2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

スーツの選んだ鉄道百景

鉄道ユーチューバーである著者の、口述、映像をベースに編集部が文書化。北から南まで日本全国の鉄道百景を選定。全体に東側にに集中しているように思える。乗り鉄としては基本的な有名どころは網羅。知らないところは多い。旅心をくすぐられる。 新たに選ん…

絵の中のモノ語り

タイトル通り、名画に描きこまれたモノを題材にしたエッセイ。全32話。雑誌掲載なので軽めの内容を短めの文章で一気に読ませる。なかなか知りえぬエピソード満載で愉しめた。口絵も大きくカラーで美しい。休日の午後に一気に読破。 絵の中のモノ語り 作者:…

ツキの大原則

人生の成功のために必要な運やツキ。脳のメカニズムから科学的に解明する。脳内の小さな部位である扁桃核が体験の記憶から、快不快を判定する。真面目な日本人は努力に注力するが如何に愉しんで物事に取り組めるかがキーになる。ややトンデモ本の気配もある…

日本半導体復権への道

80年代に一世を風靡した日本の半導体産業。時代に対応できずシェアは一けたに。その復活への道筋を解く。期待はロボティックス。自動運転を含める。一定の川下市場があることが条件。高齢化社会を迎える日本はその需要とメカ側の基盤があるとする。著者は…

日々翻訳ざんげ

著者は翻訳界の大御所。40年以上ミステリーを中心に翻訳を生業とする。醍醐味は正確に訳すことと、日本語としての文学的価値のバランス。難解な表現にぶちあたることもしばしばで、ネットのない時代は苦しんだとのこと。自らの作品を振り返り、業界や世相…

大相撲と鉄道

著者は現役の行司。部屋に所属し何かと役務が命じられる。長年交通係を担当。大人数での移動を差配統括する。貸し切り団体列車は一部のみ残り、現在は新幹線とバスが主流。一般客に交じって移動する。独特の階級社会だけあって面白いエピソードには事欠かな…

エクソダス

中南米から約束の地アメリカを目指す移民の群れ。3回にわたり各地の現状をルポする。トランプによるメキシコ国境の壁がクローズアップされるが、そこに至るまで生まれ故郷を捨てる人々のやむにやまない事業に肉迫する。貧困とマフィアによる暴力。移民たち…

無理ゲー社会

若者が未来に希望を持てず、自殺願望さえ強い現代日本社会を分析する。社会の階層はベルカーブからロングテール型にシフトしており、メリトクラシー(知識社会)では才能による格差が鮮明になってきている。要因は遺伝と教育。知識階級が富と性愛を独占する…

北斗星に乗って

連作集全8編。上野と札幌を結んだ豪華寝台列車を舞台に人間模様を描く。様々な人間ドラマを描く。日常からの離脱を求める、人生の大きな節目を迎える。あえて時間のかかる寝台特急を選んだ人たち。事情も様々であれば部屋のチョイスもそれぞれ。どちらkと言…

百花

主人公は30代後半のビジネスマン。妻の出産を控えながら、母親のアルツハイマー発症を知る。目を背けてきた現実だが、病床は進み介護に追われる日々。背景にはシングルマザーとして濃厚ながら複雑な親子関係がある。一時期子供を置いて妻子ある男性と失踪…

東京の謎

東京の各町の発展の歴史をまとめたエッセイ。江戸から明治にかけてのエピソードが大半。知らなかった事実も多く興味深い。全21篇。治水と鉄道が発展の契機となる。関東大震災が近代化へのターニングポイント。ユーモアあふれる文章は小説家ならでは。 東京の…

ばにらさま

短編集。女性視点からの恋愛物。特に年齢を重ねてからの焦りや想いが描かれる。手の込んだ意外な構成もあり、驚かされる。お気に入りは老婆がポーランド人との恋愛をかたるパヨリン(バイオリン)心中。総じて暗いが後半は少し救いが示される。 ばにらさま (…

檄文の日本近現代史

昭和史に残るターニングポイントで発せられた檄文を取り上げ作者が解説する。26篇。文庫化、新書化の折に平成、令和の部分が取り上げられる。戦前の皇国史観から、現在の象徴天皇制へ。常に天皇が中心に歴史は巡っていたことがあらためてわかる。左側や庶…

黄金列車

第二次大戦末期のハンガリー。ナチスの傀儡政権がユダヤ人から没収した財宝を乗せた列車が西へ向かう。乗り込むのは財務官僚たち。決して望んだ役目ではないが、まじめに職務を果たそうとする。欲に目がくらんだ人間の醜さ、戦争の悲惨さ。特にユダヤ人家族…

常設展示室

短編集。名画をひとつキーに取り上げ、それにまつわる家族の物語を紡ぐ。作者の得意とするパターン。5編を収録。発表時期は意外と幅広い。途中でプロットが読める感じはあるが安心して楽しめた一冊。 常設展示室―Permanent Collection―(新潮文庫) 作者:原…

地中の星

戦前、東京に地下鉄を走らせた男たちの物語。地下鉄の父と呼ばれた早川徳次。浅草ー上野をまず開業し、銀座、新橋を目指す。経営は苦しく常に金策に苦労する。もう一人は五島慶太、2番手としてノウハウを引き継ぐ。結局国策として大合同がなり、現在の銀座線…