2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧
著者が東京の各所を訪問し、心象風景を綴る。在日としてのアイディンティティを語るのは冒頭のみで、やや看板に偽りの感はあるが、逆に一般的な知的な日本人の現代感覚に近いモノはある。サブタイトルは「都市では誰もが異邦人」。自分の生活圏外から離れた…
対談集。辛坊氏が意識的に右より、ある意味平均的日本人の感覚を代弁し、孔健氏がそれに応えるという構成。それぞれの視点が出て面白い結果になっている。中国の国際的立場が強くなるにつれ、大人としての対応を求めたいのは誰しも思うところ。果たしてどう…
インフルエンザのパンデミックが題材。これを機に大阪を経済封鎖し、地方分権を目論む人気知事を窮地に追い込もうとする厚生省の謀略。策士彦根医師の活躍でこれは粉砕される。確かに弱毒性の新型インフルエンザに政府とマスコミが大騒ぎしたのは記憶に新し…
シリーズ3作目。江戸湾に現れた海賊船と正体不明の鰐。松平定信の妹を中心とするおとめ組の活躍で悪を討つ時代活劇。あまりに荒唐無稽。過去の史実や神話を適宜織り込んでいるが、増頁手法の域を出ない。つい過去作が面白かったので手を伸ばしてしまうが、…
日本陸軍の将官用の最高教本を著者が解説する。昭和初期に日露戦争と第一次大戦の戦訓をもとに作成されただけに、あくまで主力は歩兵であり、いかに機動力をもたせ集中運用するかが繰り返し説かれる。毒ガス使用の可能性も否定していないところは時代を感じ…
2010年の著作。日本市場の縮小は防ぎようがないとして企業には積極的な海外進出を促す。注目はインドネシアと東欧ウクライナ。労働力の安さと英語が魅力。実現のためには日本の教育の抜本的改革により国際的な人材の育成が急務。ロシアとは北方領土で妥協し…
女刑事姫川玲子をヒロインとする短編集。異例の昇進で主任となった敏腕刑事が部下とともに不可思議な事件を解決していく。直感を信じた犯人側との心理戦が得意技。連休中に気楽な娯楽作で一息。シンメトリー作者: 誉田哲也出版社/メーカー: 光文社発売日: 20…
震災直後から、4月中旬にかけての著者の論評をかき集めている。論旨は未曾有の国難にあたって首相を中心に、国家をあげて対策にあたるべきと繰り返す。誤解をおそれず「翼賛」や捨て身の英雄的な行為を礼賛するなど大胆な発言が目につく。複数のメディアに…
弱小劇団を主宰する弟を、実務に長ける兄が助ける。つきつけた条件は財政再建という厳しいものだが、管理を通じて公演の準備をするうちに、しだいに創作の喜びに引き込まれていく。最後は大小2つの緊急事態発生で一気にドラマメークをするが、全体のテーマ…
共著の形を取る。日本企業の成功事例を解析。勝見がドキュメント形式で紹介、野中が経営学的な視点から解説する。日本のミドルマネジメントはアメリカ式の市場分析に追われている。ITの発達がデータ収集を容易にすることで拍車をかけた。本来のリーダーは形…
ボス作。プラド美術館蔵。すごい世界。必見。http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/110903/index.html
地域総合整備財団(ふるさと財団)が実施した「地域再生マネージャー事業」を商会。現地に3年間住み込ませ従来にない活性化を図る。ただし彼らは主役ではなく「人おこし」の脚本家。主役はあくまで地元の人々。作者の目指すところはドライな資本主義から決…
ヤクザものユーモア小説。舞台は博多、地元の名門暴力団がフロント企業として人材派遣業を開始。旅行、サービス業界のカタギ衆がさまざまな手口で取り込まれていく。これが前半。後半は県警に対するコンゲーム。撲滅をめざす新任のエリート刑事部長に一泡吹…
短編集。男女の関係を軸に描かれるが、特に老年を迎える男の哀愁が漂う。いずれの主人公も何らかの過去と悩みを抱える。まったく幾つになっても度し難きものである。著者の作品はこれが初めて。鋭い文体を持つ人だ。冬の蜻蛉 (講談社文庫)作者: 伊集院静出版…
震災とそれに伴う復興資金により、日本の財政の破綻はより加速される。次ぎにくるのは破壊的な円安であり、日本の資産は一夜にしてその価値を失う。海外への分散投資を強く推奨。なかなかその兆候は見えないのが現実。マネー避難 危険な銀行預金から撤退せよ…
島原の乱を描いた力作。キリシタン側、幕府側の両面から描く。もちろんフィクションだが天草四郎は遣欧使節からただ一人棄教した千々石ミゲルの忘れ形見とする新説。厳しい修行ですでに霊体分離まで習得していたと描かれる。幕府側の主人公は上使である松平…
舞台は昭和初期の華族社会。混血故にアウトローぶる仮面をつけた主人公と親友の兄妹。恵まれつつも社会との格差に悩む若きノーブルたち。許されない恋愛がタイトルに象徴される。作者の得意な戦前社会の情景。台風の雨で一気に読破。単純に楽しめました。ロ…
著者は近大水産研究所の所長。「魚飼い」を自称する。30年を費やしてマグロの完全養殖を達成する。11年にわたる原因不明の産卵ストップ。臆病なマグロの激突死、さらに共食いや台風を乗り越えてのまさに偉業。私大ならでは文部省からの研究費に頼らない…
バンコクを中心にアジアに逃れる日本人を取材。状況は外こもりの前作よりよりシビアになっている。特にシニアの存在が目立つ。まえがきで断られているようにハッピーエンドは数少ない。いくつになっても夢を追いたい男達の群像。「生き場」を探す日本人 (平…
中島らもを意識した異色作家を偲んでかってのバーに集合した5人。当日まで面識はなくそれぞれ秘めた想いと目的をもって追悼のオフ会が開催される。そこで2体の死体が発見され大騒ぎ。盛りだくさんの設定の密室モノ。やや設定自体に無理がある。出られない…