経済

商社進化論

日本の5大商社の現状と将来をルポする。日経産業新聞の連載。それぞれの伝統や得意分野を踏まえながら、共通する課題はDX対応、SDGS、若手の活用とレベルは違うがこちらも一緒。大きな危機を乗り越え、現在は総じて好調である。最後のトップインタビューは迫…

漂流する日本企業

日本経済の失われた30年の原因とその対処法を説く。2度の金融危機により、銀行に依存できなくなった企業は、内部留保を高め積極投資を抑制した。一方で外圧によりガバナンスが流行りとなり、配当性向を高めた。直近では投資額より配当額が高い異常な状況…

プアジャパン

時評。急激な円安もあり国際的な地位を下げる日本。インバウンドの増加は単純に喜べる現象ではない。政府の補助金政策と円安誘導でイノベーションを怠ったのが最大の要因。打開策はデジタル人材の育成と確保。企業ごとの固定的な人事政策を打破し、流動性を…

超創造法

生成AIの現状と活用方法を解説する。現時点では使えるのは翻訳と要約。但しプロトコルにテクニックが必要。結果にはミスも多く信頼性は低い。AI側の創造性は期待できない。技術的な改良が進めば、大きく社会を変えることは間違いない。まずは教育システム。…

ザイム真理教

大蔵省、財務省を痛烈に批判する。財政均衡を正とし、緊縮財政と増税で日本経済に深刻なダメージを与えた。多くの政治家を洗脳し信者とする。最たるものは岸田首相。唯一反攻したのが安倍首相だが、森友問題を仕組まれしぶしぶ消費税の引き上げを承認した。…

シニアエコノミー

高齢化が進む日本社会をビジネスチャンスと捉え、新たな起業を促す。ポイントは巨大な金融資産。個人が死去までに使い切ることで経済を廻す。高齢者と若者をつなぐビジネスにも機会が大きい。説得力は相変わらずだが、従来の主張を繰り返しており、焼き直し…

シンプルで合理的な人生設計

著者による幸福論。理論と実践に分かれる。3つの資本を活かし如何に満足できる人生を送るか。これまでの著書で述べられた内容が多く、さすがに出版過多のイメージがあり減点対象。ところどころハッとさせられるネタがあるところが著者に魅力ではある。 -幸…

2040年の日本

近未来予測。日本の未来は人口減少、高齢化により決して明るくない。成長率は良くて1%。政府試算の2%は現実を隠ぺいするためのまやかしでさる。急激に変貌する社会に対して、デジタル化が急務。それを担う人材が圧倒的に不足している。リスキリングを含め…

自然、文化、そして不平等

講演をまとめたもの。経済史上の格差問題について豊富なデータを基に平易に解説。各国ともに累進課税がその対策の中心となるが、レーガノミクスで緩和したアメリカを中心に格差が拡大する方向にある。より深刻なのは環境負荷で、富裕層の使用分がCO2放出の過…

落語で資本論

古典落語を引用し、難解な資本論を解説しようとする意欲的な取り組み。著者は慶応大でマルクス経済学を専攻したいわば専門家。どちらかというと落語の世界、とりわけ師匠である談志の言動にスポットが当たる。なんとなくだがエッセンスは感じられたか。読み…

夢と金

自己実現のためには資金が必要。現代社会に即して手法を伝授する。モノがあり余る時代、いかに付加価値をつけるか、「機能」でなく「意味」を売る。いわゆるファン経済を分かり易く解説する。行きつくところはNFTの活用。あえての上から目線は気になるが若者…

モデルナ

コロナワクチンの開発、供給で一気に名を馳せたモデルナ社。数年前は弱小のバイオベンチャーであった。mRNAの開発で新規医薬品の開発を目指していたが、実績がなくその将来性には疑問符がつく。株価はIPO価格より下振れ。コロナ対応でウィルス開発にリソー…

老後の資金がありません

中年夫婦が主人公。娘の結婚と親の葬儀で乏しい資産を使い果たした上に、二人ともリストラの憂き目にあう。姑を老人ホームから引き取るが、この母親が傑物で、積極的に年金詐欺の片棒をかつぐ。前半の暗い展開から陽転。最後は光明が見える。金融ものエンタ…

2035年の世界地図

世界の知性と呼ばれる4人が、コロナパンデミック、ウクライナ侵攻で揺れ動く世界を展望する。副題にあるように民主主義と資本主義の未来。総じて楽観的で、一時的な後退はあるにせよ、終結後はグローバル化が進展すると予測。西欧的な見方がベースとなるが…

第4の波

現在進行中の第4の波についての解説。乗り遅れた日本に警鐘を鳴らす。セミナーとこれまでの著書からの抜粋。AI&スマホで社会が大きく変わる。日本の政財界は未だに工業化社会(第2の波)の好結果が忘れられず、ケインズ経済学の呪縛にとらわれている。アベ…

