2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧
30代の平凡な地方公務員が、廃業寸前のテーマパークの再建に挑む。どうしようもなく停滞している組織としがらみの中で悪戦苦闘しながらさまざまな仲間をみつけイベントは成功させる。優柔不断な本人もやがて成長し、自らの意志を動き出す姿には思わず喝采…
九州の地方都市を舞台とし、環境問題をテーマとする社会派ノベル。ゴミ処理問題に関する著者の深い知識と明確な主張が、老村長、女性議員、診療所医師らを通して切々と訴える。村おこしとして始めた薪能が良い背景となっている。決して若くない女性陣の熱い…
評判の書。学徒出陣した甲子園のエースが人間魚雷回天で訓練中に殉職するまでの展開を一気に読ませる。死に直面する搭乗員のそれぞれの事情と思いを見事に描き、戦争の悲惨さと無意味さ。共に訓練を積んだ若者が、生への思いを断ち切り出撃していく描写は圧…
南町奉行所の同心を主人公に、倹約令で評判の悪い松平定信の寛政の改革を批判する。謎解きには歌麿、北斎をからませるが、得意の浮世絵論議は抑え気味。南北の奉行所と火事盗賊改めの組織内で犯人捜しの探り合いの展開は長く引っ張りすぎるきらいがある。主…
長距離フライトの邦画鑑賞が続いている。またしても評判の原作を読む前に映画を観てしまった。シンプルなストーリーだが、野球を愛するすべての人々に暖かい視線を注ぐ。ラスト近くでは結末はわかっていても感動して恥ずかしいほどボロボロになってしまう。…
0-7から一発攻勢での逆転劇。めったにあることではない。前節最終戦で完封負けしていたので、いやな気分のスタートだったが見事に払拭した。桧山様に感謝。経験豊かなベテランが代打でいてくれるのは心強い限りである。24の左の代打と言えば遠井大先生だが…
陸軍少尉の回想録。防空学校での就学中に原隊は壊滅状態となり、後を追って派遣されたラバウルで終戦までの苦闘を精緻に記述。飛行機の急速な発達によってほとんど戦果をあげることのできず注目されなかった部隊の貴重な戦記。著者は大学卒の応召兵であった…
小泉政権の意図的なデフレ政策により、日本は近い将来アメリカ型の格差社会に近づくと警鐘を鳴らす。その陰には新たな支配層たらんとする外資と一部エリートの思惑がある。もう4年前の著書になるが論旨は明快で当時評判を呼んだのは理解できる。日本のサラ…
京大生の失恋日記。正確には失恋後の回想と妄想を描く。主人公を取り巻く硬派な友人たちの騒動が、次々に繰り広げられるが、世間的に見れば何ほどのこともない。クリスマスを憎む四天王がイブの夜に四条河原町で「ええいじゃないか騒動」を起こすところがク…
ものは試しで、近くの豊四季分室を訪ねてみる。建物を見たときはこれは駄目だと早合点したが、中に入ってみて蔵書の豊かさに驚く。本館ではなかなかお目にかかれない新刊本、人気の文庫本もやすやすゲット。需給バランスのなせる技か。職員の方の対応も丁寧…
スポーツニッポンへの連載エッセイ。基本的にタブーとされている女性の下ネタだが、作者のキャラクターもあって非常に明るくおもしろく描く。いやらしさは全くない。世の女性も男性と同じく、エッチでこの手の話は大好きとのことで変に安心する。上の年代は…
上下各600頁の大作。完全なRPG仕立て。ゲーム好きの著者の真骨頂である。現実の世界での家庭の崩壊を救うため、「幻界」での冒険をはじめた小学生の主人公が多くの人々をふれあい成長していく姿を描く。現世の運命を変えるという自己の目的実現より、…
南米ボリビアを舞台に、GMO(遺伝子組み替え作物)をめぐる疑惑に挑む失意の日本人ジャーナリスト。巨大な利益を巡って、企業、コカインのシンジケート、アメリカ政府を巻き込んだ一大事件に巻き込まれる。魅力的な設定と、テンポの良いストーリー展開で読ま…
今日は我が家の3男「エルトン」の入学式でした。10ヶ月間一緒に過ごしたラブラドールの雄を盲導犬協会にお返しする日です。我が家は実は二匹目でこの子は手のかからないスマートな子でした。本人は新しい場所に興味津々で(よく言われるように)全く振り…
放送作家のエッセイ。副題は「アイデアはこうして生まれる」。多彩な活動の源となるのは人脈のネットワークと日常生活の中でいつも改善を考える「勝手にテコ入れ」。日光金谷ホテルの改善等具体例は面白い。これだけの実績を残しているだけに楽屋落ちなどや…
株式の長期投資を理論武装するための入門書。 推奨の投資スタイルは次のポートフォリオ 安定コア=パッシブ (ETF等市場連動) 積極サテライト=アクティブ(個別優良株) ドルコスト平均法でタイミングのリスクを軽減する。 全般的に図表を多用し非常に…
作者が現地を訪れ、「歴史上世界一有名な女性」の足跡をたどる。軽妙な語り口で自分の趣味を織り込みながらテンポ良くその駆け足の生涯を追いかける。多彩で豊富な図像も楽しい。創作を得るための取材という位置づけであろうが、あまり自説、新解釈を前面に…
新撰組の一大転機となった芹沢鴨の暗殺を、周囲を取り巻く女性達の視点で描く。著者の作品にしてはややテンポが悪いように感じた。愛人であるお梅の商売に関する部分はばっさり切った方が良いのではないか。人情味あふれるラストでほっとさせるところはさす…