2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

株式市場本当の話

長年株式市場を取材した日経記者が、現在の市場を取り巻く状況、問題点、将来展望を解説する。必ずしも楽観的でなく辛口な論調。将来の人口減少で日本市場は自然とゆるやかな下落が予想される。東証の制度変更は大きな契機になる可能性が高く注目すべき。推…

異形のものたち

シリーズ最新刊。テーマを分け絵画に描かれた異形を紹介する。キリスト教絡みがほとんどなのは歴史上当然。ユーモアあふれる文章はおてのもの。カラー図版も豊富で読みやすい。まだまだ知らない画家を紹介されて刺激になる。 異形のものたち: 絵画のなかの「…

読書は格闘技

新しい形の書評集。ビジネス書から児童文学まで、代表的であり論争の対象となる2冊を取り上げ、内容を比較検討し紹介する。本書の目的は読み手の活性を高め、格闘的な読書を促すことである。紹介された書籍は一部読んでいるが、気になるものもいくつか、早…

ビジネス戦略から読む美術史

西洋美術の歴史をビジネスの観点から振り返る。従来の注文製作から、市民向けの製造販売に移行したオランダ絵画。当然題材も身近なものに変わる。ルネッサンスを支えたメディテ家の事情。印象派を世に出した画商の戦略と買い手となったアメリカ富豪など興味…

令和の国防

陸海空の自衛隊OBが座談会の形で、日本の国防の問題点を憂う。最大の課題は拡大進出する中国対策。台湾進攻は現実のものになりつつあると危機感をあおる。シビリアンコントロールが前提だがより明確な国家戦略上の立ち位置が必要。現状認識の前半は刺激的だ…

東京パンデミック

自作の写真に、撮影意図や思いを綴ったエッセイを付す。主役は写真。ゴミ埋め立ての進む湾岸部の作品が多い。早朝の撮影で人は存在しない。テーマは墟。RuinはRunが語源で変わり行くことを示す。震災後の東北との比較は述べられるが、コロナやオリンピックは…

ルワンダ中央銀行総裁日記

独立間もないアフリカの最貧国ルワンダ。著者は日本銀行、IMFから派遣され中央銀行の総裁を務める。2重だった為替通貨の一本化を断行。大統領から絶対の支持を得て、財政再建だけでなく、経済振興策も提言。その後順調な発展の礎となる。宗主国頼りの植民地…

帝国の弔砲

革命前後のロシアを舞台にした長編小説。主人公は日系移民の子。両親はシベリアで厳しい開拓生活だが、一息ついたときに日露戦争が勃発。キャンプ抑留を強いられる。主人公は鉄道学校を優秀な成績で卒業するが、今度はロシア帝国軍に徴兵され、ヨーロッパ戦…

いのちの停車場

大学病院の救急センターの助教授であった女医が、退職し故郷金沢へ戻る。小規模な在宅医療の医師として終末医療にあたる。様々な事情を抱えたケースが6話。周囲の助けもあり、ともに成長。最後は自らの父を看取る。老々介護、先端医療、安楽死と重いテーマ…

そしてすべては迷宮へ

エッセイ集。いろいろなメディアに掲載されたものをかき集めた印象。お手の物の名画の解説、図版も豊富。若いころや大学講師時代のちょっとしたエピソードなど軽妙な文章で綴る。後半の書評が興味深く、何冊か予約済み。全体としては軽めの印象。 そして、す…

国家の尊厳

新たな国家論。現代社会は深刻なアイデンティティの危機にあるとする。戦後の価値観であった自由と民主主義は疲弊し、本家アメリカでもその価値が揺らいでいる。Somewhereにしか住めない中間層は世界に触れている実感とスピードを重視し、トランプ支持前半の…

東京藝大で教わる西洋美術の見かた

藝大教授による美術史概説の講義録。時代を追うのではなく、名作に焦点をあてその構図と時代背景を解説。印象派は一切登場せず、ドイツやイギリスのあまり知られていない部分を紹介。強調されるのは時代や距離を超えての共通性。画家は名作を模倣し、参考と…