2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ドリフターズとその時代

戦後日本の笑いの雄であるドリフターズを取り上げる。コミックバンドからスタートし、全員集合でスターダムへ。計算された台本と徹底した稽古で笑いを取る。50%超えの視聴率は伝説。芸風はある意味古臭くマンネリ。コント55号やひょうきん族といった強…

あめつちのうた

神整備で名をはせた阪神園芸を舞台にした青春小説。運動音痴の主人公は体育会系の父親と衝突。万能の弟への嫉妬もある。グランドキーパーになるべく阪神園芸に入社。個性の強い先輩たちに囲まれ成長していく。後半はLGBT問題を抱える親友の問題がメインとな…

アートの島犬島へ

岡山の小島犬島。かっては銅精錬所があり栄えたが、戦後は衰退の一途。福武財団によりアートの島としてよみがえる。精錬所は美術館に、古民家は再建してギャラリーとする。瀬戸内美術蔡ではおおくの観客が集まる。著者は港で商店を経営しながら、島の情報を…

習近平帝国の暗号2035

習近平政権の内情と目指す姿を描く。著者は日経記者で北京駐在。ちょうど5年前の党大会。2期目を目指す人事抗争。腐敗撲滅を武器に軍部を含めた反対勢力を無力化していく。経済発展と軍備拡張により2035年に米国を凌駕することが野望。そのために今は雌伏…

黛家の兄弟

舞台は江戸中期の架空の小藩。家老の息子として生まれた三兄弟。末弟は大目付の家に婿入り。遊び人の次男が次席家老との権力争いに巻き込まれ、切腹させられることになる。十数年を経て再燃する政争に、見事な策略で挑む。ここまで白黒をつけるとは想定以上…

世界2.0

メタバースがもたらす新たな世界を予測、解説する。ネットの3D化はの技術は革新的で世界を一変させる可能性がある。いわく「神の民主化」により世界を創造する。ルネッサンスの再来とも表現。ゲームが入り口になるので日本にはチャンスがある。第三章が本書…

さよなら野口健

不思議な縁で結ばれた二人の男の生き様を描くノンフィクション。まずはアルピニスト野口健。日本とエジプトの混血で両親は離婚。来日後はいじめにあう。最年少で七大陸の最高峰を制覇。登山家としては3.5流であるが、その着想力と実現力で名を成す。代表…

妄想美術館

西洋絵画を中心とした美術ネタの対談。放談に近い。それぞれの好みの画家や作品を披露。それにまつわる美術遍歴や想いを語る。原田氏は印象派、ヤマザキ氏はイタリアルネッサンスがお好み。後者には知らない画家も多い。主たる作品はカラー図版で示され読み…

書評集

書評集。2005年から10年間、読売新聞の読書委員を務める。すこぶる好評で長く続けることになった。イメージと異なりアイドル時代から読書家。結婚、離婚を経て中年女性の視点から人生を見つめる。小説の類が多いが、詩歌や漫画まで幅広い。軽妙でウイ…

鉄の楽園

東南アジアの新興国を舞台にした高速鉄道売り込み合戦。中国との出来レースが濃厚だったが、汚職撲滅を掲げる新政権が成立。日本と同国の鉄ちゃんの連携で白紙撤回。リゾートトレインを中心とする観光事業に舵を切る。経産省と総合商社のタッグ。売り切りで…

お金の未来

対談形式でデジタル通貨の未来を語る。その本質はブロックチェーン、WEB3による非中央主権化である。いまだ勃興期にあり、不安定さもあるが、インターネットの黎明期と同じくやがて洗練され一般化するものと予想する。決済機能などは既存の銀行システムより…

甲子園の神整備

雨中試合の神整備で名を挙げた阪神園芸。著者はそのチーフグランドキーパー。秘密は冬場の土づくりにある。天地返しで水はけと保水の良いベースを作る。芝は、冬芝と夏芝の2毛作。後半は組織論と人材育成。職人技の世界であるがしっかりと近代化と若手への…

この国の危機管理失敗の本質

東日本大震災、福島原発事故、コロナ禍と続く大規模危機。日本政府の対応は後手後手で大戦中と基本的に変わっていない。特に震災、津波については学術的に予見されていただけに無策が惜しまれる。経済優先と前例主義が障壁となる。水俣病対策が悪例として何…

興福寺の365日

エッセイ。堂宇や寺宝の写真とで構成される。著者は現役の興福寺執事。管理室長として日頃の経営や美術展に携わる。最大のイベントは中金堂の再建。寺の内側から見た修行や布教の状況。信仰と観光経営のバランス。文章は簡潔で歯切れは良い。清々しい読後感…

空をゆく巨人

中国出身の現代美術家、蔡國強と彼を強力に支える地元の人々の物語。中心となるのは実業家の志賀忠重氏。かなりユニークな人物で事業では成功しているのは実力の証。蔡氏の作品のためにチームを率いて世界各地にかえつける。代表作は火薬絵と廃船を使ったオ…