2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

詠う平家殺す源氏

大物二人の共著。シリーズになっているようだ。「平家物語」を題材に歴史と日本社会を語る。タイトルにある通り貴族社会から抜けきれない甘い平家といち早く冷徹な武家の合理性に徹した源氏。平家は清盛と重盛だけが人物であとは烏合の衆。全体としては論旨…

第3の道

現杉並区長で、日本志民会議を率いる著者のプレゼン本。小さな政府を目指す主張は明確に述べられている。理想論に過ぎないと片づけるのは簡単だろうが、現在の閉塞感を打破する方向性を指し示していることは確か。どれだけ指示広げられるか。第3の道 日本人…

ビートたけしの黙示録

たけしの著作に最近はまっているが、これは明らかに一段落ちる。売りの毒舌はあるものの、下ネタが多い。古い日本の家族制度や地域社会を良しとする主張には一貫性があり、真実はある。かかれたのが2001年と立ち位置として中途半端なためか。ビートたけ…

ゴッホ展

早退して新美術館へ観に行く。金曜日の午後の割には空いていた。ゴッホの作品が時代ごとに紹介される構成。初期の素描はむしろ平凡。パリ時代、アルルあたりから一気に開花するイメージ。その後は自殺まで一気に駆け抜ける。作品すばらしさは言うまでもない…

11月そして12月

フリーターの青年の日常。偶然知り合った女性アスリートとの恋。姉の失恋と自殺未遂。父親の不倫と盛りだくさんの内容。機知に富んだ会話を軸に、テンポ良く一部はコミカルに描かれている。嫌々ながら積極的に動き正面からぶつかる主人公は、現代の若者らし…

99のなみだ花

短編集。副題の通り読者を泣かせる作品を集める。題材はどうしても親子関係しかも病気や障害にかたよりがちであるが、けっこうはまる。お勧めはクリーニング屋の親子を描いた「背筋を伸ばして」と「高齢者四重奏」。99のなみだ・花―涙がこころを癒す短篇小説…

ICO

RPGのノベライズ。人身御供に差し出された角を持つ少年が呪われた霧の城で不思議な少女を救い出す。中世ファンタジーだが、人間の弱さ、精神的な葛藤、宗教の意義まで踏み込む。重厚な田長編になっており、ややしんどい。作者の力量をしてコンピューター…

[書評]東京駅之介

東京駅に捨てられた赤ん坊。いったん拾った母親に育てられるが、その後家庭が崩壊し東京駅に舞い戻る。地見屋の親分にひるわれ浮浪児として駅を根城に成長する。貧しく厳しい現実の中でたくましく生き抜く。戦後の世相を反映。読み応えのある作品だった。東…

魔球

作者初期の青春モノ。甲子園出場のバッテリーが相次いで殺されるというショッキングな設定。一見関係のない電気会社の爆弾テロと複雑に絡み合わせるこったプロット。意外な結末まで一気に持って行く。作者の実力は遺憾なく発揮されているが、未熟な部分も垣…

シックスポケットチルドレン

主人公は泉佐野の悪ガキ。はちゃめちゃな父親とのコンビで周囲を巻き込み、それでいて納得させる。根底に流れるのはまっとうな教育論と親子の情愛。暴力はある意味でツールに過ぎない。連作で友達の家庭問題を取り上げていくが、パターンは同一で後半やや飽…

ホペイロの憂鬱

サッカークラブの用具係であるホペイロ。弱小チームでは雑用係を兼ねている。チームにかかる些細な事件を見事解決してみせる。ミステリー仕立てになっているが、これは本筋ではなくサッカーを愛する人々をほのぼのと描くのが目的。登場人物もデフォルメが効…

60歳までに1億円つくる術

若い読者、投資の初心者を意識した指南書。突き詰めれば長期分散投資を推奨。個別銘柄よりもINDEX。当たり前の内容なのだが説得力には富む。60歳までに1億円つくる術―25歳ゼロ、30歳100万、40歳600万から始める (幻冬舎新書)作者: 内藤忍出版社/メーカー: 幻…

マンチュリアンレポート

クライマックスは張作霖の爆殺。昭和天皇から調査を命じられた陸軍中尉のレポートと、お召し列車の機関車の独白が交互に語られ歴史の闇を暴く。結論は満州軍の謀略なのだが、張作霖を稀代の英雄として好意的に描いているのが印象的。これだけの題材と大胆な…

夢見る黄金地球儀

著者にしてはめずらしいクライムコミック。ふるさと創生資金で作られた黄金の地球儀を頂戴しようとする主人公。ドタバタで笑わせながら、しっかりペーソスも漂わせるあたりはさすが。作者自身が楽しみながら書いている感じがして、読む側もリラックスできる…

アホは神の望み

著者は筑波大名誉教授で生命科学の大家。愚直で真摯な生き方を若者に求める。根底には「感謝と利他の思想」。同様の著書多数のようだ。現在の研究は人間の精神面がいかにDNAに働きかけスイッチをいれるか。科学の真理を追い求めていくと、人間を超越したもの…

パンデミックアイ

簡単に言えば「呪い」もの。明治時代開拓に酷使された囚人の霊が、現代にたたりをもたらす。現代の弁護士と明治の囚人の物語が入れ子構造で展開する。序盤の緊迫感に比べて、途中でやや物語が勢いをなくし無理矢理の結末を迎えた感は否めない。楽しめるレベ…