経営

地球行商人

味の素の営業部隊。アジアやアフリカでのどぶ板営業を描く。有名大学出身のエリートが徹底した現地化。小袋での販売で拡販に貢献する。文化の違いや社員の不正、自殺。時には強盗や革命など生命の危険にも遭遇する。評価関数は売り上げでは無く、インボイス…

商社進化論

日本の5大商社の現状と将来をルポする。日経産業新聞の連載。それぞれの伝統や得意分野を踏まえながら、共通する課題はDX対応、SDGS、若手の活用とレベルは違うがこちらも一緒。大きな危機を乗り越え、現在は総じて好調である。最後のトップインタビューは迫…

漂流する日本企業

日本経済の失われた30年の原因とその対処法を説く。2度の金融危機により、銀行に依存できなくなった企業は、内部留保を高め積極投資を抑制した。一方で外圧によりガバナンスが流行りとなり、配当性向を高めた。直近では投資額より配当額が高い異常な状況…

文字を超える

夫婦でジャストシステムを起業。夫人がプログラム、著者が営業と経営を担当。ワープロソフト一太郎で一世を風靡する。その後マイクロソフトのOS抱き合わせ戦略に押され、経営は苦しくなり、現在ではキーエンス参加。夫婦で新たにメタモジ社を起業、IPADベー…

覚悟

著者は鹿児島のスーパーオーナー家に嫁入り。現在副社長を務める。無謀とされたMBOを実行。負債を返済し優良企業に育て上げる。本書は彼女の経営手法、生き様を簡潔にまとめたもの。基本は極めてポジティブ。即断即決で走りながら考える。悩んだ時の原点は、…

トヨタのEV戦争

出遅れた感のある日本のEV車戦略。盟主トヨタの将来をアナリストが分析する。EVの神髄は電池とSDV(Software Defined Viecle)。特に後者は車のスマートフォン化として繰り返し強調される。この両面で立ち遅れる。テスラやBYDは垂直統合による内製化を完了。…

吉本興業の約束

現会長大崎氏の対談をベースとする。ダウンタウンやハイヒールのマネージャーからスタートし、心斎橋2丁目劇場を創設。旧来の同族会社から近代的なエンタメ会社へ脱皮する。極めつけは反社会的勢力から決別するための非上場化。すべてを語られた訳ではないが…

魔法の読書法

著者のセミナーで推奨する読書法を紹介。数ある書物の中からいかにメンターに出会うか。基本は多読と速読による選別。また実を残すために読書会も有用。自慢話が鼻につくが、特にアメリカでの科学的な根拠を多数挙げているところは評価すべき。あまりにビジ…

天才読書

マスク、ベゾス、ゲイツと言わずも知れた起業家にして成功モデル。彼らは稀代の読書家として知られる。それぞれが推薦する古今の名著を紹介。そのエッセンスを要約する。幅広いジャンルから選ばれているが、SF好き、歴史好きのところが共通点か。読んでみた…

モデルナ

コロナワクチンの開発、供給で一気に名を馳せたモデルナ社。数年前は弱小のバイオベンチャーであった。mRNAの開発で新規医薬品の開発を目指していたが、実績がなくその将来性には疑問符がつく。株価はIPO価格より下振れ。コロナ対応でウィルス開発にリソー…

パナソニック再生

新生パナソニックに関する日経の連載記事。事業会社制を導入し、独立採算による経営のスピード化を図る。キーとなるのはブルーワンダーと車載電池の大型投資。環境対応も大きな柱。指標としては営業キャッシュフローを重視する。期待は大きいがここまで実績…

おしょりん

福井県鯖江眼鏡産業勃興期が題材。寒村の庄屋兄弟が明治期に起業する。羽二重で一度手痛い失敗をしているだけに、兄は慎重。営業センスに長ける弟は将来性を信じ強引に道筋をつける。大阪から職人を招き、徒弟制度で技術を移植する。親方毎に班を分け競わせ…

シャープ再生への道

台湾鴻海の副社長から、シャープに乗り込み短期間で再生を達成した著者の自叙伝。大企業病に陥っていたシャープに大ナタを振るう。若い頃に日本に駐在。日本の生産管理方式を学ぶ。鴻海では中国の巨大工場をスピード感をもって創業。一躍経営陣に躍り出る。…

日本ゲートウェイ

企業小説。コロナ禍で苦しむ老舗百貨店。銀行からは最後通牒。救ったのは社長がかって在籍した大手商社の同期たち。すでに引退した人間もアイディアを出し、地方の産物を展示販売する総合アンテナショップ、ゲートウエィとして再生させる。途中には役員会を…

日本のリーダー達へ

JR東海社長である著者の私の履歴書。月間の連載であり、自らの来し方を簡潔に記す。教育者の家系に生まれ、幼いころから論語や古典をたたきこまれる。大学時代は毎日4時間の読書で、古今東西の歴史に精通。圧倒的な教養が決断のベースとなる。JR分割、組合…

