2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

目にあまる英語バカ

世に氾濫する英語を話せる人間に対する憧れ、しゃべれる人間の思い上がりを痛烈に批判する。曰く大多数の日本人に取って英語を話す必要性は低い。学校英語が不十分であるのは本人の努力が足りない。小学生からの英語教育は無意味。結局は本人の地道な努力し…

涼宮ハルヒの憂鬱

人気アニメの原作本。つい逆流してしまった。アニメが原作にナレーションを含めて非常に忠実であった。それはとりもなおさずこの原作の完成度が高いことを示す。良くできた設定と構成。ヒロインに引きずり廻される相手役のキョンが一人称で語るスタイルも同…

阪急電車

宝塚/西宮北口を往復する間に描かれる恋愛短編集。出会、破局、報復などをテーマに一駅ごとに展開されるが、基本的には女性の凛とした生き方への応援歌がほのぼのと描かれが読後感は爽快。上り下りには6ヶ月の時差を設けて、後日談を披露する構成。軽くさ…

クアトロラガッツィ

天正の遣欧少年使節。一般の日本人には史実として知識はあるがその詳細は知られていない。本書は東西の歴史の転換点にある4人の若者とそれを取り巻く人々の一大ページェントである。丹念に一級史料を調査し、戦国時代末期での日本のキリシタンの状況を様々…

レアメタル

「カンブリア宮殿」。世界を飛び回る専門商社のトップ。元蝶理で孫悟空と呼ばれた暴れん坊。現代の山師だが人好きのする好漢。村上龍のイメージはマリオ。世界を飛び跳ねコインを探し出す。 3現主義 = 現場/現物/現実 商売は笑売 = 作り笑いは世界共通で…

スリランカ

金曜日の夕方時間が空いたので、上野の国立博物館で始まったばかりの「スリランカ展」に立ち寄る。表慶館での開催ということで、規模と人気のほどは推し量れる。個人的には期待以上のものだった。ほとんど知られていないスリランカの美術史が、時代順に展示…

メジャーリーグで覚えた僕の英語勉強法

大リーグへの挑戦は、異文化で家族共々新たな生活基盤を構えることであった。自らの貴重な経験から有効な学習法を解説する。英会話のヒント自体ははまあ常識の範囲内。むしろ旺盛な好奇心とあらゆる機会を捉えての学習意欲には感心する。モチベーションの高…

クイールを育てた訓練士

盲導犬を育てるカリスマ訓練士である多和田氏。犬の気持ちがわかる現代のドリトル先生と絶賛される。本書は自らの手記と、彼のキャリアを描いた記者のルポ。それに犬たちとの写真という構成。訓練士の社会的地位は昔から高くなく、経済的には困窮するが、社…

あほらし屋の鐘がなる。

すでに休刊になった女性誌に連載された辛口エッセイ集。前半は世の中年男性の生態を、後半はメジャーな女性誌を辛辣に批評する。読者が同性ということもあり遠慮のない筆運びだが、ウィットに富み笑わせる。男性から見ればわずかに残っていた若い女性へのか…

球形の季節

舞台は東北の小都市。題材は神隠し。主人公は地元の高校生たち。よくある噂話の究明から謎解きが始まる。この町は昔から異界と繋がっていた。ここでの異界は決しておどろしいものではなく現実世界と近い存在であり、人類の進化の可能性を暗示する場所として…

仰天中国

今は無きJASの機内誌への掲載。中国各地を写真入りの紀行文で訪ねる。肩のこらないエッセイだが鋭い観察眼は健在。通り一遍のガイドででは無く地元の人々の生活にずかずかと入り込み取材する。このあたりは著者の面目躍如。面白いのはやはり情報が少ない雲南…

涙ぽろり

盲導犬パピーウォーカーの手記。徳島ですでに5匹を育て上げたベテランさん。我が子のように愛しみ、大切に育てた子をやがて手放さねばならない寂しさ。その子が見事に盲導犬となった時の喜び。文章は決して上手くはないが、こちらも経験者だけによく伝わる…

エーゲ海の頂に立つ

NHKの番組でギリシャ、クレタ島を訪ねた紀行。「ホワイトアウト」や「黄金の島」でアウトドア派のイメージがある作者だが、実は胃弱で泳ぎも出来ないとのこと。書斎から解放され、日本を遠く離れたトレッキングは苦しくも楽しい。登山はやはり日頃の生活や、…

YouTube民主主義

著者は元毎日新聞の特派員。コロンビア大学の聴講生として数ヶ月滞在したNYで見聞きした最新情報。ネットの影響力により様変わりする選挙情勢、社会を冷静で客観的な立場から解説する。アメリカの歴史、政官界、市民心理まで熟知した著者ならではの視点に関…

のぼうの城

「のぼう」は「でくのぼう」である。領民からは様付けで親しまれている。普段は茫洋としてつかみどころの無い男だが、居城が小田原攻めの秀吉軍に囲まれてからは、比類無き将器を見せる。結局本城が落ちるまで唯一下らなかった誉れある最後の関東武士の一族…