2023-01-01から1年間の記事一覧

夢ノ町本通り

これまで世に出した多数のエッセイから、書物、読書に関するものを再編成。膨大な読書歴の遍歴がつづられる。さすがに時代的には古いものも多く、書評欄では図書館にはない作品が並ぶ。中盤の本を編むではみずから編集に携わった山本周五郎の作品紹介が続き…

中田敦彦の妻になってわかった自分らしい生き方

芸能人夫婦の子育て記。著者は横浜国大のミスコンからデビュー。そこで知り合った売れっ子芸人のオルラジ中田と結婚。コロナ危機を契機に家族でシンガポールへ移住する。日本での殺人的なスケジュールから解放され、異国で子育て経験することで家族の絆が深…

超創造法

生成AIの現状と活用方法を解説する。現時点では使えるのは翻訳と要約。但しプロトコルにテクニックが必要。結果にはミスも多く信頼性は低い。AI側の創造性は期待できない。技術的な改良が進めば、大きく社会を変えることは間違いない。まずは教育システム。…

ザイム真理教

大蔵省、財務省を痛烈に批判する。財政均衡を正とし、緊縮財政と増税で日本経済に深刻なダメージを与えた。多くの政治家を洗脳し信者とする。最たるものは岸田首相。唯一反攻したのが安倍首相だが、森友問題を仕組まれしぶしぶ消費税の引き上げを承認した。…

だからタイはおもしろい

著者はタイの駐在員から、ライターに転身。最近のタイ事情をフラットな目線で描く。圧倒的な経済格差。しかもそれが固定されているのが現状。国王を頂点とする支配層(保守派)が長年にわたって築き上げてきた教育システムの効果である。タイ人は友好的だが…

21匹のネコがざっくり教えるアート史

タイトル通りの内容。古代エジプトから現代美術まで、猫たちが代表作のモデルになり、その特徴を語る。まずは予想通りの内容だが、著者は英国人アーチストなので、近現代ではあまり知られていない区分けもある。まあ愉しめました。 21匹のネコがさっくり教え…

覚悟

著者は鹿児島のスーパーオーナー家に嫁入り。現在副社長を務める。無謀とされたMBOを実行。負債を返済し優良企業に育て上げる。本書は彼女の経営手法、生き様を簡潔にまとめたもの。基本は極めてポジティブ。即断即決で走りながら考える。悩んだ時の原点は、…

展望塔のラプンツェル

舞台はおそらく川崎市南部。多民族が暮らし貧しい地区。不良やヤクザが跋扈し、様々な社会問題は日常茶飯事。主人公は児童相談所の職員として日夜搬送する。若いカップルと育児放棄された幼い子供。不妊に悩む中年主婦と3本の線が物語を織りなす。中盤で救い…

第4の革命カーボンゼロ

日経の連載記事。カーボンゼロに挑む最前線を取材。こちらの認識以上に温暖化が進行し、特に海外では危機感が高い。技術開発も進んでおり、特にペレブスカイト太陽電池と光触媒による水素発生に期待。記事部分に加えてインタビューも全掲載されているが、重…

忘れられない一冊

蔵書に関するエッセイ。82人の著名人が自らの人生に大きな影響を与えた1冊を選び、思い出を語る。私と同年代の作家らが多く、選書もやや古い。手練れの書き手が短くまとめているので読みやすい。週刊朝日の連載。文庫で2013年。 忘れられない一冊 (朝日文庫)…

信長の正体

歴史学上の信長の位置づけを論じる一冊。多角的に史実を積み上げて解析する。戦国時代を終わらせるために時代が要求して出現した変革者との結論。きわめてアカデミックな解析で興味深い。信長だけでなく古代からの日本史の流れをおさらいする。短いが幸著で…

ゴリラ裁判の日

主人公はカメルーンで育ったメスゴリラ。母親とともに研究者に手話を教えられ、人間並みの知性を有する。アメリカオハイオの動物園であやまって落ちた人間の子供を助けるために、夫ゴリラが射殺されてしまう。謝罪と賠償を求めて2度の裁判。人間の定義が争点…

シニアエコノミー

高齢化が進む日本社会をビジネスチャンスと捉え、新たな起業を促す。ポイントは巨大な金融資産。個人が死去までに使い切ることで経済を廻す。高齢者と若者をつなぐビジネスにも機会が大きい。説得力は相変わらずだが、従来の主張を繰り返しており、焼き直し…

さすらい猫ノアの伝説

児童文学のジャンル。舞台は小学校。問題のあるクラスに登場する都市伝説の黒ネコノア。高学年の難しい時期に直面する問題を見事に解決に導く。基本みな好人物で、ちょっとしたズレが増幅していく。まっすぐに向き合って解決していくのは大人の世界も同じ。…

世界を動かした名演説

タイトル通り歴史に残る名演説15編を紹介する。世界情勢を池上氏が、英語表現のレトリックをパックンが解説する。いかに聴衆を引き付け、共感を呼ぶかが最大のポイント。どれも素晴らしいが、レーガンの話術は高評価。最後の女性3人もインパクトが強い。…

