2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

西郷隆盛と西南戦争を歩く

熊本を中心としたフィールドワークで西南戦争の実像に迫る。戦勝側の作られた歴史ではなく、薩摩側からの視点がやや多いが、極めて中立で様々な謎に迫る。神輿に乗った西郷自信の読みの甘さ。熊本城炎上の謎と興味はつきない。敗走する薩摩軍の悪あがきも伝…

ディスイズザディ

J2のサポーターたちを主人公とする連作集。架空のリーグ戦を戦う地元チームを応援する彼らにはそれぞれの事情がある。日常生活を離れてサッカーの世界にのめりこむ。ホームだけでなく遠征にもついていき、そこでの交流も楽しい。昇格、降格と悲喜こもごも…

美術館へ行こう

中小ながら独特の価値観を示す美術館を紹介。それぞれの特色を格調高くセンスの良い文章と写真で案内するガイド本。北海道知床から鹿児島までを網羅する。美術館だけでなく博物館、文学館なども含まれる。おやつ紹介はご愛敬。まだまだ行きたいところが多い…

なぜ御社は若手が辞めるのか

タイトル通りの内容。最近の定着率の低さその対策としてのリテンションについて解説。従業員および企業へのインタビューと統計から両社の想いの違いを明らかにする。SNSを通じて噂は拡散するので、連鎖反応や採用へも影響を与える。また辞める理由は一つでは…

SHOE DOG

ナイキの創業者である著者の自伝。大学時代は中距離のアスリート。恩師であるコーチと共同で起業。当初は日本のオニヅカ(現アシックス)の代理店からスタート。日本製の安価と高性能で業績を拡大する。やがて自社ブランドを立ち上げ、オニヅカとは訴訟を経…

新しい分かり方

人間の情報処理手法を解析し、心理学的に問い直す一冊。前半はだまし絵の世界。いかに人は思い込みで認識しているのかがよくわかる。後半はそれにまつわる随筆。こちらも出色の作品がそろう。著者はもと電通マンで独立。NHK教育のピタゴラスイッチで名をはせ…

グレイヴディッカー

ノンストップサスペンス。愛すべき悪党が骨髄移植のドナーとなる当日、殺人事件に巻き込まれたうえ、自ら命を狙われる。事件を追う警察と4つの勢力が絡み合う大チェースが赤羽から六郷まで墨田川沿いに展開される。よくできているプロットだが少し盛り込み…

笑いで天下を取った男

吉本創業夫妻の実弟で、笑いの王国を築きあげた林正之助翁。本書はその伝記小説である。戦前から漫才ブームまで数多くの芸人を育てる。生き馬の目を抜く芸能界だけに修羅場も多く経験。松竹との引き抜き合戦は茶飯事。ただ本領は芸人の実力を見極め、先の流…

天切り松闇語りライムライト

天切り松シリーズの最終巻。相変わらず格好いい盗賊の面々が人情話を語る。最後の表題作はチャップリンと五一五事件。全体として安心して愉しめる構成。天切り松 闇がたり 5 ライムライト (集英社文庫)作者: 浅田次郎出版社/メーカー: 集英社発売日: 2016/08…

パスコースがないじゃあつくればいい

サッカーフリークである著者の観戦ノートがベース。技術論もしっかりしているが、重きをおくのは人間観察。プレーヤーである前に立派な社会人であるべしが持論。芸能界や一般社会でも普遍の原理。ワールドカップ前の日本代表には手厳しが批判は的を得ている…

北の五稜星

函館戦争を戦い抜いた浦賀奉行所の若者たち。最大の戦力の開陽を座礁させたところから物語はスタート。陸戦に廻り覚悟の最期を迎える。死に場所を求める若者と、生かそうとする首脳陣の対立。唯一生き残った主人公には厳しい新時代が待っていた。函館訪問の…

日本史の謎は地形で解ける環境民族編

シリーズ第三弾。本職の治水事業と歴史を結びつけるエッセイ。なかなか面白い。今回のテーマは湿地。日本の農業は湿地の開発の歴史であった。水に浸かりながらの田植えの写真は衝撃。他に正倉院が盗掘されなかったのは奈良町のコミュニティの監視の目のため…

優れたリーダーはみな小心者である。

ブリジストンのCEOとして、辣腕を振るった著者のリーダー論。原経験は若い時代のタイでの在庫管理と秘書室長としてのファイアストーンの買収。繊細な神経を束ねて図太くする精神力がリーダーには重要と説く。組織の理想を明確にし、現状からの差異を埋めるこ…

敗れても敗れても

東大野球部の苦闘の歴史を記録した一冊。沖縄戦を指揮した最後の官選知事は戦前の名選手。覚悟を決めて死地に赴く。今島守として現地の尊敬を集める。戦後は私学の補強の中で、文武両道は苦戦を強いられるが好投手のいる時に花を咲かせる。野球はやはりピッ…