老舗書店有隣堂が作るYouTubeの世界

横浜の地元書店有隣堂。長期下降傾向にある書籍の売り上げに、社長がYouTube配信を指示。企業色を廃し、辛口で面白いコンテンツが話題を呼び、20万登録まで達成。ヒントはマツコの知らない世界。社内の特徴ある人材がプレゼンし、キャラのフクロウが突っ込み…

文豪社長になる

作家菊池寛の生涯を描いた小説。流行作家から「文芸春秋」を創刊。社長を兼務しやがて近代的な出版社に育て上げる。もっとも経営者としては不適で、信じていた部下に横領され、倒産寸前の危機を迎える。戦中は軍の宣伝に協力したことにより、戦後は公職追放…

任せ方の教科書

組織運営術。要は上手な権限委譲。部下の特性を把握し、特に欠点を修正することなく、尖ったままの人材活用を推奨。長所を活かした適材適所。あらゆるダイバーシティを尊重し、新たな意見を聞く。まずは経営者としては常識の範囲内。イラストも多く短時間で…

国商

昨年病没したフィクサー葛西敬之の生涯を描く。国鉄改革3人組として名を上げる。民営化分割の後、JR東海で新幹線の高速化と増発で利益を上げる。政財界に人脈を築き、安倍、菅政権をサポート。思想的にはかなり右目の保守。官界の人事にも大きな発言力を持つ…

伊藤忠

見事に商社のトップに躍り出た伊藤忠の経営の歴史。近江商人を発祥とし、繊維問屋から総合商社へ。高度成長の波に乗ろうと資源、石油精製に乗り出すが痛い目にあい、撤退。現在は生活関連に重点を置き、堅実に業績を伸ばす。歴代優秀な社長を生み出している…

49%に嫌われ、51%に好かれる社長になれ

著者はキャバクラ嬢から経営者に。北新地で有名店を営む。華やかな女の世界の維持には気遣いが欠かせない。キャッチーなタイトルは部下との緊張感を醸成すること。組織の運営についてはどの世界も基本は一緒。部下に気づきを促し、成長させる。内容的には常…

突き抜けろ

楽天グループの創業25年を振り返る。創業者の三木谷氏や役員への取材を上坂氏がまとめる形式。何度もターニングポイントがあるが、トラベルや証券を買収し、現在の巨大なエコシステムを確立した。思いは「日本を元気にする」「世の中をよくする」。現代の…

キーエンス解剖

超優良企業であるキーエンスの強さの秘密に迫る。直販による顧客に密着したコンサル営業とその情報共有。さらに即納体制で、ユーザーの心を鷲掴みにする。ある意味王道なのだが、仕組みづくりとそれを愚直に実行する力。社員には処遇で答えモチベーションを…

サステナビリティ経営の真髄

対談集。丸井グループ社長である青井氏が、将来の会社経営について対談する。自ら経営を刷新。「手挙げ活動」により社員のモチベーションを高める。世間の評価を高めるにはROEではなくESGへのコミットメントが必要。社会貢献の実感があり、利益は後からつい…

ONEはなせ成功したのか

日本の海運会社三社がコンテナ船部門をスピンアウトとして設立した「ONE」。シンガポールを拠点に独立した経営を行い、大きな利益を上げた。コロナによるコンテナ不足で単価が急騰したことはあるが、大方の予想に反し成功した事例となった。コンテナ業界は離…

世界の富裕層を魅了する日本酒の常識

著者は奈良大宇陀の蔵元。元銀行員で海外駐在の経験もある。日本酒の目指す方向性は、純米、生酛(キモト)。あえて大吟醸ではなく、米の削りをおさえて複雑味を残す。燗酒を推奨。明治時代の税制は酒税に頼っており、醸造後早い出荷が必要だった。今後は熟…

世襲と経営

サントリーの3代目、佐治信忠のインタビューをベースに独特の社風と経営理念を持つ同族会社の実像に迫る。半世紀赤字を続けたビール事業、アメリカのビーム社の買収と通常の上場企業ではありえない選択。創業者一族と一般社員の厚い信頼関係がベースにある…

再興THEKAISHA

アメリカ経済学者による日本企業の研究。タイトな文化にある日本は、急激な変革よりも安定を優先した。そのため失われた20年からの回復には時間を要したが、ゆっくり着実に改革を進めていると肯定的に評価。スマイルカーブの上流にシフトすることで、ジャパ…

GE帝国盛衰記

ウォ-ルストリートジャーナル誌の記者によるGE取材がベース。米国の栄光を誇る巨大企業の崩壊への道筋。ウエルチ、イメルト2代のCEOの時代。トップダウンの経営には限界があり、巨大コングロマリットはのたうち回る。GEキャピタルはその信用から金…

ANA苦闘の1000日

コロナ禍の航空業界。ANAは旅客数の激減により、2期連続の赤字に陥る。考えうる対策は全て実行するが、拡大路線の反動もあり、自己資本比率等財務指標はかなり、悪化する結果となった。本書はトップから現場までを取材し報告する経済ドキュメント。一番…