2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

失敗は密の味

中小企業コンサルのカリスマである著者が自らの経験を通して、有効な失敗を奨める。時に期待の部下には自ら発案させ失敗を経験させることで成長を促す。経営する企業では信証必罰の人事システムを構築。更迭も日常茶飯事だが敗者復活の道筋もつける。自らの…

福井モデル

地方消滅と全国的に衰退が報じられる中で、唯一活気にあふれた北陸3県の成功例をデータを駆使して分析する。富山市のスモールシティと鯖江のメガネ産業。最終的には教育の力と断じる。かなり衝撃的な内容。国民が知らなすぎるのも事実。図表を多く使いわか…

世界の駅へ行ってみる

ビジュアル文庫。タイトル通りの内容。有名どころの駅を写真と短めの文章で紹介。どうしても鉄道先進国であるヨーロッパが中心となる。しかも首都のメジャーなターミナル駅が中心。規模や建築の優雅さを考えると妥当なところ。急発展する中国やまだまだこれ…

純米酒

著者は元財務官僚。技師として長年造酒屋の指導にあたる。戦後の三倍醸造の不幸な時期に歪められた日本酒産業を憂い、本来の純米酒での再生を訴える。平易に書いていると本人は言うモノの、技術論は専門用語が氾濫し素人には難解。原料の米、水の大事さと発…

俺の日本史

古代から明治維新まで独自の史観で一気に駆け抜ける。前書きで暴れるようなことで期待したが極めて常識的な範囲。あまり深い掘り下げは無し。立場的には中間より右よりで戦後の左翼史観に反発はしている。むしろちょっとしたトリビアネタが面白い。世代的に…

かたづの

遠野に伝わる一本角のかたづの伝説。彼に語らせることで江戸時代初期の女領主の波乱の生涯を描く。南部家内特に宗家との争いで夫や息子を忙殺され、長女は意に添わぬ政略結婚を余儀無くされる。さらには横槍で八戸から遠野へ移封。困難な局面を知恵と誠意で…

本屋会議

街角の書店の減少を嘆く著者らが始めた本屋会議。本を愛する人々が集い、将来を議論する。少子化とネット依存が重なり書店の経営は苦しい。これという解があるわけではないが、独自色を出して戦う試行錯誤の段階。応援はしたい。本屋会議作者: 本屋図鑑編集…

本質思考

著者はドイツ系コンサル会社のパートナー。ビジネスコンサルとして数多くの案件を手がける。実例をあげてその思考法を解説する。1枚にまとめたモデルに時系列の因果(ダイナミズム)を考え合わせて掘り下げる。図示が多くわかりやすい内容。逆に常識的で派…

キシャツー

北海道のローカル線。純朴な高校生たちの夏休み。それぞれ恋に進路について悩む時期。そこに東京から姉を捜しにきたという旅の男子高校生が現れる。姉捜しはあっけなく簡単に結末。それぞれを語り手にして家庭の事情が明らかにされていく。それぞれ際だつ個…

夢をまことに

主人公は近江国友村の鉄砲鍛冶。村の公事で江戸に出た機会を利用し、諸藩の技術者と交流、最新の西洋技術に接する。工夫に工夫を重ね、空気銃や万年筆さらに天体望遠鏡を完成させる。火縄銃の生産が減少した村の事情はあるものの、技術屋としての飽くなき探…

歩き続ければ大丈夫

著者はケニアナッツカンパニーの創業者。アフリカの大地に魅せられ現地に溶け込んだ起業を成功させる。小規模からスタートし現地の雇用拡大を優先させる。ビジネスと社会貢献の両面で大成功した後に現地人に経営を任せる引き際も見事。現在はルワンダで微生…

電車道

東京西部の近代史を私鉄沿線の発展をバックに描く。主人公は二人、私鉄(小田急?)の創業社長と私学(成城学園)の校長。いずれも前職をドロップアウトしたが、不思議に社会の発展の波に乗った格好。本作はがつがつした立身出世の物語では決してなく、作者…

神坐す山の物語

青梅の山奥、武蔵御嶽山を舞台にした連作集。神職とその一族に語り継がれる驚異談を昔語りの形にして綴る。明治から大正へ近代化の時代、まだまだ神が身近であった頃の物語。内容的には作者が得意とする人情話。安心して読める秀作。一度現地を訪ねてみたい…

石油の埋蔵量は誰が決めるのか

副題にあるとおりエネルギー情報学の入門書。長年三井物産で資源エネルギーを担当した著者が、他とは大きく異なるこの業界の常識を平易に解説する。なかなか知り得ない内部事情にまで踏み込んだ内容で読み応えがある。日本の優位性は省エネ、環境技術。これ…

うれしい悲鳴をあげてくれ

短編(ショート)の小説とエッセイで構成される。著者は元ロックバンドで現在は作詞と音楽プロデュースを手がける。微妙な評価。驚くような内容は正直読み取れなかった。世代的には私より子供らに近いかも。ネタ的に重複している所は見受けられた。厳しめに…

八ヶ岳やまびこ不動産へようこそ

連作集。イタコの子孫で自殺願望を持つ人を感じ取ることができる主人公。さまざまな事情で死を覚悟した人間を周囲に感知し、未然に防ぐ。豊かな自然の中で、家族関係や介護などの現代社会に悩む人間が描かれる。結末には一定の救いはあるのだがあまり晴れ晴…

杏のふむふむ

モデルから女優となった著者初のエッセイ集。タイトルのふむふむはラジオ番組で使った相槌であるが、何事にも知的好奇心旺盛で積極的にトライする。誰にでも好かれ周囲に良い循環が生まれているのがよくわかる。文章も巧みでウィットにも富む。才色兼備を地…