見果てぬ王道

中国の革命の父、孫文とそれを支えた日本人実業家梅屋庄吉の交流を描く歴史小説。梅屋の方は正直あまり知られていない。長崎出身だが若い時から海外雄飛。写真館と映画興行で財をなす。欧米に虐げられるアジアの人民を救うべく、物心両面の援助を生涯続ける…

臆病者のための億万長者入門

著者による投資指南書。対象は一般のサラリーマン。金融業界ではあまり表に出ない本音トークは真骨頂である。推奨はETFのドルコスト法と外貨投資による分散投資と常識的な線。不動産はクローズトマーケットでありお勧めできない。2014年の初版だが基本は変わ…

伊藤忠

見事に商社のトップに躍り出た伊藤忠の経営の歴史。近江商人を発祥とし、繊維問屋から総合商社へ。高度成長の波に乗ろうと資源、石油精製に乗り出すが痛い目にあい、撤退。現在は生活関連に重点を置き、堅実に業績を伸ばす。歴代優秀な社長を生み出している…

Web3とDAO

何かと話題のDAOの解説書。著者らはその最前線に立つ。インターネットの歴史からひもとき、現在のプラットフォーマーの寡占から脱却し、民主化を目指した変革に期待する。前半は平易に書かれているが、後半は専門用語が頻出し理解が及ばない。興味はあるがな…

キーエンス解剖

超優良企業であるキーエンスの強さの秘密に迫る。直販による顧客に密着したコンサル営業とその情報共有。さらに即納体制で、ユーザーの心を鷲掴みにする。ある意味王道なのだが、仕組みづくりとそれを愚直に実行する力。社員には処遇で答えモチベーションを…

ONEはなせ成功したのか

日本の海運会社三社がコンテナ船部門をスピンアウトとして設立した「ONE」。シンガポールを拠点に独立した経営を行い、大きな利益を上げた。コロナによるコンテナ不足で単価が急騰したことはあるが、大方の予想に反し成功した事例となった。コンテナ業界は離…

再興THEKAISHA

アメリカ経済学者による日本企業の研究。タイトな文化にある日本は、急激な変革よりも安定を優先した。そのため失われた20年からの回復には時間を要したが、ゆっくり着実に改革を進めていると肯定的に評価。スマイルカーブの上流にシフトすることで、ジャパ…

新人記者のみなさんさあ決算取材です

日経の新人記者向けの社内チャットがタネの一冊。株式市場周りの用語や動向が初心者向けに平易に解説。既知の部分が大半だが、ふむふむと納得できる部分もあり、あらためて勉強になった。ベテラン経済記者の筆で読みやすく書かれている。好著。 -税務当局は…

パックン式お金の育て方

パックン流投資の指南書。結論から言えばS&P500のINDEX長期投資を推奨。パッシブインカム(投資収入)がアクティブインカム(労働所得)を上回ることが理想。人生に余裕が出る。随所にユーモアをちりばめ初心者向けに平易に解説。著者は子供のころは母子貧困…

論文集

早逝した著者の主張をまとめたメッセージブック。大学生を代表とする若者を煽る。思考と交渉を武器にパラダイムシフトを目指す。前半はベンチャー起業の実際を出口戦略を含めて解説。後半はそのバックボーンとなる思想。理論より行動を重視する。実践家らし…

ボーダー

日本の難民、移民政策という重いテーマに正面から向き合った渾身のノンフィクション。難民条約に加入しながら、その受け入れ数は先進国の中で圧倒的に少なく国際的な非難を浴びている。さらに悪名高い「入管」問題。劣悪な環境で長期拘束し、身体、精神を病…

ジャパニーズハロウィンの謎

橋商学部のゼミによる研究。テーマは消費者行動学。各地のイベントに出かけ、参加者や関係者にインタビューを繰り返すことで、その深層心理を明らかにする。結論的にはそれぞれ参加者のインサイトを掴んでいることが発展の原因。渋谷のバカ騒ぎが注目される…

不思議の国ニッポン

海外メディアの特派員が見た日本の実像。彼らから見て不思議な日本が展開される。デジタル化の遅れ、男女の不平等など、人口減少など根の深い問題が多い。天皇制についても真摯に向き合う。現上皇のリベラルな態度には高評価。日本のマスコミでは左右のフィ…

中二階の原理

日本社会の特性を際立たせる著者の新たな議論。歴史から紐解き、二階の原理と現場のねじれを中和する中二階の存在を指摘する。具体的に言えば実権を持たない天皇制の存在が代表例。廃藩置県と戦後の農地改革を最小の流血で乗り切ったのもこの緩和剤があった…

格差の起源

世界史を大きく俯瞰し、人類の発展(第1部)と格差(第2部)の起源を探る。成長の最大要因は産業革命と人口転換。機械化により人間は単純労働から解放され、量から質への転換が起こり、「マルサスのくびき」から解放された。格差は地形の問題と、出アフリ…