2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

人を殺してみたかった。

名大の女子学生が犯した殺人事件。その動機、背景に潜む特異性に迫るルポ。丹念な取材から浮かんできたのは犯罪の現在性。犯人であるマリーは過去の猟奇事件等に異様な興味を示し、情報を収集していた。模倣したのは女子高生による母親毒殺未遂事件。硫酸タ…

立ちそばガール

女子にはまだ敷居の高い立ちそば屋への潜入ルポ。著者はマツ子の世界への出演で知った。名店からチェーン店まで好意的に紹介。ずいぶんクオリティは上がっているようだ。売りなのだろうが必ず揚げ物を頼むのはそば食いとしては邪道のような気もするが。編集…

運は創るもの

ニトリの創業経営者である著者の自叙伝。日本経済新聞「私の履歴書」の連載に加筆。樺太から引き上げ極貧の幼少期。学業不振でいじめられた学生期。転機は自宅での家具屋創業。しがらみの多い業界の中で、新機軸を次々実行。信奉するチェーンストア理論を実…

織田信長四三三年目の真実

続編。歴史捜査の範囲を拡げ信長の生涯を俯瞰する。戦国武将の戦略書であった韓非子の哲学から言えば、主従関係は実利に依るもの。用済みの部下達は処分の憂き目にあう。後世の常識や物語に書かれた武士観を否定。本能寺の変に関する自説を補強。既知の内容…

探検隊の栄光

昭和の時代に名を馳せTVの探検隊がモチーフ。アジアの発展途上国でやらせの撮影を進めている最中に反政府ゲリラに拘束される。命の危機にも相手と交渉し、撮影を続行。気のいいゲリラたちは呆れながら協力し、やがて奇妙な連帯感が醸成される。政府軍との戦…

壁を打ち破る34の生き方

NHK「プロヘッショナル」の取材記。これまでに登場した各界のプロから、その流儀を抽出する。スポーツ選手から医師、料理人と幅広いが、経営層は少なく現場に近い人々が選ばれている。共通するのは積極性。すなわち仕事に対する使命感と熱い思い。構成は…

朴クネの真実

韓国初の女性大統領を通して、韓国の政治風土、文化を論評する。一貫した主義主張でなく国民の情緒に乗り、当選を果たした。国父、国母と呼ばれ糾弾に倒れた両親から受け継いだ遺産も大きい。韓国全体が反日、親北では一致する。中国よりの政策も自然な流れ…

仙台ぐらし

エッセイ集。地元紙に年2回の寄稿。作家の身の回りに起こったことなどを題材に多少の創作を加えて地方都市の生活感を描く。間に大震災を挟んでいるが、大仰には取り上げず自らの記録という抑えた形で残す。唯一ボランティアを題材にした短編を追加。気弱で…

僕はこんな旅しかできない

著者のブログから。60歳になっても毎週のようにアジア各地を旅する。いまだにLCCの格安便にこだわるわたりは貧乏旅行のDNA。時代の流れとともにバンコクの定宿は閉鎖。再開発はタイが豊かになった証ではある。思えば最初のタイ赴任のころに著者の情報は貴…

もらい泣き

涙をテーマにした連載コラム。かなり脚色されているようだが、元ネタは実話。親子や夫婦の機微に触れるテーマが多い。お涙頂戴ではなく、人生の転機になるようなエピソードが主。前向きに生きる勇気をくれる。連載途中に大震災が発生。それ絡みの題材が後半…

クールジャパン

著者はNHK−BSで同名の番組司会を務める。日本在住の外国人を集め異文化体験を語り合う構成。おそらく知日派の集まりであろうが、かなり驚きのコメントが寄せられる。著者の持論である世間が存在する日本社会、いわゆる村縁社会が大きく作用しているとい…

くまもんの秘密

くまもんを育て上げた熊本県庁職員の私家本からの出版。九州新幹線にあわせて始めたPRは関西中心。ネットからメディアへの発信が上手く行きメジャーへ駆け上る。フリーで各企業に肖像権を使わせたのは有名な話。トップ(県知事)の英断とサポートが強力で…

削り屋

親との確執で、歯学部を中退した主人公が、東京下町の町工場に住み込みで働く。共通項は削り。NC制御全盛の時代に昔ながらの機械式に取り組む。背景には幼なじみの友人と恋人。さらにライバルの御曹司の存在とこの辺はわかりやすい青春小説の設定と展開。震…

マスカレードホテル

一流ホテルが舞台。連続殺人の予告がなされ、敏腕刑事がフロントマンとして潜入する。指導するのは優秀な女性スタッフ。それぞれの立場や考え方の違いから衝突を繰り返すが、やがて互いを認め合うというステレオタイプのストーリー。謎は結局犯人の狙いがヒ…

泣いたらアカンで通天閣

大阪新世界を舞台にした人情モノ。コテコテのラーメン屋店主の父親としっかり者の娘が主人公。ヒロインは上司と不倫をしており、別れが決まってから妊娠してしまう。数々の騒動のうちに実は自分も実の娘ではないことが判明。口は悪く喧嘩早くどうしようもな…

握る男

寿司屋の小僧として出発した16歳の少年が、外食業界を牛耳るまでにのし上がる物語。語り手は兄弟子でありながら片腕として彼を支えた番頭格。「握る」は寿司では無く人心。作品中ではキンタマとして他人の弱みを指す。急速に成長した組織はあちこちで歪み…

若沖

奇想の画家若沖。その創作の謎を追う小説。商家の跡取りでありながら人付き合いが下手で、結果として若妻を自死に追い込む過去。ますます画業に逃げ込むが、恨みを持つ義弟が贋作者となり彼との相克が主題。代表作が次々と登場しその背景を画家の心情にあわ…

この年齢だった

各界で活躍する女性の経歴を振り返り、人生のターニングポイントとなった年齢に焦点をあてる。紫式部、清少納言からレディガガまで幅広い。確かに女性には結婚、出産というおおきな岐路がある。それをどう捉えるかも大きな決断。同性の目から見てその評価は…

昭和史の10大事件

歴史探偵とストーリーテラーの対談。金融恐慌から始まり高度成長まで、年表から拾った10大事件を持ち寄り、それについて語りあう。特に半藤氏が自らの人生の節目となる2点を挙げているのが印象的。東大ボート部でヘルシンキ五輪に挑むも僅差で出場を逃す…