2018-01-01から1年間の記事一覧

スッキリ中国論

なかなか互いが理解できない日本人と中国人。その根本の違いを解き明かす。あくまで筋を通すことを重んじる日本人と、すべてを量で考える中国人。日本人は製造を大事にし、中国人は投資に重きをおく。善悪の問題でなく文化の違い。両社の長所を組み込めれば…

信長はなぜ葬られたか

「信長燃ゆ」の取材ベースをもとに歴史作家が本能寺の謎に迫る。江戸の鎖国史観が事実を覆い隠していると主張。直接の原因は朝廷を取り込もうとした信長への反発。首謀者は近衛前久。明智は走狗に過ぎないとする。秀吉は知っていて見過ごしチャンスをとらえ…

サムライブルーの勝利と敗北

何かとドラマの多かったロシアでの日本代表の戦いを、戦術レベルで細かく分析する。結果は称賛されているが、冷静に見れば反則で一人少なかったコロンビア戦に勝利しただけで、手放しでは喜べない。著者によれば局所的に数的有利を作る日本の戦術は限界で、…

And so this is X.mas

東京を恐怖に震わせた連続爆弾テロ。衝撃的な語り口のジェットコースターノベル。被害者多数の渋谷爆破の前に警察はなすすべもない。終盤のどんでん返しは見事。犯人の動機はやや弱い。楽しめたエンタメ。And so this is Xmas作者: 秦建日子出版社/メーカー:…

デジタルシフト革命

大前塾の講義集。テーマはイノベーション。日本では生まれにくい革新的な開発をどう実現するかがテーマ。塾頭を含め3人の講演。要は社内起業家を育て、トップとフラットな組織で運営するしかない。100ページに満たない薄目の構成。数時間で読破。 イノベ…

大塚正富のヒット塾

ごきぶりホイホイの生みの親である正富氏の製品開発に焦点を当てる。前半は本人を含め周囲の著書、証言等の記録。後半はパターンランゲージ理論からの分析。人間の作ったものに完全なものは無いとの信念から、徹底した問題の発見とその解決の追及によりヒッ…

仕事は将棋に置き換えればうまくいく

タイトル通りビジネスシーンを将棋の定石や格言になぞらえて解説する。非常にわかりやすい一冊。昨今の将棋ブームに乗った感はある。ビジネス的にはややマスコミ業界を意識しているか。将棋の世界は懐かしくまた奥深い。愉しく読めました。仕事は将棋に置き…

デルタ

尖閣諸島を舞台とする日中ミリタリー小説。中国東北軍の反乱分子が海保の巡視船をシージャック。尖閣に上陸する。叛乱鎮圧を名目に、この機をとらえて侵攻しようとする中国軍と阻止しようとする自衛隊。デルタは秘密裏に結成されていた特殊部隊。巡視船で孤…

情報生産者になる

上野教授の研究、論文指南。社会科学の世界ではテーマ設定が死活的に重要。オリジナルであり、回答が得られる必要がある。また研究の限界を示すことも必要。自然科学の世界と似ているようで異なる。厳しい指導ぶりが垣間見える一冊だが興味深く拝読した。背…

司馬遼太郎で学ぶ日本史

歴史学者から見た司馬文学の世界。原点は戦争体験から歪んだ昭和軍閥の発生要因を探る。統帥権の問題から日露戦争の勝利とさかのぼる。流されやすい日本人に求められるのは共感力と自己の確立。人物をばっさり評する世界を読む際には一定のリテラシーが必要…

夏空白花

終戦から1年。西宮球場で全国中等野球選手権が復活する。主人公はかっての球児で朝日新聞の記者。大会の復活に奔走する。戦後の混乱期の中で、GHQの無理解や現場の抵抗を乗り越え、なんとか開催にこぎつける。決め手はベースボールと野球の根底に流れる…

アフロ記者が記者として書いてきたことたいしょくしたからこそ書けたこと

著者が朝日新聞に在籍中に掲載したコラムをまとめる。50歳での退職前の3年間。社へのバッシングが続く中、一人の人間としての意見表明は読者の共感を呼び、好評であった。その陰には言葉を絞り出す創造の苦しみがあった。大阪時代には時の橋下知事と対決…

荒くれ漁師をたばねる力

大学を中退し、バツイチ、子持ちの著者が、萩大島の漁師たちの代表となり、水産流通を変革する。産地直送で高品質の魚を全国のプロに届けるルートを確立。衰退激しい漁業に光明をもたらす。漁協をはじめ抵抗勢力にも正面からぶつかりあう。ともかく現場に飛…

80s

著者の自伝。早稲田でロシア文学を専攻。弱小出版社に就職。その後自ら起業。ガールズ雑誌を創刊するが、バッシングに会い廃刊に。フリーのライター兼編集者として出版界で活躍する。オウム事件にも深く関わる。波乱万丈の青春。悪ぶるが深い知識と洞察力で…

二千七百の夏と冬

舞台は縄文末期。壮大なスケールで少年狩人の冒険と波乱の人生を描く。この題材の発想は作者ならでは。前半はヒグマとの闘い。後半は渡来弥生人女性との恋を描く。二人は結ばれた後に不幸な最期を遂げるが、発掘された人骨から現代に華やかな話題を提供する…

