2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

10分あれば書店に行きなさい

世界でもトップクラスの書店歩きを自負する著者。タイトルのままの内容だがその極意を伝授する。期待したほど目新しい内容はない。自分の手法が間違っていないことは確認。差は自腹で購入していない点。キーは新書と雑誌。毎日チェックすればトレンドが頭に…

狭小邸宅

慶応出の主人公がブラック企業の町の不動産屋で奮闘。売れない周囲が辞めていく中で、粘り腰を見せ一軒売ることで流れが変わる。ニヒルな課長から指導を受け、トップセールスまでのし上がる。仕事は信じられないくらいハードで恋人をはじめ失ったものは大き…

赤い追跡者

著者の分身である無頼派プロデューサーが、薬害エイズの真相に迫る。感情的にならず物証主義にこだわるジャーナリズムに徹する。その陰には番組を担当者が被害者や遺族に寄せる思いがある。厚生省と医学界の厚い壁を突き破る取材過程は迫力満点。権力サイド…

ふがいない僕は空を見た

助産院の息子である高校生を中心とした連作。それぞれ家庭に現代的な問題を抱える登場人物が性と人生に直面する。読み始めは官能的な場面が多く違和感があったが、終章に母親に語らせたところで一気に物語は昇華していった感じ。「やっかいなもの」を抱えて…

日本企業は何で食っていくのか

震災による第3の敗戦に触発されて書かれた一冊。かってのオイルショックを乗り越えたように。、エネルギー制約の中で経済発展を遂げることが出来るか。キーワードはピザ型のグローバリゼーション、複雑性産業、インフラ産業。電気産業にかわり化学が産業化…

家族写真

短編集。共通するテーマは50代の男性。職場でも家庭でも疎外感を味わうと同時に若くない自分を自覚する。ユーモアあふれる文体と主人公を支える暖かさを用意するのは著者の常套手段ではあるが、ほのぼのさせられるのは間違いない。表題作と散文としてはお…

ダチョウは軽車両に該当します。

マラソン大会に乱入したダチョウ。偶然居合わせた動物園の飼育員と獣医が取り押さえ事なきを得たが、彼らの周囲に怪事件が続発する動物園ミステリー。インフルエンザを流行させ大儲けを企む製薬会社が黒幕。まあ楽しめたエンタメ小説。ダチョウは軽車両に該…

民王

現職の総理大臣とそのドラ息子の精神が入れ替わるというドタバタ劇。互いの長所と世代での経験を活かして国会と就活を乗り切る予定調和の結末。著者にしてはかなりのコミカル仕立て。エンタメとしては楽しめました。民王作者: 池井戸潤出版社/メーカー: ポプ…

戦略論の名著

副題にあるように中国古典の孫子から、現代宇宙戦略論まで12編を紹介する。古典では軍事は政治の一手段であることが前提。各省ごとに著者が異なるが防衛大学系が多く、記述は堅く学術的である。全般に戦争を否定せず、むしろ勝ち抜くための戦力を提示する…

陽炎の門

融通の利かない性格から、氷柱の主水と呼ばれ若き執政となった主人公だが、親友の有罪を証言し切腹の介錯を勤めた過去に苦しむ。その娘を他に嫁ぎ先がないという理由で妻女としている。妻の実弟に敵討ちを挑まれ、過去を調べると次第に真相が明らかとなって…

神隠し

混雑するLA空港で、8歳の男の子が行先不明となる。離婚歴のある新聞記者が取材にあたるが、謎は深まるばかり。母親は政府の過失を訴え巨額の賠償請求。その背景には母子とも難病のリスクを負っていることが明らかに。最後は子供の二重国籍で謎解き。手術費…

2030年世界はこう変わる

米国国家情報会議の大統領へのレポート。4つのメガトレンド、6つのゲームチェンジャーから来たるべき4つのシナリオを予測する。主軸となるのは米中関係だが、人口統計から中国の成長率は鈍化し、インドが急追する。いずれにせよ日本の相対的な地位は低下…

龍馬史

最新の史料から龍馬の実像に迫る。最大の謎である暗殺の真相に頁を割くが結論は、会津の指示で見廻隊の犯行とのこと。まあ常識的な線ではあり、納得感はある。小説やマンガで虚像が大きくなっているか。龍馬史 (文春文庫)作者: 磯田道史出版社/メーカー: 文…

生存者ゼロ

オホーツク海の石油掘削基地で発生した突然のパンデミック。被害は道央から札幌に及ぶ。機能しない中央政府に変わり、自衛官と細菌学者が謎に挑む。アフリカで妻子を亡くした細菌学者が終末思想の宗教ががかるところは設定に無理がある。結局疫病ではなく最…

ガンダムがわかれば世界がわかる

著者の世代には身近な題材であるガンダムをひもとき、現代史と進行形の政治を評する。本筋とは逆のような気もするがそこはご愛敬。内容は驚くほどのものはない。Z意向の続編を見ていないので、後半は理解できない部分あり。ガンダムがわかれば世界がわかる …

旅の窓

旅先で著者自身が撮影した写真とそれを題材とするエッセイで構成。文章は短めで著者にしてはくだけた調子ではあるが、熟練の旅人しての想いが込められている。VISAカードの機関誌への連載。すでに9年も掲載されていると言う。旅の窓作者: 沢木耕太郎出版社/…

タニタの社員食堂

レシピ本で有名になった社員食堂を小説仕立てで紹介。主人公は栄養士の女性と人任せの2代目。4人が選ればれモニター役としてダイエットに挑むが停滞期に入り挫折。華やかで美味しいタニタのメニューを開発することで、難局を乗り切る。見た目だけでなく人…

三つの名を持つ犬

犬を題材にしたミステリー。愛犬を死なせてしまった女性タレントが、そっくりの犬をホームレスから誘拐。これが不幸の連鎖を呼びついに愛人を殺してしまう。振り込め詐欺の下っ端である青年が疑惑を抱き、恐喝ネタにしようとするが、女性の純情な魅力にひか…

失敗談

「失敗」をテーマにしたエッセイ集。受験を初めとする人生での様々な失敗がいかに人間形成に有用であるかを説き、現代の過保護な教育システムを批判する。論旨は単純で明快、文章は闊達で極めて読みやすい。 咲いてよし散るもまたよし春の雨 バラの刺の存在…