2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧
現在の史観は勝者の記述によるものだとし、幕末の歴史を敗者の側から見直す。一次資料を丹念に読み直し真実を明らかにする。薩長同盟は軍事同盟ではなく倒幕を目的としていない。薩摩の討幕派は藩内でも少数で極めて厳しい状況を乗り切った。また一橋慶喜は…
著者が商売道を説く一冊。近江商人の教えを守り、清く、正しく、美しくを大商社の社是とする。人間には動物の血が流れていることを前提に、心で本能をコントロールすることが重要。そのためには教育が重要で、読書と人との邂逅が実践的。一次情報の重要性も…
京都生まれの学者である著者が、関西について語る。方言からはじまり生活様式や産業まで、かっての中心地から一地方への没落を嘆く。一つにはステレオタイプのマスコミの功罪もある。関西人としてはうなづける部分は多い。初出は1993年と古い。近刊のヒ…
脱力系旅行エッセイ。バックパッカーの著者が女性編集者と全国各地を歩き回る。目的地はマイナーなところがほとんど。果ては自宅の庭。新たな発見と巧みな文章ににやりとさせらる。イラストも巧み。かくしテーマは海の軟体動物と石拾い。楽しい一冊でした。…
失意のエリートが古井戸相談室を主催する不思議な老人と出会い、人生について考える。二人の会話で構成される。59歳は一日の時間で換算すると午後6時。残りの時間を如何に有効に使うか。シニアとしての生き方が議論される。まずは人の話を聞くこと。相手…
エッセイ集。日経夕刊への連載と直木賞受賞後の記念エッセイで構成。一人の文学少女が作家を目指し成長。結婚、出産を経て思いを達するまでの日常がが淡々と描かれる。さすがに文章はうまいし、読者の共感に訴えるものがある。同時に収録された広島地方を描…
戦後シャープの技術陣を率いたドクター佐々木の波乱万丈の人生を描く。戦中はドイツへ渡り小型のUボートで帰国したという。戦後は京大教授が内定していたが、創業者の早川氏にくどかれてシャープへ。圧倒的な人脈と即断で自社のみでなく、世界の電子産業を牽…
勤めていた出版社が倒産した主人公が、結婚し主夫となる。その後キャリアウーマンの妻が出産し、子育てに追われる日々に。家事はこなすが最大の問題はママ友問題。まだまだ日本では少数派の父親は肩身が狭い。後半はテーマを広げ、友達の問題や自身の出生に…
著者の社会時評。辛口に政治、経済問題を論評する。年金問題にページを割く。一部マスコミのまやかしには手厳しい。キャラクターからか分かりやすい解説には安定感がある。少しコミカルに過ぎる面は否定できない。週刊誌FLASHへの連載でこれが3冊目?。まあ…
関東大震災後の東京が舞台。陸軍の裏工作を担当した父親が横領、家族は組織に惨殺されるが、生き残った少年兄弟の逃走とそれを助ける女スパイの活躍を描く。スパイものだが大部分がアクション活劇。ほとんど無敵のヒロインは傷つきながらゴールである海軍省…
廃線をありえたローカル線を、屈指の観光路線として再生したサクセスストーリー。ボトムアップの提案から観光列車を走らせる。鍵は秋田新幹線の開業と地域との連携。JR秋田支社の改革プロジェクトAKITAWAYが見事に融和した。硬直した組織の中に、顧客優先の…
自らをリベラルな一般市民と称する著者が、マスコミや一部扇動家からなるエセリベラリストを批判する。まず沖縄での集団自決を取り上げ、軍部が主導したという刷り込みの事実を覆す。現在政治には大きな対立は存在せず、保守とリベラルの差異は「伝統」と「…
AKBの一期生で、チームキャプテンさらにグループの総監督を務めた著者のリーダー論。若干20歳のアイドルも組織を束ねる難しさは同じ。特に自信家の年頃の女の子は複雑であろう。目標が共有しやすいのが救いか。その手法は徹底したコミュニケーションで小集…
文芸春秋に連載中の書評をまとめて掲載。2006-12年分。ノンフィクションを中心に幅広い読書対象。意外とジャンルは硬軟織り交ぜている。紹介する文章は巧みで読みたくなる書籍が多数だが、付箋をつけてみると近代史関係に偏ってしまった。巻頭に東大図書館副…
言葉の力で他人をコントロールできる少年が主人公。クラスで飼っていたウサギが惨殺され、想いを寄せていた少女はPTSDで口が聞けなくなる。犯人との対決を控え、同じ能力を持つ親戚の大学教授とシュミレーションを行うが、この部分が長い。人を裁くことの意…
エッセイ。40代独身女性の心情を吐露する。男社会の中を葛藤を隠しながら、しなやかに生きてきた。結婚に憧れ女子の部分も隠さないが、現実は極めて快適な模様。そこは人生の選択。同時に両方は得られない。異性としては100%理解できないが、女性には共感を…