2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

太平洋食堂

主人公大石誠之助は、明治時代の新宮の義人。医師であり、海外に見聞を広め、藩閥政治、特に貧富の差に疑問を抱く。一方東京には英才幸徳秋水あり。卓抜した理論と文章力で主義者のカリスマとなる。いずれも喧伝されるような急進主義者ではなく、今で言えば…

帝国ホテル厨房物語

帝国ホテルの総料理長ムッシュ村上シェフの自叙伝。幼くして両親を亡くし、ガキ大将は料理の世界へ。下積みから憧れの帝国ホテルの厨房へ。出征、シベリア抑留も経験。どんな環境でも料理の腕とリーダーシップで前向きに生きる。復帰後は若くしてヨーロッパ…

街場の親子論

内田樹、るん親子の往復書簡集。これまでの親子関係や人生観を披露しあう。若くして離婚し、父子家庭であっただけに、その距離感は微妙。また娘は高校卒業後独自の道を歩む。考えはリベラル。考えてみれば親子関係は難しい。互いをわかっているようで本当に…

はい泳げません

金槌の中年男が、スイミングスクールへ。見事泳げる人になるまでの奮闘記。コーチの女傑がなかなかユニークで、次々進化をとげていく。生徒たちはおばちゃんは個性豊かで、口さがない。泳ぐことを人に教えること、また文章にすることの難しさ。コミカルに描…

HRプロファイリング

企業人事を科学的に進める手法。個人の本質はヒューマンコアに形成されこれは後天的には変質しない。上層の知識やスキルは教育により育成する。如何にコアを見極め、採用や配置に活かすかが課題となる。一方で企業としては望まれる人財モデルを定義する必要…

だし再発見のブランド戦略

著者は元禄からつづく老舗にんべんの13代当主。歴代の家業を振り返り、将来を見据える。鰹節の卸問屋だが、斬新な改革で成長。現金取引の導入。商品券の発行など。一方で品質にこだわり、良品廉価をモットーとする。安易な安売りはしない。戦後の発展はフ…

戦略読書

経営コンサルである著者は、稀代の読書家でもある。その遍歴と他と差をつける戦略を伝授。ジャンルと難易度でポートフォリオを形成。自らの成長に合わせて意識して変化させていく。自分の専門分野に集中させないことがキー。納得できるがあくまで若者向き。…

サガレン

著者によるサハリン旅行記。前半は鉄道紀行風。後半は戦前にこの地を訪ねた宮沢賢治の魂の遍歴を追う文学的な旅となる。妹を亡くした後、最果てまでの旅で生きるためのの回答を得る。その明らかな変化は詩に残されている。残念ながら完全には理解できず、雰…

守教

九州久留米藩の隠れキリシタンを題材にする歴史小説。大友宗麟の家臣が引退、大庄屋となり彼の子孫が代々、信仰を守り抜く。禁教の時代も、現実的な対応で踏み絵は踏み、心の中の信仰を守り続ける。一方で献身的な聖職者の姿も描かれる。その遥かな旅路と歩…

経済学を味わう

東大経済学部の教授陣が、教養生向けに行った講義がベース。最新の経済学のエッセンスが専門別に解説される。マクロ/ミクロから会計/ファイナンスまで。内容構成、難易度も様々。数式が入ると途端に難しくなるのは仕方ないところ。経済学の本来の目的は社…

国立西洋美術館名画の見かた

現役のキュレーターが所蔵品を中心に名画鑑賞法を伝授。ジャンルごとに解説するのは意外と目新しい。物語画をトップとするヒエラルキーは時代とともに解消していく。カラーの図録も豊富で極めて分かりやすい内容。後半は楽屋ネタのギャラリートークだがここ…

東京発半日徒歩旅行

タイトル通り、首都圏軽めのお出かけ案内。実際に著者の体験による。意外と範囲は広く、首都圏3県から山梨まで浸食。徒歩は2-3時間だが、アクセスにそれ以上かかる計算。結局は1日仕事になる。内容は簡潔で文章も巧み。旅心をくすぐられるのは確か。地…

企画書は手描き1枚

広告業界、プランニング。如何に相手に想いを伝えるか。方眼紙への手描き資料を推奨する。表面的なプレゼン技術ではなく、如何に案を練り、一枚に簡潔にまとめるか。基本とすべきは感動である。文字通り平易にまとめられており、理解しやすく参考になった。 …

知略の本質

戦史から学ぶ戦略、組織運営論。4つの闘いを解析。独ソ戦、バトルオブブリテン。ベトナム戦争、イラク戦争。特に印象的なのはベトナム。ホーチミンの指導の下、フランス、アメリカを退ける。機動戦と持久戦の二項動態の中で最適点をみつけることが重要。物…

トラックドライバーにも言わせて

日本の物流を担うトラック輸送。元女性ドライバーの著者がその実情を解説する。一見マナーが悪く、さまざまな問題を起こしているが、そこにはドライバーたちの止むにやまれぬ事情が存在する。圧倒的に強い立場の荷主は、定時配達に加え荷役作業も強要する。…

海のまほろば

戦艦大和4代艦長。森下信衛の闘いを描く。操艦の神様と呼ばれる。沖縄特攻では参謀長として参戦、上級将官として唯一生き残る。人格高邁、人間愛にあふれ部下から慕われる。熱い漢である。森下家に居候し、最後の従兵となった若者が語り部。最後の別れの敬…

共感経営

日本企業は、本社部門の官僚化により、分析、計画、法令順守の3つが過剰となる三大疾病で身動きの取れない状態。ここからの脱却には共感からなる真のイノベーションが必要。成功事例の紹介と経済学的な解説を加える。経営陣の務めはいかに未来を予測し、跳…