海外

ソルハ

アフガニスタンを舞台にした児童文学。カーブールの中流家庭が舞台。主人公は就学間もない少女。長い内戦が収まり、ようやく平穏が訪れたかに見えたが、タリバンによる圧制が始まる。女性の権利を否定し、教師であった母親は射殺される。アメリカによる空爆…

Z世代のアメリカ

アメリカ政治のキャスティングボードを握るZ世代。思想は世界的な社会正義を重んじラディカル、既存の政党に囚われない。また現状より貧しくなる可能性がある世代。分離が進むアメリカ社会のあってその重要性はますます増す。本書は様々な問題に焦点をあて…

怖いへんないきものの絵

怖い絵シリーズの派生版。中野京子と「へんないきもの」の早川いくをの対談で、珍しい生物を描いた絵画を解説する。あまり有名な作品は無いが、逆に稀少性は高い。ユーモアたっぷりの本文と豊富な図版で一気に読ませる。内容的には軽め。 怖いへんないきもの…

絶対に行けない世界の非公開区域99

タイトル通り一般人の立ち入りが禁止されている施設や地域を写真入りで紹介する。予想通り軍事、諜報機関がほとんどであり、特に核兵器に関係する施設も多い。日本では伊勢神宮の神域のみが掲載。説明文がやや長く、じっくり読んだので想定より時間を要した…

地球行商人

味の素の営業部隊。アジアやアフリカでのどぶ板営業を描く。有名大学出身のエリートが徹底した現地化。小袋での販売で拡販に貢献する。文化の違いや社員の不正、自殺。時には強盗や革命など生命の危険にも遭遇する。評価関数は売り上げでは無く、インボイス…

半導体ビジネスの覇者

TSMCの創業からファウンダリーとしての成功、今後の課題を描くビジネスルポ。最初は欧米から技術を導入し、天、地、人の利を活かして発展。創業者モリスの存在が大きい。TIに長く勤め、政府の要請で起業する。当初はフィリップスが出資。成長した時点で売却…

密航のち洗濯

戦中戦後を生きた朝鮮人の小説家。彼の残した作品と日記から、家族の運命を探るルポ。終戦直後の北からの逃避行、米軍占領下の日本への密航。最愛の妻を残して単身泳いで上陸する。日本人と再婚し東京でクリーニング店を営むが、絶えず差別と貧しさとの戦い…

人生が楽しくなる世界の名画150

著者がヨーロッパ駐在時に通いまくった美術館からお気に入りの名画を抽出して照会。趣味ははっきりしていて、ルネッサンスからロココまで。印象派以降は趣味に合わないとのこと。また裸体を含めて美女がお好みと正直に吐露。ルーブル、ナショナルG,ウィフ…

池上彰の世界の見方北欧

北欧4国の国事情。厳しい環境と列強の間にはさまれて独自の政治、文化の路線を歩む。税負担は高いが、高福祉、教育重視は少ない人口で生き抜くための合理的な選択。日本が見習うべき制度も多い。中学校での授業にしては内容のレベルは高い。シリーズを遡る形…

オードリーヘップバーンの言葉

伝説の女優の発言を抽出し、彼女の人生を追う。1929年生まれ、ナチスの時代を生き抜き、バレリーナを目指すが、身長が高すぎて断念。本人はやせぎすの体形にコンプレックスを持っていたようだ。ローマの休日で銀幕デビュー。その後の活躍は知られている…

行為と妄想

碩学の履歴書。京都の商家出身。三高から京大へ。今西錦司の門下。生物学から民俗学へ。民俗学博物館の初代館長。知的生産の方法の著者としても名高い。学生時代は山岳部の猛者としてならし、アジア奥地を探検。フィールドワークを大事にする。驚かされるの…

人物名鑑古今東西いま関西

古今東西の人物短評。著者の専門から思想史、哲学史にページを割く。タイトルにある関西部分は冒頭の第一章だけ。哲学、古代ローマ史についてはこちらの知らない人物が多く、イメージがついて行かない。教養不足を露呈する結果に。読破は正直しんどかった。…

祖母姫ロンドンへ行く

祖母と孫の豪華なロンドン旅行記。ファーストクラスで飛び、バトラーのつく一流ホテルに滞在するというからかなりの富裕層。上流の貴婦人であった祖母は、老齢もあってマイペースというか我儘。著者は振り回されるが、夜はバットガールになり留学時の旧友に…

夜明けを待つ

エッセイとルポルタージュ集。生と死、日本語教育、宗教と結構重いテーマを扱ったものが多い。淡々とした記述で、本質、真実にまっしぐらに進む作者の真骨頂。本人は希少がんを患い、余命短いとのこと。好きなノンフィクション作家。惜しまれる。 -ダブルリ…

池上彰の世界の見方フランス

独自の政治、文化を誇るフランス。その内実をわかりやすく解説する。独特の政教分離、植民地からの移民、教育システムとあまり知られていないことが多く興味深い。高校生への事業形式であるが、質疑応答もレベルが高い。シリーズ展開に期待。 -EU本部をブ…

