2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

日本ゲートウェイ

企業小説。コロナ禍で苦しむ老舗百貨店。銀行からは最後通牒。救ったのは社長がかって在籍した大手商社の同期たち。すでに引退した人間もアイディアを出し、地方の産物を展示販売する総合アンテナショップ、ゲートウエィとして再生させる。途中には役員会を…

日本のリーダー達へ

JR東海社長である著者の私の履歴書。月間の連載であり、自らの来し方を簡潔に記す。教育者の家系に生まれ、幼いころから論語や古典をたたきこまれる。大学時代は毎日4時間の読書で、古今東西の歴史に精通。圧倒的な教養が決断のベースとなる。JR分割、組合…

ワンダーランド急行

SFユーモア小説。平凡な中年サラリーマンが、パラレルワールドに迷い込む。体験するのは3つの世界。個人の人生が何かのきっかけで別の道を選んだ異世界が提示される。行き過ぎた社会に対する風刺も効いている。スピード感よく読ませるのはさすがだが、読…

老舗書店有隣堂が作るYouTubeの世界

横浜の地元書店有隣堂。長期下降傾向にある書籍の売り上げに、社長がYouTube配信を指示。企業色を廃し、辛口で面白いコンテンツが話題を呼び、20万登録まで達成。ヒントはマツコの知らない世界。社内の特徴ある人材がプレゼンし、キャラのフクロウが突っ込み…

画家とモデル

タイトル通り、残された作品を題材に、画家とモデルのエピソードを18篇にまとめる。ゴヤやモディニアーニなどの有名どころと、意外と知られていない画家までを紹介。どうしても男女の関係をイメージするが、それぞれの愛憎劇は後の類推の部分が多い。死後…

凛として弓を引く

弓道青春小説。高校入学を決めた主人公は、神社の境内にある弓道場へ。体験教室から入会。様々な年代の弓引と出会いながら、人間的に成長していく。最後は初段を取り、初恋もゲット。予定調和のハッピーエンドだがテンポ良く読ませてくれる。もともと興味の…

無神経の達人

著者によるコミュニケーション術。日本人特有の気遣いは全否定。無神経を武器に遠慮なく、相手との距離をぐんぐん詰める。国際経験も豊かで、言うべきことは主張しないと相手には伝わらない。見た目や役回りより知性派の一面も見せる。内容的には当たり前の…

第4の波

現在進行中の第4の波についての解説。乗り遅れた日本に警鐘を鳴らす。セミナーとこれまでの著書からの抜粋。AI&スマホで社会が大きく変わる。日本の政財界は未だに工業化社会(第2の波)の好結果が忘れられず、ケインズ経済学の呪縛にとらわれている。アベ…

橋下徹の研究

著者による橋下氏の弾劾書。ウクライナ紛争でロシア寄り、さらには中国寄りの発言を繰り返す橋本氏を批判。しつこいほどの攻撃的なツイッター投稿は確かに常軌を逸している。名誉毀損を恐れて明確には書いてないが、中国との関係を示唆。終盤では病的欠陥、…

文豪社長になる

作家菊池寛の生涯を描いた小説。流行作家から「文芸春秋」を創刊。社長を兼務しやがて近代的な出版社に育て上げる。もっとも経営者としては不適で、信じていた部下に横領され、倒産寸前の危機を迎える。戦中は軍の宣伝に協力したことにより、戦後は公職追放…

任せ方の教科書

組織運営術。要は上手な権限委譲。部下の特性を把握し、特に欠点を修正することなく、尖ったままの人材活用を推奨。長所を活かした適材適所。あらゆるダイバーシティを尊重し、新たな意見を聞く。まずは経営者としては常識の範囲内。イラストも多く短時間で…

災厄の絵画史

天災、戦争、疫病と人類を苛む惨事に向き合った画家たちを作品を通じて紹介。「怖い絵」シリーズの著者の得意とする分野。絵画史に精通し、歴史と社会背景を語る。文章は短め、図録は大判で一気に読めた。新書版では限界があるので名画はネットでチェック。…

国商

昨年病没したフィクサー葛西敬之の生涯を描く。国鉄改革3人組として名を上げる。民営化分割の後、JR東海で新幹線の高速化と増発で利益を上げる。政財界に人脈を築き、安倍、菅政権をサポート。思想的にはかなり右目の保守。官界の人事にも大きな発言力を持つ…

流人道中記

不義密通の罪で、松前藩預かりとなった旗本とそれを護送する下級ご家人の与力の道中記。江戸から三厩まで。罪人でありながらさばけた旗本と生真面目な与力のやりとりが愉しい。予想通り道中でさまざまな事件に巻き込まれながら、人情味あふれた解決を産んで…

見果てぬ王道

中国の革命の父、孫文とそれを支えた日本人実業家梅屋庄吉の交流を描く歴史小説。梅屋の方は正直あまり知られていない。長崎出身だが若い時から海外雄飛。写真館と映画興行で財をなす。欧米に虐げられるアジアの人民を救うべく、物心両面の援助を生涯続ける…