2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

地図男

図書館で借りて一日で読破。引き込まれたというよりは内容が浅い。東京周辺の地理に精通した謎の男が持ち歩く地図帳に書き込まれた物語。色調の異なる数編の短編が入れ籠構造になっている。それぞれの内容は一応奇想的ではあるが結末は意外と平凡で、さほど…

接客セブンティーンズ

筆者のユーモア小説集。これは四の巻だそうで17作を掲載。他者の小説やTVニュース番組のパロディの形態をとる。言葉遊びにシニカルな風刺が効いているが、作品ごとに優劣は当然ある。少し題材的に無理に膨らませているように感じるものも。名古屋を諷し…

世界同時不況

タイトルの通り、現在進行中の百年に一度の大不況の原因究明と脱出のための処方箋を示す。世界恐慌とそれに続く昭和恐慌、平成の失われた10年との比較検討が解析手法。前半の原因究明はすでに尽くされた議論で退屈であったが、後半の対策は論旨明快。財政…

タレント文化人100人斬り

雑誌「噂の真相」の看板連載。いわゆるインテリ文化人を徹底的に批判するコラム。特にやや右がかった傾向のある有名人がターゲットになる。やり玉は猪瀬直樹、吉本隆明から弘兼憲史あたりまで幅広く大物ばかり。特に権力、権威にすりよる態度には手厳しい。…

廃用身

麻痺や障害で動かなくなった老人の手足を切断したデイケアセンターの医師。来るべき老齢化社会での介護の負担を軽減するためにやむを得ない処置であると自説を主張する。脳への血流が増加することで、痴呆の回復も期待できるまさに夢の新治療法のはずであっ…

電車の運転

元国鉄JRの運転士が電車のメカニズムを豊富な図表を駆使して平易に解説。マニア向けでなくまるで新人運手への教本のようだ。内容はモータ制御方式、ブレーキの種類から、線路、信号機まで網羅される。自動車とは異なる特性を存分に描く。運転する身の本音…

母恋旅烏

売れない大衆演劇の旅芸人の一家。前半はニュービジネスとしてレンタル家族を営むが、これは前座で後半の劇団復活が本割。酒飲みでどうしようもない父親としっかりものの母親のもとを、知恵おくれの末っ子を語り手に3人の子供たちが公演を通してそれぞれ巣…

無人島に生きる16人

明治30年に実際に起こった海難漂流事件。ハワイ諸島の無人島に流れ着いた16人の乗組員のサバイバル生活が少年向けに語られる。船乗り精神を発揮して一致協力、知恵と工夫で難局を乗り切り無事生還を果たす。昭和初期の作品だがスピード感もありあまり古…

文政十一年のスパイ合戦

幕末のシーボルト事件の真相を、十数年に及ぶ資料の調査で詳らかにする大作。彼は明らかにオランダの調査員。作者らのチームが新たに発見したシーボルトの持ち帰った地図類にはまず驚かされる。江戸へ上る間に測量や博物学の収拾を繰り返す。幕府は見逃して…

好きだけど嫌い

エッセイ集。初出は98−99年で作者30代の終盤とのこと。女性独自の観点から書かれたモノが大半を占めるが、軽妙なタッチで笑わせる。同年代だが結構古風な価値観をお持ちなようで、そのあたりも共感できる。どうも作品から受けるハードなイメージは造ら…

出社が楽しい経済学

NHK番組のネタ本。「スタバでは」の吉本氏が経済学上重要な12の概念について実例をあげて説明する。経済学用語はともかく門外漢でもビジネス実務者としては知っているべき知識でやや退屈。前著との重複も多い。構成は巧みで飽きさせないところは恵まれ…

しゃべれどもしゃべれども

主人公は二つめの噺家。喧嘩早いが古典を愛する好人物。吃音で悩む従兄弟に始まり、いじめに悩む小学生、対人関係に悩む黒猫風の美女、解説に自分を出せない代打男の元プロ野球選手。と癖のある4人のために落語教室を開くことになる。ドタバタの展開のうち…