2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

政権交代

著者の自民党政治への絶縁状。日本の再生には明治維新に等しいラジカルな革命が必要であるとする。戦後の成功は「格差無き高度成長」に象徴される。池田の所得倍増と田中の列島改造によって歴史上類い希な平等社会が実現した。それを支えた官僚機構は制度疲…

[書評]悩む力

現代社会に生きる苦しみに真正面から挑む啓蒙書。先達として夏目漱石とマックスウエーバーを引用する。いずれも急激に発展した近代社会の末流としての自己の存在に悩み、解答を求めた人生であった。章ごとに命題を決めて比較的平易に問題を提議する。作者な…

安政五年の大脱走

井伊直弼に側室になることを強要された津和野藩の美しい姫。従わぬと見れば家臣に徳川への謀反の疑いあるとして、断崖絶壁に囲まれた山に家臣もろとも幽閉される。家臣団の必死の抵抗。映画「大脱走」よろしく地下トンネルを掘り脱出を試みるが、井伊家の謀…

R25のつくりかた

評判のフリーマガジンの創成ドキュメント。真面目でピュアだが新聞を読まない25歳周辺の若者をターゲットにする。事前のマーケティング調査は通り一遍に終わらず、友人として心の中まで踏み込んだ徹底したもの。これが最大の成功要因。On-offの切り替えを…

パークライフ

日比谷公園を舞台にし、男女の不思議な交流を描く芥川賞受賞作。スタバのコーヒーや地下鉄の広告、公園で気球を上げようとする老人など今日的な素材を背景にする。直線的な恋愛感情でなく、どことなく不可思議なやりとりも現代を象徴するか。繋ぎのつもりで…

「心」が支配される日

社会派のルポ。トイレ掃除で暴走族を更正させる社会活動から、道徳教育に用いられている副読本の「心のノート」へ展開。さらにはニセ科学についても言及。著者の立場としてはやや左寄りで、政府、自民党の目指す修身教育の復活に警鐘を鳴らす。現政権は自主…

ママの狙撃銃

不幸な生い立ちからアメリカでスナイパーの祖父に育てられた主人公の主婦。かってのエージェントからの依頼で日本で2度の暗殺に挑む。家族の苦境を救うためという名分と、殺人者の血のなせる技ではないかと悩む。私立中学でいじめにあった娘を守る母親の強…

SFMOMA

到着日に訪問。規模はNYに比べるとずいぶんと小さい。マチスの秀作が展示されていたのは有りがたい。アメリカの抽象画家の作品で目を引いたものが数点。ただし私が理解できるのは1900年代の中盤まで。上部の写真と特別展は眺める程度で失礼した。

イオン人本主義の成長経営哲学

イオンの成長陰の主役である小嶋千鶴子。岡田卓也会長の姉であり独自の人事制度を築き発展させた。著者はその部下として、厳しい指導の中で彼女の経営哲学を学び、実践していく。コンサルタントとしての視点よりそれを記録したのが本書。サービス業だけでな…

女たちの江戸開城

最後の大奥上ロウであった土御門藤子。阿部清明の末裔である陰陽頭の家計に産まれ、和宮の降嫁に女官として江戸に下った。鳥羽伏見の戦いの後、和宮の特使として京都に下り、天皇から不戦の詔を得て帰ることに成功する。必ずしも一枚岩でない混成の使節団。…

がばいばあちゃんの人生ドリル

かのがばいばあちゃんの残した教訓を100にまとめた。基本は常に前向きな生きる姿勢と他への思いやり。深い教養と苦難の人生経験にに裏打ちされた言葉には、通り一遍の寺の住職の説教より説得力がある。原作でベストセラーの焼き直しの感はいなめないが、…

意識とは何か

脳科学、哲学、認知科学の領域から、人間の意識における自我の存在を探る。専門用語の使用を避けわかりやすい例をあげて解説されているが、概念論になると理解が難しい部分もある。個人的に振り返れば確かに小学生の頃、ここにいる自分とは何かと考えた原風…

ルーブル美術館展

17世紀の絵画がテーマ。予想通りあまり得意分野ではない。パリを訪ねたときは足早に通り過ぎてしまう展示室の類。選りすぐられた出品だけに大作、秀品ぞろいなのだが、今ひとつ心に響かない。常設展示の印象派を観てほっとしていては失礼でしょうか。開催…

ゆかいな理科年表

紀元前から現代まで歴史上重要な発明、発見を紹介する。学術面の解説は必要最低限に止め、発明者の人間くさいエピソードに重きをおく。共通して言えることは発明者は技術や真実に対して真摯であり、また好奇心旺盛で批判にさえ柔軟であるということ。技術の…

クラウドの衝撃

IT業界のパラダイムシフトであるクラウドコンピューティング。クラウド(Cloud)は雲のこと。ネットの天上側にハード、ソフトを準備する時代がやってくる。ユーザー側は端末のみを準備し、プログラムもデータもネット側におく。グーグルやアマゾンはすでに…

退屈姫君これでおしまい。

シリーズ最終作。天衣無縫、才気煥発のヒロイン「めだか姫」が宿敵田沼親子相手に活躍。将軍家の菊あわせを舞台に貧乏御家人を助ける。暗号解読のミステリーとくのいちお仙のアクションが見せ場だが、ややステレオタイプの感がある。エンタメとしてみれば十…

三井寺展

サントリー美術館を覗く。入口にまず秘仏の国宝が並ぶ。いずれも初めてお会いするが芸術性よりも歴史的価値が高い。絵画では黄不動像が圧巻。天台寺門派の総本山だけにさすがに寺宝は豊か。壇像彫刻の十一面や不動尊。時代的にも貞観期のものが多い。階下に…

日経新聞の裏を読め

ネット時代に即した日経を使った情報収集術。本紙はデータのインプット用。データベースであるテレコム21を用いてデータベースを拡充する。後半は投資の実践篇。このあたりはファンドマネージャーである作者の得意とするところか。あまり期待していなかっ…

マネーハザード金言集

大前研一の寄稿を集めた一冊。ケインズ経済学からの脱却をあらためて主張。曰く金利を引き上げ世界のマネーを集めるべし。国民は投資を学習し世界一の貯蓄に仕事をさせるべし。2冊で1冊とするプレゼントブックという新しい出版手法。図書館は気づいていな…

ハッピーフライト

自らメガホンを取った映画のノベル化。ANAのホノルル便を舞台に乗務員とグランドスタッフの奮闘ぶりを描く。ジャンボジェット機もピトー管の不調で引き返すことになる。予想通りのコミカル仕立てだがANAの全面協力による念密な取材をベースによく出来…

爆発する太陽電池産業

副題は25兆円産業の現状と未来。環境面に優しい新エネルギーとしてこの技術、産業を俯瞰する入門書。シリコン加工技術の新たな展開として手詰まり感のある半導体産業から熱い期待をあびる。電池メーカーと装置メーカーの両面から解説する。いったん50%…

私鉄探検

各社ごとにオリジナリティのある大手私鉄の現状をその歴史と最近の方向性を交えて紹介する。バリバリの鉄ではなく、一般人の視線に近いところから書かれているところは好感が持てるが、ある意味すでに既知の事実の再編成でもある。各章末の沿線紹介は不要で…