2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

エースの系譜

今をときめく「もしどら」の作者の処女作。弱小高校野球部の顧問の目を通して歴代のエースの戦いを描く。地方大会の一回戦負けから、県大会の決勝に勝ち進むまで。甲子園への道は厳しい。著者の野球への想いと造詣がこめられているのは分かるが、物語は劇的…

李明博自伝

現職韓国大統領の自伝。極貧の少年時代。苦学して大学に入るが学生運動で投獄される。成長期の現代建設で人一倍働き、オーナーである鄭会長の信頼を得たことで「神話」と呼ばれる異例の昇進を成し遂げる。決して上司におもねることなく、常に自分の信念に従…

アフリカ

NHK特集の取材記。豊かな資源と9億人の市場を武器に急速に発展するアフリカの今を伝える。かっての植民地から独立、IT化により世界に近づいた一方で、国、地域、民族により貧富の差が拡大しているのも事実。1年にわたる取材で放映はわずか3回。伝え…

英国機密ファイルの昭和天皇

戦前戦後に渡る英国諜報部による対日工作。大英帝国は明治維新のころから皇室については緻密な調査を行っていた。戦前の吉田/白州による日本からの和平工作については、チャーチルは米国の参戦を引き出すために黙殺。戦後は立憲君主国の先達として力を発揮…

海の底

自衛隊モノ。巨大化した甲殻類が横須賀を襲う。潜水艦内に取り残された見習士官と子供たち。潜水艦モノなのに結局潜航せず、艦内での人間模様を描く。憲法の規定により何もできない自衛隊の無力とジュラルミンの盾だけで戦う機動隊の矛盾に作者の皮肉が垣間…

鎮火報

不良消防士が主人公。父親は殉職した消防士だが本人は屈折した思いで職についている。不法滞在の外国人住居をねらった連続放火事件のミステリー仕立てになってはいるが、人間の生死と職業特に公職につく人間の価値観を問う深い主題。本当に経験者が書いてい…

悪魔のサイクルへ挑む

人類への警告の書。実はこれは2作目のようだ。温暖化による海水温上昇が溶解しているCO2の放出を促進するとともに、メタンハイドレートからのメタンガスが放出されれば、加速度的に滅亡の危機は近づく。科学者らしく豊富なデータを図示すると同時に反論もお…

飛行機の操縦

ベテランパイロットが操縦の基本と裏話を披露。離陸から着陸まで操縦/管制/気象に分けて記述。それだけに重複が多くまた、英語での通信をカタカナ書きしているので読みずらい。後半は特にその傾向が強い。内容自体は大部分はぼく管で学習済み。知らない点…

太平洋の奇跡

サイパン島で日本軍が玉砕した後なお終戦まで戦い続けた陸軍大尉。民間人を助け山岳地帯に籠もり、時にはゲリラ戦で米軍を翻弄する。アメリカからはフォックスと畏れられた。悲惨な戦闘を経て強硬派となった人々を説得し、最後は誇りを持って投降まで導く武…

電車のデザイン

評価の高いJR九州の車両の数々。著者はそのほとんどを手掛ける。外観だけでなく内装にもこだわり一つの物語世界を構成する。受注にあたり最初のプレゼンはビジュアルでなく文章のみでコンセプトを明確にする。赤字でありながら大胆なデザインを取り入れた…

セキレイ荘のタマル

大学一年生が記する形式だが、真の主人公はクラブの先輩であり下宿の隣人がタマル。誰もが認める変人であるが、母親が自殺したトラウマから積極的なおせっかいになった。彼の活躍でクラブの危機を救い、カルト教団にはまった女子学生を救出する。軽めの失恋…

拒絶空港

パリ発成田行きの国際線に放射性物質が持ち込まれた。さらに車輪のバーストにより緊急着陸の要があるという二重苦の設定。国内空港はすべて受け入れ拒否。政府上層部は乗員を犠牲にしても着水させる構え。厳しい状況の中で機長以下乗務員の必死の努力と、地…

栄光なき凱旋

太平洋戦争時アメリカに住む日系人の苦闘を描く。ハワイとロスに住む2世はそれぞれの事情により軍に志願する。二人は海軍乙事件で入手した作戦書を日本側に戻すためにセブ島に潜入。一人はイタリア戦線で戦う。いずれも戦争は生き抜くものの、決して幸せと…

極北クレイマー

北海道の地方都市。最後に財政破綻するところは夕張市がモデルか。一人の外科医が派遣されるが、市立病院の現状は目を覆うばかり。厚生省から派遣された女医姫宮が一矢を報いるが、唯一の良心である産婦人科医が医療過誤事件で逮捕される。最後に救世主とし…