その疲れは最高のツマミになる

大型トラックの女性ドライバー。高校卒業後に上京。人間関係の少ないドライバー稼業を選択する。SNSが評判となり、一気に有名になる。生き方は愚直で不器用。きつい肉体労働にも真正面から取り組むところには好感。文章はまだ稚拙で、主張は常識の範囲内で平…

心に光を

元ファーストレディの自伝第2段。前作より自己の成長、内面に踏み込んだ内容。黒人女性で長身であることが、トラウマになり、なかなか積極的になれない。そこを振り切って自分の世界を広げていく。オバマと出会い、家庭を持ってからは積極的にサポート。ホ…

人はどうして老いるのか

人の一生、特に老いのメカニズムについて解説する。基本は「遺伝子の乗り物」であることに変わりはない。遺伝子に取って次世代の繁殖力が確立した際に、効率の悪い老年はその役目を終える。著者は「遺伝子のシナリオ」と呼び、その中でいかに生きるかは個人…

もう歩けないからが始まり

陸上自衛隊の実情を、兵員目線で記述。厳しい訓練に明け暮れてはいるが、戦前のように不条理ではなく、納得しなければ動かない。考えてみると辞める選択肢もある。面白おかしく書いているが、ある意味常識的な話で、一般社会とも通じるところはある。地著者…

ロバのスーコと旅をする

イラン、トルコ、モロッコとロバを連れての徒歩旅行。お国柄は様々だが、イスラム圏は基本的に旅人には優しい。宿や食事を提供されることも。一方で国家の監視は厳しく、リレー的に見張られている。良からぬ奴らに狙われ、トラブルに会うことも多い、ロバは…

特攻服少女と1825日

著者はレディース向け雑誌「ティーンズロード」を創刊。編集長となる。派手な外見だが、投稿ページを充実させ、はみ出した少女たちから絶大な支持を得る。本書はその顛末記と総長たちの後日談を語る。厳しいルールに支配された縦社会。喧嘩や制裁は当たりま…

RISE

南アフリカラクビー代表の主将を務める著者の自伝。黒人スラムの出身。ラクビーの才能を見出され、奨学金を受けエリート校に転校。プロチームに所属し、南ア代表となる。ポジションはフランカー。若い時は飲酒で悪さもしたが、キリスト教の洗礼を受け、敬虔…

自由の丘に小屋を作る

フリーライターの夫婦が、自力で山梨に小屋を建てる。設計士や大工がボランティアで協力。チャレンジに面白がる人たちを巻き込んで3年がかり。途中コロナの影響や自らの著作の入選もあって、遅々として進まない。本書の主題はむしろ娘の成長期。不妊治療の…

ひとり趣味入門

人生の後半にかけて趣味開拓の勧め。大上段に振りかぶるのではなく、好きなこと、興味を持ったことから試してみるのが良い。若い時と違い、仲間とワイワイやるのではなく、一人でも楽しめることがポイント。本人も多くの趣味を紹介しているが、魅かれるのは…

エネルギー危機と原発回帰

NHKの重鎮二人がエネルギー危機を理由に急がれる原発再稼働に疑問を呈する。中立であると断ってはいるが、様々な問題点を指摘。老朽化対策と原発のゴミ問題。いずれも見切り発車の状態。根底には関係省庁、電力会社、地方自治体と関係者が多すぎ、変革が進ま…

前人未踏

話題の人二人の対談。山中教授が聞き役となり、藤井名人から話を引き出そうとするのだが、ついつい自らの話になり、7割がたは教授のパーツ。年齢差や人生経験の差からして致し方ない。AIの進化が大きなテーマ。名人も活用しているとのこと。研究や将棋の…

紛争地の看護師

国境なき医師団の看護師の体験記。著者は日本の看護師であり、国際貢献のためにオーストラリアに留学したことにまず驚く。英語を身に着け、17回も戦地に赴く。シリア、イエメン、ガザ。想像以上に悲惨で過酷な状況。安全は考慮されているが、保証は全くな…

東京ひがし案内

東京の東地区、東京駅から王子、町屋あたりを散策する。下町情緒あふれる一帯。作者の好みは歴史的建築に旨いもの屋。文学史も噛合わせる。秀逸な地図とイラストも掲載。2010年の著書であり、それからコロナもあり変わってしまった部分も多いであろう。馴染…

国境を越えたスクラム

日本代表で目立つ外国人選手の活躍。批判も少なからずある中でその実像に迫る。歴史をひもとけば37年前のトンガからの留学生にさかのぼる。戦力強化だけではうまくいかず、その人間性とチームへの融和が問われる。受け入れる日本側も彼らの突出した能力に…

シンプルで合理的な人生設計

著者による幸福論。理論と実践に分かれる。3つの資本を活かし如何に満足できる人生を送るか。これまでの著書で述べられた内容が多く、さすがに出版過多のイメージがあり減点対象。ところどころハッとさせられるネタがあるところが著者に魅力ではある。 -幸…