2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

麒麟の舌を持つ男

戦前軍部の命令で一人の天才料理人が挑んだ究極のメニュー「大日本帝国食彩全席」。終戦時の混乱で四散したレシピを探す、中国人と依頼を受けた現代のテンサイシェフ。謎解きを経て四季に分けられたメニューの全貌が明らかになる。裏には満州支配を狙う軍部…

人質の朗読会

異国の地で誘拐され人質となった8人の男女が、慰みに開いた朗読会。それぞれ思い出の一話を披露する。設定は目新しいがそれぞれの挿話に内容的な繋がり無く短編集に近い。いずれも不可思議なそれでいて心に残るメルヘンである。盗聴器でモニターした現地兵…

ポーカーフェース

著者の最新エッセイ集。ネタ的には真新しいものが多く、年齢、老成を感じさせない。多少思い出話が多くなったかなという程度。選び抜いた言葉からなる才気あふれる文体は健在。構成も練られている。気持ちよく読破。流石である。ポーカー・フェース (新潮文…

孫子に経営を読む

著者による孫子の解説書。かの兵法の古典を現代ビジネスに応用する。30の名言をピックアップ。これまで様々な解釈がなされてきたが、著者にとっては物理的/心理的両面からの力学で構成されるのが孫子の基本的な考え方。サムソンやアップルも戦略に応用し…

翼ふたたび

更正法適用となったJALの再生劇を小説仕立てで再現する。官僚主義から抜けきれずカリスマ経営者(稲盛)流改革には懐疑的な社員達。各部署から集められた主人公達がファシリテーターとなってフィロソフィーを広めていく。その渦中で起こった大震災。仙台…

[書評」最強組織の作り方

著者は米海軍攻撃型原潜の艦長。士気の低い潜水艦を意識改革で優秀艦に改革する。手法は徹底した権限委譲。部下に考えさせ自発的に行動させる。トップダウンの軍隊組織にはなじまないはずで、本人も何度も葛藤に耐える。部下も期待に応えて必要なスキルアッ…

不祥事

大手都銀が舞台。事務部の臨店役、冴えない中年の調査役と才気あふれる女性とのコンビ。支店に出向いての営業指導が本来の役目だが、次々と持ち上がる難問を解決していく。保身と出世ばかり考える銀行員病に敢然と立ち向かうヒロインその名も「狂咲」こと花…

ケモノの城

町田のマンションで起こった惨劇。恐怖により他人を支配しその家族を巻き込み財産を奪った上、互いに殺害させる。北九州の実際の事件をモデルにし、人間の持つ残忍さと弱さを描く。平行して進む若いカップルと前科のある女性の実の父がやがて事件に絡み合う…

[書評]史上最大の決断

ノルマンディー上陸作戦を題材にしたリーダーシップ論。前半は歴史上の戦史を解説。終章になってようやく主要登場人物について解析を披露。アイゼンハワーを高く評価。曲者の将軍たちを硬軟織り交ぜて使いこなす。人たらしの面目躍如。期待していたより細論…

新幹線を航空機に変えた男たち

開業50年を迎えた新幹線の技術史を振り返る。高速化への挑戦は空気抵抗との闘いであった。航空工学の知見、空洞試験やスーパーコンピュータでのシュミレーションが駆使され、問題を解決して来た。トンネルでの騒音解決が大きな課題。高速化は限界だがリニア…

書店ガール

舞台は吉祥寺の中堅書店。40代の独身副店長と20代の新婚スタッフが主人公。前半は二人の確執。後半は一致協力して閉店の危機に立ち向かう。売上を増加させたものの、お家の事情で結局は退職。新しい希望が示唆されたところで続編へ。全編に流れる本屋の…

勁草の人

興銀の頭取にして、戦後の復興を支えた伝説のバンカー中山素平を描いた経済小説。一時代前の人というイメージだが、相談役や顧問として金融政策の舵を取る。近いところではNTTの民営化やディズニーランド。さらにはみずほ銀行への合併劇にも顔を出す。田…

センスは知識からはじまる

天性のものと思われるセンスだが、実は日々の知識の集積が重要。その構造を極めて論理的に解説する。すべての分野において幼児の持つ好奇心を持つことが必要。具体的には本屋巡りと雑誌の活用を提案。階段を飛ばす勇気が必要。著者はグラフィックデザイナー…

たましいの場所

かってのロック歌手は長年書店主として、若くして隠遁生活を送っていたが、ソロとして復活。2000年頃に書かれたエッセイ。創作の話と私生活さらに書評がないまぜになっている。資産家の末弟のようで、金銭的な苦労はせずある意味優雅な人生。残念ながら歌手…

身体巡礼

老解剖学者が中欧の墓所を巡り、死について考えを巡らす。ハプスブルグ家では心臓、その他の内臓、身体をそれぞれ別の廟所に収める。ボヘミアでは数万の骸骨で装飾された納骨堂。復活を信じる一神教では死体への向き合い方が我々と異なる。その意味で世俗的…

ジェフベゾス果てしなき野望

Amazonの創業者でありカリスマ経営者であるベゾスの一代記。両親の離婚にも関わらず、子供のころから優秀でヘッジファンドに就職するも、インターネットの将来性に着目し、一物一価の書籍の販売をベースに起業。当社は投資が大きく赤字であったが、ぶれずに…

経営企画部が日本企業をダメにする

著者は独立系コンサルを経営。低予算で高品質の戦略立案を売りにする。本書では歯に衣を着せぬものいいで日本の企業体質と大手コンサルを批判する。タイトルによらず内容は建設的。日本の未来は決して明るくは無いが、ネガティブにならず商機をみつけること…