2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ブギウギ

大戦末期。来航したUボートの艦長が、隔離された箱根で不審な死を遂げる。調査にあたった通訳のドイツ学者の戦後に及ぶ操作。一方で旅館の女中は新時代を迎え旧弊から解放されジャズ歌手として新たな人生を切り開く。理念に固執する男と、心と情熱で立ち向…

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ユニコーンの日

ガンダムシリーズのノベライズ。まあ面白かったがメカニックSFを文章化することには限界がある。読者がある程度知識を持つことが前提となっている。焦点はむしろ人間ドラマ。完結しておらず続編あることになっているが、微妙。ユニコーンの日(上) 機動戦士…

七転び一置き

感動的な自伝。渥美清の付き人を皮切りに、芸能界の裏方として活躍し、ミュージカルの世界で成功した著者が、一転倒産自殺を試みるところまで転落する。隠遁先で子供達と流れ星を見た夜がターニングポイント。飛び込んだ歩合制のリフォーム営業で「皆川メソ…

空飛ぶタイヤ

明らかに三菱自動車のリコール問題を題材にしたフィクション。トラックのハブ不具合により起こった死亡事故により、経営の危機を迎えた中小運送会社社長の懸命の戦い。自動車メーカー、銀行とも大企業の論理をたてに弱者には非情である。取引先も保身のため…

乙女シジミの味

エッセイ集。日経夕刊への連載は2001年から2007年。初老の夫婦と犬猫の生活だが、決して枯れることなく、時事ネタにも鋭く切り込み、批判精神も忘れない。立ち位置はきわめて常識的な知識人。古書店主らしく圧倒的な読書量と知識がバックグラウンド…

乳と卵

芥川賞受賞作。豊胸手術を目論む母親と初潮前の娘の反目。母親の妹の視線で女性の赤裸々な心情を描く。大阪弁である意味えげつなく、直情的な吐露が続く。クライマックスで卵を割りながらのぶつかり合いは壮絶。他に短編を併載。正直評価は微妙。1143乳と卵…

ROMES06

関空で開催中の宝石展を襲う国際犯罪組織。プロ集団に立ち向かうのは最新のセキュリティシステムとその運営責任者。怜悧な頭脳で先を読み、見事防衛に成功する。多数の登場人物が輻輳的に絡み合うが、書き分けはプロの仕事。休日を楽しめるエンタメだったが…

明日のリーダーのために

著者が自らの経歴をベースにリーダシップ論を展開する。国鉄の本社採用の幹部候補生であり、分割民営化の実行者。政治と官僚の入り組んだ権力闘争を凌いで、民営化、上場を成し遂げる。記述は実名入りでかなりなまなましい。立場は右寄りで日米同盟を基軸と…

クラリネット症候群

「症候群」2作を収録。「マリオネット」は被害者が殺人者の体内に入れ替わるという奇抜な設定であるが、あまり深みはない。笑わせてもらいましたが。「クラリネット」は暗号解読がキー。これも平坦。ドレミを抜いた台詞廻しは正直しんどい。いずれも軽め。…

池袋ウエストゲートパーク。

主人公は地元で実家の果物屋を手伝いながら、トラブルシューターとして活躍する。不良たちからも一目置かれる存在。ヤクザ、薬物、水商売と危ない世界から少年少女を守ろうとする。体言止めを多様。短い文体と展開の早さで読者を引き込む。ウエストゲートパ…

オルセー美術館展

人気の印象派画家の代表作がずらりならぶ。逆に言えばどこかで見たことのあるモチーフがほとんど。パリで見ているはずなのだが。メジャーなところはあきらめ後半に絞って鑑賞。ルソーの「蛇使いの女」をじっくり観れたのが最大の収穫。「戦争」も強烈な印象…

防衛破綻

副題は「ガラパゴス化」する自衛隊装備。長期間に及ぶ少数発注と国産信仰により制式化時点から時代遅れになる自衛隊装備。税金の無駄遣いも甚だしい。一部には利権が絡む。真実だとすると馬鹿げた話。単純な解決策は武器輸入することであるが、関連産業の育…

犬の足あと、猫のひげ

女流写真家のエッセイ集。元々は写真集用の文書のようだ。写真の題材は犬、猫、廃墟と硬派なものが多い。文中には世をすてたような人々が描かれる。悪くない。犬の足あと猫のひげ (中公文庫)作者: 武田花出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2010/02/01メ…