問題解決のための名画解説

著書は米の美術史家。名画を鑑賞することで、ものの見方には様々な観点が存在することをセミナーで角界に伝えている。特に警察や医療関係には公表とのこと。写真で美術作品の実例を示し主張を繰り返す。興味を引かれる部分とそうでない部分の山谷はあるもの…

屋根裏プラハ

写真家によるエッセイ。プラハの街に魅せられ、アトリエを持つ。共産党時代からの街の変遷をレンズを通して見てきたことになる。盟友である現地のカメラマンとの交流。尊敬する先人へのオマージュも。内容の濃い硬質な文章で読破に時間を要した。沢木氏の推…

蔡英文自伝

出生から総統就任までの自伝。専攻は法学で米欧へ留学。学者から官僚さらに政治へ転身。自らの分析では内向的とのことだが、常に冷静で長期的なビジョンを見据えて行動する。強い意志と使命感でリーダーシップを発揮する。周囲からの信頼は自ずと巻き起こる…

殺人者たちの午後

イギリスのノンフィクション。殺人犯に著者がインタビューを行い、殺人の実際とその後の収監、思うところを赤裸々にする。イギリスでは死刑は廃止、殺人罪は終身刑となるが、刑期は短縮され厳しい監視のもとに社会復帰が図られる。10例が示されるが、恵ま…

森保一の決める技法

日本代表監督として多くの実績を残す森保氏のリーダーシップの源泉を探る。選手としてはエリートでなく、オフトに見出された。視野の広さと献身的な守備でボランチをこなす。選手としてドーハの悲劇を経験。その指導力のベースは人間力。誰にでも誠心誠意向…

花嫁を探しに、世界一周の旅に出た 

著者はTV番組制作者。離婚を期にバックパッカーとして世界放浪の旅に出る。2部構成になっており、前半はアジア各地で知り合った女性との恋愛模様をwebに連載。後半は旅にはまる自らを忠実に描く。アフリカを縦断し、危険度の高いソマリアまで。結局4年弱の長…

中田敦彦の妻になってわかった自分らしい生き方

芸能人夫婦の子育て記。著者は横浜国大のミスコンからデビュー。そこで知り合った売れっ子芸人のオルラジ中田と結婚。コロナ危機を契機に家族でシンガポールへ移住する。日本での殺人的なスケジュールから解放され、異国で子育て経験することで家族の絆が深…

21匹のネコがざっくり教えるアート史

タイトル通りの内容。古代エジプトから現代美術まで、猫たちが代表作のモデルになり、その特徴を語る。まずは予想通りの内容だが、著者は英国人アーチストなので、近現代ではあまり知られていない区分けもある。まあ愉しめました。 21匹のネコがさっくり教え…

ゴリラ裁判の日

主人公はカメルーンで育ったメスゴリラ。母親とともに研究者に手話を教えられ、人間並みの知性を有する。アメリカオハイオの動物園であやまって落ちた人間の子供を助けるために、夫ゴリラが射殺されてしまう。謝罪と賠償を求めて2度の裁判。人間の定義が争点…

世界を動かした名演説

タイトル通り歴史に残る名演説15編を紹介する。世界情勢を池上氏が、英語表現のレトリックをパックンが解説する。いかに聴衆を引き付け、共感を呼ぶかが最大のポイント。どれも素晴らしいが、レーガンの話術は高評価。最後の女性3人もインパクトが強い。…

心に光を

元ファーストレディの自伝第2段。前作より自己の成長、内面に踏み込んだ内容。黒人女性で長身であることが、トラウマになり、なかなか積極的になれない。そこを振り切って自分の世界を広げていく。オバマと出会い、家庭を持ってからは積極的にサポート。ホ…

ロバのスーコと旅をする

イラン、トルコ、モロッコとロバを連れての徒歩旅行。お国柄は様々だが、イスラム圏は基本的に旅人には優しい。宿や食事を提供されることも。一方で国家の監視は厳しく、リレー的に見張られている。良からぬ奴らに狙われ、トラブルに会うことも多い、ロバは…

RISE

南アフリカラクビー代表の主将を務める著者の自伝。黒人スラムの出身。ラクビーの才能を見出され、奨学金を受けエリート校に転校。プロチームに所属し、南ア代表となる。ポジションはフランカー。若い時は飲酒で悪さもしたが、キリスト教の洗礼を受け、敬虔…

紛争地の看護師

国境なき医師団の看護師の体験記。著者は日本の看護師であり、国際貢献のためにオーストラリアに留学したことにまず驚く。英語を身に着け、17回も戦地に赴く。シリア、イエメン、ガザ。想像以上に悲惨で過酷な状況。安全は考慮されているが、保証は全くな…

ナポレオン街道

稀代の英雄の足跡を訪ねる紀行文。生誕の地コルシカ島からパリ、イタリア、エジプトと巡る。行く先々で無頼派らしくギャンブルと酒に興じる。それも旅情を掻き立てて良い。ナポレオンにまつわる書物は30万冊を超えるという。軍事的才能は言うに及ばず非常に…