2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

弱くても勝てます

超進学校の開成高校野球部に密着取材。グランドでの練習は週一回。各自に研究課題を与えて仮説を検証させることで技量の上達を図る。ノーサインの攻撃野球でコールド勝ちを目指す。監督の経験から一番楽しいフルスイングを最優先する。選手達も優等生らしく…

気になる科学

今や毎日新聞のデスクとなった著者のエッセイ集。時節柄原発問題関係のテーマが多い。技術に対する真摯な姿勢の重要さが強調される。まさに正論。後半はおばさん化していく私生活の記述もあって微笑ましい。離婚歴ありとのこと。文章はさすがに巧みでポイン…

名画の謎

シリーズ第2作。聖書編。世界的な名画から旧約、新約聖書を解説する。特に旧約の方がまだまだ知らない事実が出てきて興味深い。新約の方は別著書とかぶる部分が多い。ユニークな語り口は健在。楽しめた一冊。以下旧約聖書の重要事跡 アダムとイブ 禁断のリ…

不愉快なことには理由がある

評論集。現代の進化心理学を武器に政治、経済、社会、人生に論評を加える。タイトルに有るとおり、進化論から観れば現代が抱える問題にはまっとうな理由がある。たとえば領土紛争はなわばりを守ろうとする生存本能であり、男女間の価値観の差はその生殖本能…

狛犬ジョンの軌跡

深夜のドライブで轢いた大型犬が実は神社の狛犬の化身であったという設定。主人公は必死で助け自宅で飼うことになる。挿入される狛犬の独白によると人語は解するがそしらぬふりをする。奇妙な共同生活は恋人を含めて不思議な絆を生んでいく。狛犬は境内を荒…

勉強上手

タイトルどおり。日本人一般の勉強方法をばっさり切り、世に氾濫する勉強本をばっさり批判。全体の主張は「好きこそものの上手なれ」につきる。実利を見すぎるところは同意できないが、具体的な読書術や、SNSの活用法には参考にすべきところがある。軽め…

未完のファシズム

なぜ昭和の日本は勝ち目のない戦争に突入したのか。陸軍上層部に焦点をあてる中で、トリガーを第一次世界大戦に置く。総力戦となった大戦から学んだことは、「持たざる国」は「持てる国」に勝てないという軍部にとっては認められない事実。このため小畑敏四…

それをお金で買いますか

副題は「市場主義の限界」。近年とみに優先される市場主義。各分野で従来の社会道徳、倫理と衝突する。実例を挙げればインセンティブ、用務員保険、施設の命名権等。教授の姿勢は行きすぎた商業主義は格差を拡大し、民主主義に害をなすとするもので、大多数…

ローマ法王に米を食べさせた男

石川県羽咋市のスーパー公務員の自著。UFO博物館の創設、ブランド米による村おこしで高齢化の進む限界集落を復活させるなど、見事な活躍。卓抜なアイディアもさることながら、その実行力に感心させられる。口草は「可能性の無視は最大の悪策である」。彼の実…

七つの会議

電機メーカ−(ソニック)の関連会社を舞台とする企業小説。エリート営業課長が突然パワハラで左遷。その裏にはコストダウンのために部品の材質を下げ不良品を販売したコンプライアンス違反の事象が隠されていた。組織をあげての隠蔽工作がなされるが、結局内…

旅屋おかえり

弱小芸能事務所所属の元アイドル丘えりこ。通称「おかえり」が唯一のレギュラー旅番組が打ち切りになる。ひょんな偶然から始めた「旅屋」稼業。依頼主の代わりに旅に出て、記録としての成果物を持ち帰る。第一回の東北行きが瑞々しく人との触れ合いが暖かい…

ロード&ゴー

任務中の救急車が爆弾を持つ犯人にジャックされ、次々と都内の病院を時間内に巡らされる。身代金の要求はダミーで犯人グループはかって緊急医療が受けられず、肉親を亡くした人たち。救急体制の改善を世に問うべく犯行に及んだ。しかし機関員と救急士の必死…

赤い三日月

1990年代のトルコが舞台。東京銀行がモデルの日本人銀行員とトルコの財務当局がローンをめぐって折衝を繰り返す。それぞれの立場と内部事情があるが、デフォルト寸前の財政を使命感に燃えるバンカーが危機を救う。シンジケートローンや債権の発行など緊迫感…

神器

長編。香取級軽巡の4番艦「橿原」。大和の菊水特攻にあわせて特命を帯びて東へ向かう。狂信的な信仰により、新たな東征により高天原を目指すとするもの。論議ニス物質の余波で予知能力を得た水兵が現代と行き来し語り手となる。荒唐無稽な設定の中で、主題…