2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

つむじ風食堂の夜

メルヘン小説。とある街の十字路にたたずむ食堂に集う人々。4人の個性ある登場人物が、時に他愛ないあるいは哲学的な会話で楽しませる。親子の想い出や淡い恋も語られるが、全体としては色彩を楽しむべき作品。実際には著者と編集者の会話から生まれたとの…

唐人巻

長崎中華街 福建謹製 これまでで一番旨かった。 通販は下記http://www.e-nagasaki.com

真夜中のパン屋さん

亡き妻の遺志をつぐ元国連職員と天才パン職人の異色コンビが営む夜間営業のパン屋。そこの居候することになったとがった女子高生。都会の夜に救うオタクやニューハーフを巻き込みながらメルヘンチックに物語は展開する。それぞれの事情が章ごとに語られるの…

月の上の観覧車

短編集。人生の終盤を迎えた男たちを描く8編。男はいくつになっても純情で夢を追う生き物であるが、必ずしも女性や家族には理解されない。家族の死や別離を伴う重めのテーマ。ストーリー構成には磨きがかかり、哀愁が漂う。「上海租界の魔術師」「レシピ」…

光の王国

世界各地にフェルメールの絵画を訪ね歩く紀行文。各美術館で学芸員との情報交換の場が組まれ、恵まれた鑑賞の旅。作品そのもととそれに影響を受けたであろう、野口英世を始めとする科学者の邂逅にも想いを馳せる。光を微分的に切り取り瞬間を描き切った謎お…

孫の二乗の法則

ソフトバンク孫正義の人生哲学である、5x5の25文字。孫氏の兵法から引用された部分とオリジナル部分がある。本書ではこれまでの経営判断からその意味合いを解説する。ともかく時間をおしまず考え抜き、決断すれば押しまくる氏の生き方には敬服。590B孫…

日本人の誇り

現在の日本を覆う国運の衰退は、一時的な経済状況によるものでなくアメリカによって植えつけられた東京裁判史観によるものと断じる。明治初期に外国人を驚嘆させた日本独自の共同体の美学を取り戻すべきと主張、具体的な第一歩は憲法改正にあるとする。極右…

人口激減

サブタイトルにあるように日本は真の開国をし、移民を積極的に受け入れるべしとの主張。人口減による国力の低下の打開策としては誰もが思いつくものの、治安の悪化や独自文化の崩壊を理由に踏み切れない問題。2035年を2つのケースでシュミレーションする。…

「想定外」の罠

柳田「事故学」の集大成。広島から福島まで核の事故と被害を追って来た著者の緊急出版。ただし書き下ろしは冒頭の1章のみで、他はこれまでの著作からの抜粋。犠牲が出る度にハード、ソフトの両面で対策はうたれているものの、いたちごっこの域を出ない部分…

英雄の書

いじめに立ち向かい人を殺めてしまった兄を捜す少女の冒険物語。RPGゲームのように仲間と未知の世界を旅する。この世はすべて物語によって構成された世界。人間は生きることでそれぞれ新しい物語を紡いでいくというのが主題。予想に反してハッピーエンドには…

蒼き海狼

北条氏に滅ぼされた朝比奈水軍の末裔が、3回目の元寇に備えるため大陸にわたり諜報を行う。武闘大会で決勝にまで進み、フビライの暗殺を試みるのが第一のクライマックス。その後、越の国に渡り(ベトナム)元の侵攻を2度に渡り打ち破る。主人公にとっては…

エンジン

ハードボイルド。同僚を殺された刑事と特殊部隊崩れの女スナイパーが、放射能テロを巡って次々と事件を引き起こす。拳銃とカーチェイスはふんだんだが肝心のプロットがもう一つ。読んでいて疲れが残る。ミツビシの書評で絶賛されていたのだが。期待はずれ。…

日本中枢の崩壊

未曾有の危機に際して機能しない政治と行政に鋭い批判の狼煙をあげる。現役の官僚が職を賭して、これだけの主張をしてくらたことにまず拍手。公務員制度の改革に全精力をかえるが、省益を優先する霞ヶ関の論理と目先の政局に左右される永田町に翻弄され、志…

張り込み姫

リストラ請負人シリーズの3作目。今回は英会話、旅行代理店、自動車ディーラー、それに出版業界の4ケース。いずれも当事者は退職を決意するが、決断の根拠には自分の仕事に対する矜持と自負がベースとなっている。現実にはなかなかあり得ない理想的なケー…

花の鎖

同時進行で進む3人の女性のミステリーが、実は祖母から孫への3代の物語であるというプロット。後から思えば微妙に時代色を醸し出されているのがわかる。美術館のデザインを巡る争いと、骨髄移植を絡ませる。最終的にはそれなりの和解で終局を見る。登場人…

鷺と雪

昭和初期。華族の令嬢とその運転手ベッキーさんの謎解きシリーズ。3作の連作だが随所に2.26の騒乱が暗示され、暗い時代が日常に迫りくる。ラストはまさにその雪の朝。前作と同じくミステリーというより優れた時代小説のよう。一気に読破。今回は芥川や…

世界の国名知命うんちく大全

タイトル通りの内容。広く浅く地理と歴史の博学を紹介。強調されるのは日本人の知識は英語とカタカナに支配されているとのこと。確かに韓国というのは一方的か。逆はイルボンだが。知っている国には興味が持てるが、知らない地域はさすがにしんどい。世界の…

フレンズ

家族を暴力団の抗争で殺され、植物人間となった親友のために、復讐劇に立ち上がった高校生たち。復讐の暴力はしだいにエスカレートしていく。六甲の山中で知り合った過激派くずれの中年男性の助力を得てヤクザたちに挑む。ノンストップアクションだが、ラジ…