2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

日本の進む道

対談。政治経済から教育、日本社会の特性まで幅広く議論。藻谷氏が問題提議をし、年長の養老氏が答える形で進む。二人とも「みんなで考える」=何も決まらない日本社会には辟易しており、2038年に予想される東南海地震での大変革を待つという皮肉な結論。日…

笑って人類

近未来SF大作。世界の大国とテロ組織の平和会議当日に、テロ組織の代表が自爆テロを敢行。残されたうら若き女性補佐官と日本の能無し首相があきらめず平和条約の締結に挑む。終盤にかけ、過去の謀略や経緯さらにはどんでん返しが明らかになってくる。未来の…

ウクライナ戦争はなぜ終わらないのか

膠着状態となったウクライナ戦争の帰結をその原因分析から紐解く。この戦争は旧ソ連圏の再生を目指すロシアと西欧側への参加を目指すウクライナの互いのアイデンティティを賭けた闘いであり、妥協の余地は少ない。ロシアが開戦に踏み切った理由には、資源高…

必ずできる。もっとできる。

駒澤大学陸上部を率いる大八木監督の自伝。平成には箱根駅伝で無敵を誇ったが、その後苦しい時代が続く。自らの指導スタイルを見つめ直し一新。これまでのスパルタ式から選手との対話を重視する姿勢に。根本にはよく観察し、個性や体調まで把握し、指導して…

おしょりん

福井県鯖江眼鏡産業勃興期が題材。寒村の庄屋兄弟が明治期に起業する。羽二重で一度手痛い失敗をしているだけに、兄は慎重。営業センスに長ける弟は将来性を信じ強引に道筋をつける。大阪から職人を招き、徒弟制度で技術を移植する。親方毎に班を分け競わせ…

タイタン

近未来SF。人工知能タイタンが全てをコントロールする世界。人類は仕事から解放されて優雅な生活を送っている。ヒロインの心理学者に依頼されたのは、12個あるAI拠点の一つのカウンセリング。機能低下の原因を探る。時間をかけた会話と、最新鋭AIとの…

かがみの孤城

ファンタジーSF。ひどいいじめに会い登校できなくなった中1の主人公。鏡を通して不思議な城に招かれる。同様の状況の仲間が男女計7人。願いがかなう鍵を探すなかで、それぞれの事情が明らかにされ、仲間意識が醸成される。同じ中学に属することが明らかと…

京都不案内

作家である著者による京都エッセイ。東京在住だが、時折京都に滞在し、北白川あたりに定宿を持ち、街歩きと文人たちとのネットワークを楽しむ。京大の先生方や卒業生がつぎつぎ登場する。予測していたよりは高尚な世界。それはそれで楽しいが、時間の流れ方…

カメラを止めて書きます

著者は在日朝鮮2世。映画監督として家族の歴史をドキュメンタリー作品に残す。父は朝鮮総連の幹部で自らの息子3人を帰国事業で北朝鮮に返す。母も気丈な人で子や孫に物資を送り続ける。これにより在北の一族はある意味豊かな生活を送れているようだ。映像作…

アンビシャス

日本ハムの新球場ES CON FIELD建設秘話。日本ハム、北広島市、札幌市。とそれぞれの担当者の苦労と苦悩を描く。ノンフィクション小説。はた目には立派な札幌ドームからの移転の理由が描かれる。自治体同士の誘致合戦。大都市で住民の利害が対立する、札幌を…

悪名

ダルビッシュの実弟による自叙伝。野球エリートの兄と違い、多動性で小学生のころから、ケンカに明け暮れ、羽曳野に名を響かせる。逮捕歴は数えきれないほど、少年院やアメリカの隔離高校を転々とする。家族や周囲に支えられ、現在はようやくおちつき西成で…

2035年の中国

著者は外交官。元中国大使。3期目に入った習近平体制を論評する。戦後の共産党政治は毛沢東、鄧小平の時代から、政治と経済の間でジグザグの歴史を繰り返してきた。習体制はどちらかと言えば政治寄りだが、経済の発展無くして体制は維持できない。民度の上…

シャープ再生への道

台湾鴻海の副社長から、シャープに乗り込み短期間で再生を達成した著者の自叙伝。大企業病に陥っていたシャープに大ナタを振るう。若い頃に日本に駐在。日本の生産管理方式を学ぶ。鴻海では中国の巨大工場をスピード感をもって創業。一躍経営陣に躍り出る。…

南風に乗る

沖縄の戦後史を描く歴史小説。主人公は二人、詩人の山之口獏氏と政治家の瀬長亀次郎氏。日本の講和条約から切り離され、長く続く米軍の占領統治の実態。日本人を見下した植民地感覚。沖縄の民衆の苦しみは本土には届かずやがて不満は爆発する。72年の復帰…