンジャー精神。アプローチはウサギと亀に例えられるように両極端だが…

Yコンビネーター

シリコンバレーのスタートアップ養成スクールに密着取材。1クール90日、起業を目指す若者たちの奮闘を描く。ほとんどが有名大学の俊英。まずは入学審査が厳しい。最後のデモデーで投資家の前でプレゼン。起業にこぎつけるのは1割に満たない。今はネット…

だし再発見のブランド戦略

著者は元禄からつづく老舗にんべんの13代当主。歴代の家業を振り返り、将来を見据える。鰹節の卸問屋だが、斬新な改革で成長。現金取引の導入。商品券の発行など。一方で品質にこだわり、良品廉価をモットーとする。安易な安売りはしない。戦後の発展はフ…

トラックドライバーにも言わせて

日本の物流を担うトラック輸送。元女性ドライバーの著者がその実情を解説する。一見マナーが悪く、さまざまな問題を起こしているが、そこにはドライバーたちの止むにやまれぬ事情が存在する。圧倒的に強い立場の荷主は、定時配達に加え荷役作業も強要する。…

共感経営

日本企業は、本社部門の官僚化により、分析、計画、法令順守の3つが過剰となる三大疾病で身動きの取れない状態。ここからの脱却には共感からなる真のイノベーションが必要。成功事例の紹介と経済学的な解説を加える。経営陣の務めはいかに未来を予測し、跳…

トヨタの未来

日経の連載記事。巨大企業の現在と将来への志向をテーマ毎に報じる。積極的な異業種との提携で、100年に一度の変革に向けて舵を取る。狙う市場は中国、インド、アフリカ。巨大で利益率の高い組織は、危機感の欠如が最大の悩み。トップである豊田社長が積…

QRコードの奇跡

今や世界標準となったQRコードの開発物語。開発者はデンソー。用途はトヨタのかんばん方式のデジタル化。バーコードでは容量不足になり2次元化したのが発端。油まみれの現場でも正確に読み取れるように創意を注ぐ。特許を申請せず、オープンソースとするこ…

社長の条件

対談形式で、日本企業の経営革新特に後継社長の育成、選定について提言。取締役会の権限強化で、外部の目を入れ決定権を与える。候補者は修羅場に出し篩にかける。それぐらい厳しくしないと次世代を担う経営者は出てこない。旧態依然とした大企業日立を蘇ら…

幸之助論

経営学者の書いた唯一の伝記。神格化せずその生涯をたどり成長の軌跡を追う。零細企業から顧客志向と勤勉さで戦前に拡大。戦争と財閥解体で大きな痛手を負うが見事に復活。事業部制で権限移譲。衆知を重んじ社員自主性を尊重。順応性の高い企業文化を醸成。…