2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

夫婦で行くイスラムの国々

インドからスペインまでイスラム社会を西へ旅する。1年に1国のゆっくりしたペース。一般のツアーに参加し、あまり予備知識なく受けた印象をそのまま記する。イスラムの伝統で旅人には暖かく、普通の人々は敬虔な暮らしを営み、ある意味純真である。精神的…

皇太子と雅子妃の運命

文藝春秋に掲載された皇室関係の記事。多数の論客が天皇の継位問題を含めて論ずる。タイトルの通り皇太子と雅子様には厳しい内容。妃殿下のお病気のことはあるにせよ、すべてにおいていまひとつ態度を明確にされず、一般の国民感情からは遊離が見られる。天…

霧のソレア

LAから成田へ向かう航空機がテロリストにより爆破された。さらに北朝鮮に向かおうとしているロシアの核科学者を抹殺すべく、米国CIAが動き出す。2重の国際謀略で絶体絶命の危機に敢然と立ち向かう女性パイロット。盛りだくさんの設定であるが、ストー…

大河ドラマ入門

NHK大河ドラママニアを自称する著者がそのうんちくを披露する。視聴率を追い求めた結果どうしても、戦国時代と幕末にテーマが集中する。次いで源平あたりか。原作者や脚本家、それに出演者の遍歴を見るだけでも楽しいものである。ところどころ女優の好き…

[書評]食い逃げされてもバイトは雇うな

会計入門本。「数字をうまく効果的に使うコツを伝授する」銘打ってうるが、内容はほとんど既知。特に後半の会計部分はあるレベル以上のビジネスマンには常識のレベルであろう。自分の知識を確認でき安心できる効果はある。タイトルで読者をキャッチするのは…

聳えるマスト

タイトルは旧海軍内で地下発行された共産党新聞。この事実がある意味衝撃だが、閉鎖された社会で圧迫された下級兵士の中に浸透していったことも事実。わずか4版の発行で弾圧を受け、組織は壊滅させら、主筆は最終的に獄死する。記述はオルグかと逮捕が淡々…

不正会計

巨大監査法人が幇助した粉飾決算。モデルは鐘紡。背景には利益を追求し拡大路線を引いた理事長の経営方針がある。主人公は元官僚の会計士。恋人である新聞記者とは情報提供を疑われ結果として別れることになる。主人公は最後に不慮の死を遂げるのだが、暗躍…

えこひいきされる技術

著者はPLAYBOYの編集者。柴田錬三郎、今東光、開高健等大物作家の担当として、好評連載の実績を上げ、編集長、役員に昇進する。語られるのは人付き合いの極意。作家の派手な遊びにとことんつきあい、作家の没後も墓参りをかかさない律儀な一面。多分に天性の…

エコウォーズ

朝日新聞の特集連載記事。環境問題への取り組みを国内外に取材。特に中国に頁を割く。CO2削減に消極的な日本の産業界。特に電力会社には手厳しい。確かに報道のされかたで、数字の持つ意味が大きく変わるのが環境問題。本書はやや左傾が気になるが現状を…

龍馬の船

船を視点に坂本龍馬の生涯を描く書き下ろし。すでに語り尽くされた感のある坂本龍馬だが、自分の船を持ちたいとの夢を追い求めた生き方という新しい切り口。不思議なほど幸運と不運がいれかわり龍馬とその愛する船を見舞う。いろは丸の海難裁判での船への弔…

日本辺境論

評判の日本人論。作者自身が述べているように新たな次節ではなく、他からの引用をわかりやすく解説する。辺境にあり独自の世界観を発信できなかった歴史と特異性をむしろ肯定的にとらえる。キーは学習能力と日本語。自分にあてはめると納得できる指摘は多い…

あのとき始まったことのすべて

中学の同級生4人のグループ。2組の男女が10年後に再会し、それぞれの淡い恋を育む。過去と現在が入れ子構造になっているが、展開力もある。修学旅行で訪ねた奈良での再会が山場。ちょっとした小道具をキーアイテムに使うところは上手い。ウイットに富ん…

盲導犬サフィー

職務中に交通事故で命を落とした盲導犬。損害賠償の裁判で注目を浴びたが、本著はその誕生から現在までを描いたノンフィクション。周囲のすべての人々に支えられ、また希望を与えた盲導犬の一生。九死に一生を得たユーザーが、退院時に事故現場に立ち寄り、…

あの歌が聞こえる

連作集。男3人の親友(悪友)の中学入学から高校卒業までを描く。恋愛色はうすく家庭特に親との関係。将来への夢と不安が中心に語られる。作者の得意とするユーモアとペーソスに加え、巧みな全体構成で感動を呼ぶ。各編のタイトルは往時のヒット曲。曲自体…

小説家の経営術

人材派遣会社の経営者であり、作家でもある著者が、自らの経営ビジョンを創作活動になぞらえて説く。自らの成功体験をもとにしているだけに説得力はある。技術者の派遣、それもOA機器の機械設計に特化したことがKFS。いわれてみれば企業と著作には共通する骨…

独断流読書必勝法

おなじみのコンビが古今の名作の読書案内を試みる。推薦されるのは古典の名作が多い。清水博士が基本通り、時代背景やモチーフから説き始め、小説家の視点として構成の妙や表現技法にまで言及するのに対して、西原は一読者としてストレートな感想をぶつける…

サバイバル脳

未曾有の転覆の時代。経営コンサルタントの著者が危機に巻き込まれないためのビジネスサバイバル術を伝授する。7つのカテゴリーに分け、提言はきわめて具体的で実践的。逆に言えばこんな常識的なことでいいのかというレベル。根底には「時間は命そのもの」…

西日のあたる教室で

教育論と銘打っている。お笑い芸人の中では知性派のイメージの強い著者ではあるが、高校中退でひきこもりの経験を告白する。吉本の実力縦社会に回転の速さがマッチし、厳しい生存競争を勝ち抜いてきたようだ。その経験から後輩たちへの躾は厳しい。その要求…

イノセントゲリラの祝祭

医療問題シリーズ4作目。田口&白鳥コンビが厚生省の諮問会に招集される。そこは司法と医療の、また解剖とAI(画像)とのせめぎ合いの修羅場であった。旧習と既得権益を守り抜こうとする、学界と官僚の壁に風雲児の医師彦根が乱入する。医療事故が刑事事件と…

フランクブラングィン展

花見客で賑わう上野で鑑賞。あまり知られていないが、装飾デザイナーから画家へ。そして松方コレクションを通して日本と深く関わった。画面一杯に広がる構図と濃厚な油絵。大胆な色彩は印象的だが年齢とともにやがて落ち着いて行く。作品には戦争や工業化を…