2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

魂の発電所

原発事故の被害を受けた福島県飯館村。今もなお帰還困難地域が残り、住民の多くは被爆を恐れ戻らない。地元の有志が立ち上げた再生エネ発電。休耕地には太陽発電を、猪苗代水系には小型水力発電を設置し、原発からの脱却を目指す。立ちはだかる幾つの障害を…

お金は教養で儲けなさい

主張は、変化の激しい今後の世界を生き抜くために形而上の教養の重要性を述べる。取り上げた学域は社会学、経済学、数学、情報工学、哲学、歴史学の6分野。中でも哲学が目新しい。欲張りな網羅で掘り下げはやや浅いが、導入と割り切れば納得。キャッチーな…

テレビが伝えない国際ニュースの真相

予備校の人気講師による最新世界情勢の解説書。Q&A形式で簡潔に解説する。米中あたりはほぼ既知の事実が多いが、中東情勢になると知らぬことが多く興味深い。立ち位置少し右寄りのリアリスト。トランプ、安倍政権には一定の評価。強権の習近平には危惧を表す…

ムカついてもやっぱり夫婦で生きていく

女性視点の現代夫婦論。7組のカップルを紹介。いずれも50代前後。それぞれ難局を乗り切り夫婦としての生き方を確立している。1人を除いて皆さんメディア関係の多忙な仕事を持つ。価値観の違う二人が歩み寄り、ともに生活していく秘訣は夫婦ごとに異なる…

いま救国

自民党の対中国強硬派と知られる著者の評論。安倍1次内閣から大震災まで経済誌への連載コラムがベース。日本の弱点である理念なき外交をバサバサ切る。かっては政治、外交は2流でも、経済力のバックアップがあったが現在ではそれも怪しい。バリバリの右派…

世界一ポップな国際ニュースの事業

東大教授と人気作家の対談。平易な言葉で国際情勢を解説する。米中欧露さらに日本。それぞれの社会に横たわるバックボーンを端的に指摘。未来への指針につなげる。映画好きの教授はエンタメ歴を披露するが、こちらが観ているケースは少ない。時間が取れず内…

首里の馬

不思議系の小説。内気で人付き合いの苦手なヒロインは那覇で老民俗学者を手伝う傍ら、外国人にクイズを伝えるという怪しい仕事に就く。暗号の授受ではないかと終盤に推測される。彼女の元に琉球馬が迷い込む。一旦警察に届けるものの、再度盗み出し、ガマで…

絶対はずせにおうち飲みワイン

新書版の入門書。全くの初心者から自宅でワインパーティをやるまでを指南。2000円前後のディリーワインが数多く紹介される。知識としては復習レベルだが、まだまだ知らないブドウ種があり、興味深い。有用なアプリも紹介。愉しくお勉強。 絶対はずさないおう…

始まりの木

大学の民俗学教室。毒舌の准教授と女子院生のペアが、日本各地をフィールドワークでめぐる。失われていく日本独自の神性とその信仰。目的を持った学問の重み。知的で軽妙なやりとりで愉しませつつ、重厚なテーマに正面から挑む。待望の新シリーズ。良い出来…

日本企業の復活力

コロナ化にあえぐ日本企業への応援歌。欧米に比して直接的な被害は浅くポジションとして優位にある。過去の危機を乗り切った経験からむしろチャンスととらえるべき。キーとなるのは一配慮、一手間によるアナログとデジタルの融合。成長のためには積極的な投…

猫がこなくなった

エッセイ集。キャッチーなタイトルにそぐわず文学的な内容。カフカなど文学史論的な議論もあり、なかなか難解であった。全編を通して生命の機微に触れることがテーマ。正直理解は浅く、読破に力を要した。 猫がこなくなった 作者:保坂 和志 発売日: 2021/01/…

それ以上でもそれ以下でもない

大戦時のフランス小村を舞台にしたミステリー。教会の地下に匿ったレジスタンスが殺されるという設定。犯人捜しよりその後のSSの暴力と村民による報復と悲惨な事件が描かれる。一応謎解きとどんでん返しは用意されているが、プロットはもう一つ。人物の書き…

そこに工場があるかぎり

著者による工場訪問記。大手はグリコだけで、他は中小というより零細、独自の技術、製品を持つところばかり。競技用ボートやサンポカー。科学用のガラス細工に鉛筆と興味深い業種が続く。機会と人の融合。著者の視線は常に温かく作り手への尊敬がにじみ出る…

ヘーゼルの密書

史実を基にした歴史ミステリー。上海を舞台にした日中戦争の和平工作を描く。暴力や裏切りが横行する中で、主人公たちはなんとか平和への糸口を見つけようと奮戦する。歴史で習う単純な構図ではなく、アメリカを巻き込んだ利益誘導の駆け引き。宋美齢との電…

負けてたまるか日本人

大物二人による対談。歯に衣をきせぬ調子で安倍政権を批判。一貫して反戦主義を貫く。退化していく日本に警鐘を鳴らす。曖昧模糊としてだれも責任を取らない社会。コップの中の水が腐ると例える。打開策は若者の海外経験と読書による知識の習得。未来は現在…