2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

心を整える

日本代表のキャプテンを務める著者の書き下ろし。個人としてはレギュラー争いのただ中にあり、チームスポーツとしては各人の意志を統一し監督の意図を浸透させる責務を負う。どちらかと言えば孤独を好み地味ではあるが真面目で真摯な人柄は、これまでのサッ…

「知」の挑戦

朝日新聞と集英社が創設した「本と新聞の大学」による講義集その一。一流有名講師による講義とQ&Aで構成される。テーマによりこちらの興味の度合いが異なるのはやむを得ないところ。面白かったのは「新聞論」「科学論」 日本は新聞王国、1000人あたり4…

リミット

ラジオの深夜放送に寄せられた自殺予告メール。子供を自殺で失ったデイレクターとパーソナリティがなんとか最悪の結果を防ごうと必死の奮闘が始まる。最後は呼びかけに応じたリスナーを動員しての捜索。、時間に追われる迫真のドラマに思わず引き込まれる。…

貴婦人と一角獣展

開催二日目に観に行く。いきなり6枚のタペストリーが迎えてくれる。なかなかの迫力。人間の五感+心を象徴しているとのこと。中世にしてはあまり宗教色が表に出ていない。どうしても工芸品という感じは否めないが、これまで観たタペストリーの中では間違い…

シェール革命で日本が再浮上する

表題にガスが入ってないのは、オイルを含めての議論。日本が恩恵を受けるのは世界的にエネルギー価格の下落が見込めることが理由。また採掘のための技術力にも注目が集まる。世界全体に影響は及ぶが当然地域によって濃淡がある。ガスを直接利用できるアメリ…

完全なる首長竜の日

自殺未遂で意識のない実弟と最新医療を用いて架空空間でコミュニケーションを取る主人公。回を重ねるにつれ現実と夢との境界が曖昧になってくる。最後には実は寝たきりであったのは自分自身で、悲しい過去を思い起こすことになる。全体のテーマは「胡蝶の夢…

スタンフォードの自分を変える教室

大学で人気の講義録。最新の心理学と脳科学の知見から如何に欲望をコントロールしありたい自分を目指すかを説く。キーワードは意志力。各章ごとに問題点の抽出、仮説、実験と科学的アプローチを踏む。内容的には意外と常識の範囲内でありあまり驚かされるよ…

JAL再生

会社更生法の適用から、驚異の復活を遂げたJALの稲盛体制による再生劇を大和総研のスタッフが丹念な取材と豊富なデータで分析する。成功のキーは部門別採算制度の導入と、JALフィロソフィーを軸とする意識改革。官僚的だった組織を徹底した教育と対話により…

少女

親友でありながら、夏休み中にぎくしゃくしている二人の女子高生の物語。キーワードは共通の友人が語った自殺死体を観た経験。夏休み中の経験をそれぞれが語る構成を取る。病気の子供とその父親のとろい中年男が脇役。この年代特有の危うさで暴走するかと思…

らも

故中島らも夫人が知り合った頃から、日記をベースに突然の事故死までらもとの思い出を綴る。灘高時代に知り合い学生結婚。豊かな実家の援助によりあまり苦しい下積み時代はなかったようだ。新居はさまざまな業界人が入り浸る巣窟となり、睡眠薬とフリーセッ…

神様のカルテ3

シリーズ3作目。30歳となり中堅となった主人公の前に、切れ者の女医が現れる。自らの誤診で最愛の夫を亡くした過去があり、医療に向き合う姿勢は常に厳しい。医者にとって無知であることはすなわち悪と言い切る。触発された主人公は最新医療を学ぶため大…

信長の二十四時間

著者渾身の本能寺もの。陰謀の黒幕は伊賀衆。秀吉と光秀さらに中将信忠は道具として使われたとする設定。信長の専制を恐れつつ、複雑に絡む思惑と心情。双方に組みする伊賀忍者たちの暗闘。新鮮な視点で読み物としては充分面白い。最後の親子関係はやや蛇足…

パナソニックショック

巨額の赤字を計上したパナソニック。長年松下を取材してきた著者が、歴代の経営者とその功罪を鋭く糾弾する。「幸之助商店」であった松下電器が巨大企業となる課程でさまざまな政治力学が働き、創業家を含めた後継者問題は常に存在した。パナソニックとなる…

ぼくはお金を使わずに生きることにした

イギリスで社会運動家の青年が行った一年間お金を使わずに生活する社会実験の記録。自然採集や廃物利用で食料を確保。ネットを通じて材料や労力、それに情報をシェアすることで見事達成する。クリスマス休暇にはヒッチハイクでアイルランドの実家へ帰るなど…

本当の経済の話をしよう

対話形式の経済学の講義。キーワードはインセンティブ、トレードオフ、トレード、マネー。比較優位論を軸にTPPに代表されるグローバリゼーションを支持。説得力は十分。古今の名著を次々紹介、引用し読者を近代経済学の世界へ誘う入門書の位置づけ。最後の2…