2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

はじまりの島

ガラパゴス諸島に上陸したビークル号の乗員たち。次々におこる連続殺人の謎ときにダーヴィンが挑む歴史ミステリー。背景には当然ながら進化論の発見と神学との問題がある。非常にオーソドックスな孤島の設定。登場人物がやや多いところは仕方ない。エンタメ…

いい絵だな

イラストレーター二人による対談。それぞれの美術遍歴を披露し、鑑賞のための手引を探る。明治初頭の高橋由一から始め、現代美術まで実物も多く図録で紹介されわかりやすい構成。要は世の評価に左右されず、自分の目で絵に接することが重要との結論。たとえ…

世襲と経営

サントリーの3代目、佐治信忠のインタビューをベースに独特の社風と経営理念を持つ同族会社の実像に迫る。半世紀赤字を続けたビール事業、アメリカのビーム社の買収と通常の上場企業ではありえない選択。創業者一族と一般社員の厚い信頼関係がベースにある…

キリンに雷が落ちてどうする

日常のあれこれを題材にしたエッセイ。日記形式でSNS上にあっぷしたものから抜粋。軽いネタから形而上の話まで幅広く網羅。必ずしも読者を意識しておらず、言説も結構ぶれる。微妙な読後感。タイトルに負けたかな。 キリンに雷が落ちてどうする 少し考え…

再興THEKAISHA

アメリカ経済学者による日本企業の研究。タイトな文化にある日本は、急激な変革よりも安定を優先した。そのため失われた20年からの回復には時間を要したが、ゆっくり着実に改革を進めていると肯定的に評価。スマイルカーブの上流にシフトすることで、ジャパ…

セカンドチャンス

主人公は50代の独身女性。親の介護と看取りで婚期を逃し、肥満と糖尿病から体質改善を迫られる。近所の寂れたスポーツジムに通い、水泳を通していろいろな経験を積む。コーチと顧客の関係。アマチュアと求道者。気弱な彼女はモノも言えず、なかなか馴染め…

たんぽぽ球場の決戦

青春野球小説。主人公は名門高校のエースだったが、県大会の決勝戦で敗れ、肩を痛めて挫折。見かねたパワフルな母親の主導で草野球チームを結成させられる。素人の集団を教えるうちに、過去の傲慢な自分を反省し、人間として成長していく。チームの初戦は因…

相棒は秋田県

著者は篠笛奏者。かねてからの憧れであった秋田犬を家族で育てる。狼に近い純粋な日本犬で、力強い大型犬であり、売られた喧嘩はほとんど勝つ。非常に聡明で家族には忠実、自分の役割を果たそうとする。10年弱の生涯であるが、家族が愛情を注ぎ、また返し…

アメリカ分断の淵をゆく

病めるアメリカの実像に迫るルポ。全10篇。薬物、移民、銃規制、BLMなど問題の最前線に危険を顧みず取材を敢行。アメリカ人は総じてオープンで率直に答えている。深刻な分断はトランプ政権により明らかに深まったとして厳しく批判。アメリカ人の明るさが問…

足利義満消された日本国王

足利三代将軍義満の晩年に迫る。明と外交を通じ、日本国王の称号を受ける。これが天皇を蔑ろにした行為であると、皇国史観論者から批判の対象になる。著者は実力的にはむしろ、天皇家は眼中になく、東アジア全体を見据えた大きな構想を持っていたのではない…

ゼレンスキーの真実

ウクライナの大統領ゼレンスキーの実像に迫る。ルポ。原書はフランス系メディアでロシアの侵攻半年後の出版。ユダヤ系の家計に生まれ、演劇の世界に。ロシア側との繋がりは深い。大統領に当選した直後は未熟さも目立ったが、次第にリーダシップを発揮、何よ…

人生は図で考える

人生の後半生につき図で考えるがテーマ。まさに現在の私に必要とされる思考法である。残された時間は少なく、何を目標に生きるべきか。惰性で生きればより短く感じる。経営コンサルとしての手法を用い、理詰めで考えてはいるが、前提として人生の相転移を考…

うえから京都

関西を舞台とした地方自治政治小説。現代坂本龍馬こと高知県の職員坂本龍子が、京都府の依頼を受け、交渉を担当、まず大阪、兵庫を説き伏せ連合を組む。目指すは東京の首都機能の分散化。必ずしも仲の良くない府県の利害を一致させ、東京都の交渉に臨む。関…

新人記者のみなさんさあ決算取材です

日経の新人記者向けの社内チャットがタネの一冊。株式市場周りの用語や動向が初心者向けに平易に解説。既知の部分が大半だが、ふむふむと納得できる部分もあり、あらためて勉強になった。ベテラン経済記者の筆で読みやすく書かれている。好著。 -税務当局は…

武漢コンフィデンシャル

コロナを題材としたフィクション。武漢を根城にする英雄の一族は文化大革命の迫害を避けるため息子一家を香港に逃がす。謎の麗人になった孫娘が財力を活かして復讐にかける。英米の諜報機関を巻き込んでの謎解き。汝窒の対の青磁がキーアイテムになる。緊迫…