2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

マネジメント信仰が会社を滅ぼす

もしドラに代表されるマネジメント書ブームに警鐘を鳴らす。経営資源を集中すべきはビジネスであり、マネジメントはその手法にすぎないとばっさり。日本の失われた10年は、事業が確立しリスクを取らなくなったことに原因がある。それが現代の若者に世代格…

日本人はなぜ戦争へ向かったのか

開戦70年を迎えてのNHKスペシャル取材記。これは上巻で満州事変後の外交と陸軍に焦点をあてる。当時の帝国主義の世界では事変後も国際社会で容認される可能性は低く無かったとする。国内の閉塞感の中で関東軍が挙げた快挙である満州国に国民が酔い、強硬論…

書評[でんでら]

東北の寒村。口減らしのため山中に捨てられた老婆たちが築いたコミュニティー「でんでら」。50人の女性たちが飢えと寒さの中で自活するが、内部は自らを捨てた村に復讐する襲撃派とそれに反する穏健派が対立する。熊と原因不明の疫病に襲われ数人まで減っ…

まほろ駅前多田便利軒

東京近郊町田市がモデル。心に傷持つ中年男が営むさえない便利屋稼業。そこへ高校の同級生で変人がころがり込む。さまざまな事件に巻き込まれながら二人の持つ家族の過去が明かされていく。主題は親子関係を中心とする現代の家族問題。シリアスなテーマだが…

カップヌードルをぶっつぶせ

著者は日清食品の2代目経営者。「草創成就」をキーワードに偉大な創業者である父親、安藤百福氏の事業を引き継ぐ。父親はかなりのカリスマで生前は衝突することも多数あった。前半は創業時の偉業を後半は組織を硬直させないための改革に伊ページを割く。現…

甲子園ホテル

現在は武庫川女子大の一部。事前申し込みだが一般見学もかのうとのこと。http://www.mukogawa-u.ac.jp/~kkcampus/index.html

パンダ外交

タイトル通りの内容。戦前からの中国の外交史を描く。諸外国がその希少価値を中国に教えたパンダ。主体的に最初に外交に使われたのは日中戦争さなかの中華民国時代の対米政策。共産党時代もそのしたたかさは変わらない。現在の有償レンタルはワシントン条約…

ワシントンナショナルギャラリー展

フレックスを使い鑑賞。印象派を中心に80余点、一級品がそろっており大満足。これがすべて個人の寄贈であるところにアメリカ社会のすごさがある。モネやピサロの印象派の明るさも良いが、圧巻はセザンヌとゴッホ。やはり精神性が一歩踏み込んでいる気がす…

名もなき毒

久々の宮部長編ミステリーは暗い話である。毒物混入による連続殺人事件を下地にするが、土壌汚染になぞらえて一般人に巣くう毒素を題材にする。主人公は幸運にも資産家の娘と結婚した編集者。無欲で平凡だがあまりに邪気が無く、帰ってそれが周囲の毒をもつ…

信長の女

タイトルからして英雄の女性遍歴が語られるかと思ったが、しっかりした本人の評伝仕立てになっている。名古屋在住の著者らしく尾張制圧までのエピソードに時間を割く。世に伝えられる天才的な武将のイメージでなく、じっくりとステップを踏み機が熟すのを待…

桐島部活やめるってよ

現代の高校生活を描く。5人異なる視点から語られる連作になっているが、タイトルの桐島君はほとんど登場せず、周囲への微かな影響を与える。この年代特有の優越感、劣等感、男女の感情。全体に煮え切らないのは時代の反映か。互いの個性や情熱を認める前向…

蒼海に消ゆ

太平洋戦争中の実話ノンフィクション。日系移民の2世は成績優秀、剣道の達人で祖国日本で学び、難関の東京商大に合格する。国籍を超えて学徒出陣に応じ最後は特攻で戦死する。60年前で記録が散逸している中で丹念な取材が伺える作品。当時の大学進学率は…

[TV]クリスティーナの世界

MOMA所蔵。http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/data/090530/

輝く夜

短編集。いずれもクリスマスを舞台にしたメルヘン。どちらかというと平凡な女性達が聖夜に願いが叶う5編。出来すぎのストーリーでステレオタイプなハッピーエンドであるが、そこはお約束、単純に楽しむべきなのだろう。巧みなさばきで安心させて読ませるの…

最高の涙

副題は「宮里藍、世界女王への道」。日本で無敵だった藍ちゃんがアメリカツアーに参戦してから4年、初優勝までの苦闘の記録を綴る。勝ちたいというプレッシャーから自分を見失い大スランプに陥る。脱出の決め手は自分を信じきること。いかにゴルフがメンタ…

宇宙飛行士選抜試験。

10年ぶりに行われたJAXAによる選抜試験。最終試験に臨んだ10人にNHKの密着取材が許される。本書はその取材記でありドキュメントとして厳しい試験が描かれる。7日間にわたる宇宙ステーションを模した密閉空間での共同生活。極限のストレスの中で次々と課題が…

グーグルで必要なことはみんなソニーが教えてくれた。

著者の自伝。タイトルはソニー礼賛にも読めるが実は失望感が強い。ソニーでは危機にあった事業を短期間で立て直す。辣腕をふるっただけに反対勢力も多かったであろう。ソニーの大企業病と社内ポリティックスに失望して転職。職安に通う経験を経て、グーグル…

平成大家族

引退した歯科医の老夫婦のもとに破産した長女夫婦、離婚した次女が舞い戻り一気に大家族へと変貌。惚け気味の母、引きこもりの長男が加わり、イジメやシングルマザーの問題と盛りだくさん。いずれも一定の解決が示され基本的にはほのぼの系である。実力のあ…

今ここにいるぼくらは

時代は昭和。小学生の少年が主人公。日常生活の中で事件と冒険を繰り返し成長していく姿を描く連作。淡い初恋も描いてすがすがしい印象。あえて時系列を無視した構成がなかなか巧み。少し読んでみたい作者。今ここにいるぼくらは作者: 川端裕人出版社/メーカ…