2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

鷲と虎

日中戦争時の空中戦を描く戦記物。タイトル通り海軍航空隊と国際義勇軍のパイロット二人に焦点をあて、それぞれの視線から平行に進める展開。大本営発表では圧倒的に有利な日本軍だが無謀な作戦により少なくとも勝ってはいないレベル。陸軍の侵攻により上海…

香港歴史博物館

正直あまり期待してなかったが非常に面白かった。有史以前から香港返還までの歴史を網羅して展示。 展示品のほどんどが複製品だが、精巧に出来ており興味を引く。当然ながらアヘン戦争から終戦までの植民地時代の展示に力を入れている。実物大の町並みなど興…

塩の街

宇宙からの飛行物質が原因で塩害により多数の犠牲者が出た近未来。堅物の自衛隊パイロットと親を亡くした女子高生のカップルが地球を救う。互いを想い合う純粋な恋物語。脇役もキャラが立ちしっかりとストーリーを構成する。ライトノベルながら感動させる1…

体制維新

共著の形を取っているが、ほとんど橋下知事の政治主張が前面に出されている。現在の日本の統治機構は明治維新の時の組織がそのまま受け継がれており時代遅れのものになっている。閉塞感を打破するにはシステムを刷新するすなわち維新が必要であると説く。特…

JAL崩壊

客室乗務員有志による内部告発の書。事実上の倒産に追い込まれた背景は、まずJASとの合併により負の遺産を引き継いだこと。特権にあぐらをかくパイロットたち。規則をたてに柔軟な運用ができない女性マネージャー。対抗的な組合と労働紛争。事なかれ主義の官…

スプートニクの落とし子たち

スプートニクショックの直後、日本は理工系大学の定員を拡大し、優秀な学生は工学部に行くべしとの気運を醸成した。作者らBest & Britest を自認する秀才達の来歴を記録する。多数が教授になるなかで、著者の親友である後藤公彦氏は米系銀行の副社長となり、…

狩野内膳

神戸市立博物館の南蛮図屏風。秀吉と救世主を融合させ恩義に応えた。http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/120107/index.html

ソフトボール日本代表が金メダルを獲った理由

2008年の北京オリンピック。いまだ記憶に新しい奇跡の勝利を克明に追ったルポ。斉藤監督の方針のもとボトムアップで培った日本代表はチームが一人のために機能し、過冷却の水が相転移したように別次元の力を得た。一人で決勝トーナメントを投げきったエース…

復興の精神

震災直後の5月に9人の著者からなる寄稿集。大物が顔をそろえる。自らの震災経験と復興への想いを綴るが、色彩はさまざま。努めて楽観的な励ましの論調が多い中で、厳しい現実を直視した部分も目立つ。下り坂の日本社会の中でどこに復興の目標を置くかとい…

くちびるに歌を

五島列島の中学校が舞台。産休の音楽教師として美人女性が赴任。彼女目当ての男子が合唱部に入部し女子部員と悶着を引きおこす。メインストーリーはNHKコンクールに向けて心を一つにし、達成感で終わるハッピーエンド。アンジェラアキの「手紙」が課題曲…

シアター2

続編。弱小劇団再生のための兄弟の苦闘は続く。公演毎に評判は高まり損益分岐点が見えてくるところまで。今回は団員同士の恋愛話がエピソードとして織り込まれる。作者があとがきで書いてるように登場人物に自由に動かせてストーリを作っている雰囲気。3が…

生命の未来を変えた男

NHK特集の取材記。記者の共著の形を取る。京大で新説研究所を率いる山中教授の周辺を徹底取材。これまでの輝かしい成果と今後の課題をわかりやくまとめる。皮膚細胞から遺伝子操作によりリセットされた万能細胞はどのような細胞にも分化できると同時に基礎医…

震災キャラバン

家族の行方がわからない女子大生を乗せて神戸から気仙沼へむかうキャラバン。途中謎の男とカメラマンを拾う。それぞれ事情を抱えるが、現地に入ってからは被害のすさまじさに圧倒され、避難所の手伝いに明け暮れる。最終的に家族との再会はなり思わぬハッピ…

恋する原発

謎の一冊。AV監督が大震災のチャリティー作品を撮る設定になっている。中盤で「震災文学論」が挿入され、水俣病やナウシカまで引用され一気に内容が重くなる。要は福島原発の事故は全人類を脅かす危機であるとの想い。評価はわかれるだろうな。私はあっさ…

神様の女房

経営の神様、松下幸之助を終生支えた妻むめのの伝記。創業期と戦後の公職追放期が二人に取って最も厳しい時節であった。先見性があり突き進む夫を、陰日向で支える。そのモットーは常に誠実であること。従業員には愛情をもって厳しい躾を課すこと。最終的に…

パパママムスメの10日間。

続編。落雷で家族3人の心と体が入れ替わる。父になった娘は前作と同じだが、専業主婦の立場になった父と女子大生になった母が笑わせる。最後も予定調和のハッピーエンドで気楽に読めるが、背後の主題には現代家族の抱える断絶の問題とそれを乗り越える相互…

裸でも生きる2

続編。マザーハウスは日本での販売は好調で、ビジネスモデルを確立したようでまだまだトラブル続出。バングラでは工場を追い出され、2国目ネパールでは依頼先と衝突し脅迫まがいの妨害を受ける。相変わらず泣き虫の著者は自らの哲学を貫き前へ進む。そのバ…

トロイメライ

沖縄琉球王朝の時代。下っ端の目明かしである筑作事を主人公とする連作。三線の音楽と料理をバックに貧しくも清々しい庶民の生活を描く。作者は沖縄出身で風物を丹念に描いている。題名はドイツ語で夢をみること。トロイメライ作者: 池上 永一出版社/メーカ…

前へ前へ前へ

一人の早大生(著書)がグラミン銀行の取り組みに感動して、現地バングラデッシュへ。自らの予備校経験を活かして農村部にITによる教育革命をもたらす。貧困の村から名門ダッカ大学に合格者を出すまでのアジア版ドラゴン桜ストーリー。若さ故の危うさを積極…

美の旅人

スペイン編だがこちらが時系列的に先。マドリードでゴヤ、トレドでエルグレコ、そしてバルセロナでダリとミロを追う。定石どおりに年齢順に画家の作風の変遷を追う構成。週刊誌の連載だけに一遍あたりが読みやすい分量に構成されており、美しい写真とともに…

ペリー

幕末の黒船来航をペリー側の視点から描く。海軍軍人としてのキャリアの集大成として鎖国日本を開国に導き、列強に先んじて最恵国待遇を得る。砲艦外交の名の通りかなり強硬であるが、ポイントを押さえ交渉術に長ける外交官としての一面を見せる。日本側もオ…

図書館戦争

近未来。検閲を旨とするメディア良化委員会と図書館の自由を守るべく結成された図書隊の抗争。法律下での軍事行動というありえない設定。新人の女子隊員と教育担当が互いに不器用な中で淡い恋心をはぐくむ。作者得意のミリタリーライトノベル。実在の図書館…