2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

人工知能の革新

NHKスペシャルの取材記。将棋の羽生名人を案内人に最新のAIの世界を探訪する。将棋ではすでに人間を凌駕。強さの秘訣は恐怖心が無いことにある。逆に人間は美意識にとらわれているとも言える。これからの時代に向けて知性の再定義が必要。人間はAIと共存しな…

荒仏師運慶

稀代の仏師を題材にした歴史小説。一人称で生い立ちから死までを描く。円成寺の大日如来から、鎌倉行。北円堂の造仏まで代表作を網羅。時代の気風を取り入れた斬新な作風を生み出した土壌を探る。芸術と信仰のせめぎあい。快慶とのライバル関係がスパイス。…

[書評}知的機動力の本質

アメリカの強さの象徴である海兵隊。困難な任務を率先してこなし、予算の制限を受けながら統合幕僚部のトップを輩出するなど4軍の中では際立った存在感を示す。本書はその組織力の強さを長年の研究により解析。士官学校を持たず、下士官からのたたき上げを…

独裁者ですがなにか

北朝鮮の金正恩を題材にしたパロディ小説。暗殺を恐れる独裁者は塒でAIロボットと会話する。このペッパーが曲者で自ら暗殺した兄の名を語り、独裁者を恐れさせる。接続先はどこかの諜報機関か。前半はユーモア小説だが、後半は主人公の孤独感を強調。ミサイ…

現代日本の地政学

独立系のシンクタンクがまとめた論評集。日本と世界の抱える13のリスクにつき識者が分析、解説する。従来の軍事バランスだけでなく経済力を駆使した進出についても重きを置く。日本は日米軍事同盟に頼りながら、経済的には中国を外せないという二重依存の…

日本の優れたサービス

2015年に創設された日本サービス大賞。受賞企業を例に取りサービスの肝を解説する。ななつ星や旭山動物園など有名所が並び分かりやすい。サービスにおける6つの壁と打開のための6つのポイントを詳細に解説。キーは顧客の事前期待をいかに掴むか。取り上げる…

ANAグラウンドハンドリング

ANAの関連会社のエアポートサービス。羽田を中心に地上サービスの裏方を担う。本書は現場社員へのインタビューで構成。厳しい現場作業だが、共通するのは飛行機が好きで、安全かつ定時運航のためにチームワークを大切にすること。会社のカタログみたいでPR…

幸福の資本論

著者の人生論。自分の持つ、金融資産、人的資本(労働)、社会資本をいかに使い満足の行く人生を送るかを解説する。それぞれに章立てして詳述するが、前二つは論旨が明快なのに対し、個人差の大きい社会資本はやや不明確になる。最終章で一応の回答が示される…

ビンボーの女王

現代を風刺するフィクション。激務に耐えかねTV制作会社のADを辞めたヒロイン。不幸が重なりネットカフェ難民に、仕事はティシュ配り。そこで様々な人種と知り合う。ネカフェ監禁事件に巻き込まれ時の人に。これをバネに貧困生活の動画を投稿。ADの経験が役…

理系脳で考える

AI時代に生き残るための思考法として理系脳を提案する。学部や専門の話ではなく、いかに合理的に考え、暮らすかの手法。個人的には理系サイドだろうとは思うが、ここまでは徹底していない。常に最新の技術に興味を持ち、自ら経験してみる姿勢には脱帽。定…

創業家に生まれて

大戸屋の直系が、実質の創業者である実父について語る伝記形式。池袋の大衆食堂を引き継ぎ、時代にマッチした定食チェーンに一代で育て上げる。徹底した顧客主義で新形態を確立。コスパは抜群。女性層の支持を受けて一世を風靡する。産みの母親への思慕が根…

限界国家

タイトルは限界集落からの拡張。人口減少により日本は早晩に社会が瓦解すると警告。遅きに失しているがアジアからの移民受け入れに舵を切るべきと主張。コントロールされた製作で優秀な移民を招き、日本社会との同化を図る。日本人はもともと柔軟でフレンド…

町を住みこなす

高齢化にあえぐ日本で、これからの町の設計について提言する。強調されるのは多様性。これまでの宅地開発は、35歳をターゲットにしてきたため、町も同じペースで老いていく。各世代が相互に尊重しながら助け明日コミュニティが理想。東日本震災の仮設住宅…

いちまいの絵

副題は生きているうちに見るべき名画。24枚を紹介。有名どころが多く、17枚は鑑賞済み。ただし類作を含む。雑誌への連載で作品と一作ごとに画家を紹介する構成。個人的な絵画との出会いも語られ共感を呼ぶ。記述の半分くらいは既知のエピソードが多い。…

戦略の地政学

軍事面から見た地政学原論。副題にあるように歴史的にはシーパワーとランドパワーの衝突。特に現代は日米のシーパワーが弱体化し、そのスキに中、ロが進出しようとしている。沖縄の地理的重要性をわかりやすく強調。日本の採るべき戦略としては、共通点の多…

都知事失格

都知事辞任後初の著書。自ら顛末を語る。すべてはマスコミのバッシング。格好の標的となってしまったようだ。確かにスイートルームやファーストクラスの利用のみがクローズアップされ、不正を働いた訳ではないことは事実。前任3代(青島、石原、猪瀬)3代…

でれすけ

戦国末期、常陸の国に覇をとなえた佐竹家2代を描く。源氏の嫡流の名門で関東武士の荒い伝統を継ぐ。戦国武将である父と、豊臣政権の官僚に近い息子との葛藤。家康もこの勢力の動向次第で、江戸を開けるタイミングを計ったとする。読みやすい展開は作者の力…

ユニオンジャックの矢

タイトルはロンドンから、ドバイ、インド、シンガポール、オーストラリアを結ぶ直線状のネットワークを指す。大英帝国は去り際の魔術師として、植民地に見事な伏線を埋め込んだ。金融大国として現在を生き抜くうえでその価値が生きている。ブレクジットは想…