一代で日清食品を築き上げた安藤百福氏の一代記。若い頃の不運や失敗にめげず、掘っ立て小屋の研究室で自らインスタントラーメンを発明したエピソードはあまりに有名。自社の利益のみにこだわらず、食品産業の社会貢献に献身。業界を主導する。記念会の発行…

日本企業に勤める外国人社員の疑問や不満を取り上げ、その解決策を示す構成。まず多くの外国人従業員が国内外で勤めていることに正直驚く。トラブル事例は単純な慣習やコミュニケーションの問題から、根の深い文化や人生観の違いまで様々。経験が乏しく日本…

NHKのリポーター、キャスターであった著者が、原発事故に触発され自主映画を作成。単純な反原発では無く、事故の真相、対策を世に伝えようとする。その姿勢は体制派の上層部の不評を買い圧力がかかる。あっさり退職し、自分の信じた道を行く。責任論では無く…

古典から現代まで１００年にわたる経営戦略論史を俯瞰する。すべての重要な学説と手法は網羅。簡潔に解説する。山を登るのに道を選ぼうとするポジショニング派と登りやすい方法を選ぼうとするケイパビィリティ派。近年は融合論さらにはそれらを飛び越えるイ…

若者向けの最新連載エッセイ。世評をシニカルに切り政治や社会に警鐘を鳴らす。アベノミクスには疑義を隠さない。夢を持てない若者には同情するわけではないが、観る目は温かく陰ながら応援する。社会全体で高度成長の夢から離れ新たなビジョンが必要。読み…

中国地方山間部の地方都市、おそらく津山がモデルを舞台にする家族小説。三浪の末東大受験の夢破れて帰郷するヒロイン。気の強い女性３代とおっとりとした男性３代。過疎に悩む地域を背景に人間模様が展開する。主題は誰もがもつであろうふるさとを想う心の…

ストーリー仕立ての経営指南書。舞台は郊外紳士服チェーン。成長は停滞期にあり、創業者の父親から経営を受け継いだ新社長は温厚であるが押しが弱く経営に苦しむ。経営企画室の若手である主人公は、さまざまに障害を乗り越えて社内の活性化と新規分野の開拓…

江戸城の開城が決まった後、尾張藩の下級武士が城受け取りの斥候として送り込まれる。彼を待っていたのは威風堂々たる最後の旗本。黙して語らずただただ端座する。調査するうち彼は金銭で落ちぶれた旗本株を買い本人と成り代わったことが判明する。その正体…

DeNA創業者である著者の自伝。ベンチャーから立ち上げIT社会で急成長。2000億企業に育て上げる。マッキンゼーのパートナーから華麗な転身。ITエリートのイメージがあるが、内情は以外と浪花節。成功の鍵は優秀な人材を集め責任を任せること。意気に感じて大…

空自の広報室が舞台。交通事故でパイロットへの夢を絶たれた一尉とテレビ局の女性ディレクターの恋愛を背景に、広報室メンバーの活躍を描く。実際の取材に基づくようだが、意外と柔軟で民間的な発想の担当者たち。しかしその存在からどんなに努力しても世論…

タイトルの一刀齋は新撰組３番隊長斉藤一の逆読み。戊辰戦争を生き残った居合いの達人が明治天皇の大喪の礼で休暇中の陸軍中尉に自らの来し方を語る。真剣での命のやりとりは、武士道のきれい事からはほど遠く、だまし討ちに近い駆け引きが勝負をわける。唯…

昭和の歌姫藤圭子へのインタビュー。歌手としての引退直前に行われ、生い立ちからデビューさらに男性遍歴まで彼女の半生をあますところなく伝える上級のノンフィクションとなっている。特にのどを手術したことで声の質が変わり、本人がプロとして満足した歌…

津軽弁が遠因で引っ込み思案な高校生が、自分を変えようと青森のメイドカフェでバイトを始めるという無理のある設定。個性的な先輩メイドと家族の支えで友人もできかけたところで、店は閉店の危機。得意の津軽三味線でピンチを救う。結末は予想通りだが、展…

文楽に魅入られた若手の大夫。厳しい三味線引きと組んで修行に励む。文楽の名作を奏でながら、私生活の恋を成就していく。奥深い世界をよく描いているが、作品の世界は残念ながら知らない。興味を抱かせるには充分な力作。仏果を得ず作者: 三浦しをん出版社/…

秘書歴２０年の著者が、そのノウハウを全て明らかにする。基本はタイトルにある通り心遣い。相手の立場に立って考える姿勢はビジネスの基本。上司や新人のタイプ別による対処法は笑いを誘うが、全体としては実用書の域を出ない。日本一のプロ秘書はなぜ「こ…

ストーリ仕立てのファイナンス入門書。基本はキャッシュフローからＮＰＶを算出する手法を解説。企業価値、投資判断を実例に上げる。細かい財務用語はあえて避け、肝をつかむことを目的としている。さすがに知っている内容だが、あらためての復習にはなる。…

戦国時代を舞台とした短編集。あまり知られていないエピソードを中心にした５編。北条家まわりの逸話が多い。武田滅亡の後、徳川＆北条の争い。中央政権をにらみながら生き残りをかけた男たちの戦いが続く。勝負所を見誤らず、一瞬にかける大切さ。読みやす…