波濤の城

クルーズ船を舞台にした。ノンストップアクション小説。休暇中の女性消防士ペアが大活躍。取り残された乗客たちを救う。訳ありの乗客たちの再生を描くあたりは定番。船長以下は責任回避と自己中心で悪者にされるのは気の毒。エンタメとしては普通の出来。少…

甦る天平の夢興福寺中金堂再建まで25年の歩み

興福寺の管主である著者が、中金堂再建の軌跡を描く。奈良公園の一部となっていた寺を本来の祈りの空間にするのが長年の夢。柱となるヒノキの巨木は国内では入手できず、カナダやアフリカから別材を調達。これで物理的な目途は立てる。構造体には最新の技術…

自衛隊失格

著者は軍国ばばあ、中野学校出身の父と右寄りの家庭で育つ。日体大の陸上部で特待生だったが、就職をけって自衛隊に入隊。しかも海兵団からというたたき上げ。それだけ使命感は強い。幹部となるが、予定調和の組織に飽き足らず常にアウトロー。新設なった特…

素顔の西郷隆盛

著者による新書版の伝記。とかく神格化される虚像を取り去り実像に迫る。周囲を取り込んでいく人格者の部分と緻密な計画を立てる策謀家の部分が共存する。現実主義を重んじる薩摩の風土が背景にある。これまでになかった視点で新しい英雄像を打ち出すことに…

宇宙はどこまで行けるか

宇宙開発の分野では推進機すなわちエンジン屋の著者が基本原理から最新の技術動向まで平易に解説する。ロケットの重量の過半を占めるのは推進剤。はやぶさのイオンエンジンではキセノンを使用。太陽系では内惑星(固体)と外惑星(気体)では様相と難度がま…

骨ん中

硬派のミステリー。東北地盤の土建屋の物語。侠客上がりの創業者、苦労人の2代目、坊屋育ちの3代目とそれぞれの愛憎を描く。結局3代目の不祥事をかばった父親が罪に問われ、会社は倒産、本人は罪に問われる。後半に用意された2段のどんでん返しには正直…

まぐだら屋のマリア

人生に絶望した主人公が死に場所を求めた辿り着いた最果ての地。そこでマリアと呼ばれる女性が営む食堂「まぐだらや」。あばら家の定食屋だが地元の人には愛されている。元板前の若者はそこに住み着き手伝ううちに、マリアの人間関係と過去の衝撃的な愛憎劇…

魂の退社

朝日のアフロ女性記者の退社顛末記。50歳になったのを機に会社人生に決別。人生を見直す。給料と地位で縛られた厳しい競争社会は新聞社でも変わらない。退職して初めていかに日本社会が会社員のために作られているか実感する。これからの人生を豊かにいき…

経済の不都合な話

著者の経営論。章ごとに内容の変わるエッセイに近い。経済学、心理学をベースに実践を解析する刺激的な内容。人間の本質には認知バイアスがあり、経営者が誤るもとになる。変化の激しい時代には大企業は適さず、150人を限度とするスピード感あふれる組織…

日本発ロボットAI農業の凄い未来

高齢化と補助金頼みの日本農業。衰退産業のイメージだが、最新技術の導入により甦ろうとしている。AIによる知識化とロボットによる無人化により収量は飛躍的に向上する。離農による集約化をテコにする。国内市場は縮小するため、輸出さらには現地化が求め…

そこらじゅうにて

著者の日本面白紀行。これが第二弾。女性編集者とのペアでメジャーでない各地を訪れる。一筆書きのイラストがまた笑いを誘う。軽い内容だがもう一つ引き込む魅力には欠ける。繋ぎの一冊だから仕方がない。行きたいところは長崎のランタン祭りと山口青海島。…

経営者

日本の財界を支えた大物経営者たちを取り上げ評する。渋沢栄一から始まり、孫さんまで。どちらかといえば評価は辛口。単に利益を追うのでなくいかに社会に貢献するかが基準となる。長くトップにいるといずれ軋みが起こり、地位に汲々とする。評価が高いのは…

合成生物学の衝撃

科学ルポ。アメリカの分子生物工学の実態。生物学に工学的様相を取り込むことで、この分野は急速に発展。DNAを合成し新種の生物を産み出すところまで来ている。現在は大腸菌レベルだが理論的には人間を産み出すことも可能。ペンタゴンは大胆に予算を投入…

カルピスをつくった男三島海雲

タイトル通り三島氏の伝記。明治に箕面の寺に生まれ、大陸浪人として中国に。モンゴルでであった乳製品をヒントに、帰国後カルピスを開発、創業者となる。仏教思想が根底にあり目指すは国利民福。経営者というよりは技術者であり思想家であった。家庭には恵…

コンビニ外国人

現在日本にいる外国人就労者は100万人。そのうち4万人がコンビニで働く。ほどんどが就学ビザによる留学生。本物の大学生から就労目的まで様々。日本人学校から現地ブローカーまで関連ビジネスも奥が深い。本書は身近なネタを通じて、労働問題や人口減に…