2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

お腹めしませ

時代物の連作集。江戸末期の下級武士とその家族を描く。いつものごとくコミカルでありながらペーソスにあふれる人情者。親子と男女の情愛をしみじみと描く。家名を大事にする武士に対し、なによりも大切なのは人間そのものであるという現代的な視点を与える…

なぜ伊右衛門は売れたのか

清涼飲料としては異例のメガヒットとなったサントリーの伊右衛門。その商品開発プロセスを描いたノンフィクション。自由な開発風土のサントリーと京都の老舗福寿園とのコラボでの大成功。その裏には担当者のプアール茶での苦い経験があった。分野は異なるも…

空中ブランコ

型破りな精神科医を主人公とする連作形式。それぞれの分野で名を成しながら、人に言えないストレスや悩みをかかえる人々が、不思議な人格の神経科医によって癒される。全般コミカル仕立てになって軽快に読ませるが、患者たちはそれぞれ自分の原点、根っこの…

人生の王道

京セラの稲盛会長が、尊敬する同郷でもある偉人である西郷隆盛の「遺訓」を読み解く形を借りて、自らの、人生観、経営哲学を披露する。南州翁遺訓」は幕府側に属した庄内藩の有志によってまとめられた。このこと自体が翁の偉大な影響力を示す。根本になるの…

爆笑問題が読む龍馬からの手紙

爆笑問題の二人が、掛け合い漫才で現存する手紙で龍馬の人間性を解明する。ただ史実はすでに歴史学者によりすでに研究されつくされているので、自らの芸人人生に投影して、これまでの遍歴を語ることに主題が置かれている。太田氏が龍馬ファンだと言う点は伝…

東海道新幹線歴史散歩

東海道新幹線の車窓から見られる歴史的建造物を写真と短文で紹介する。いつも早朝か夜に往復しているので、これを機会に陽のあるうちに西行。下りE席山側の風景を楽しんで来た。予想していたが速度が速すぎ、確認できたのは記載の約半分。それでも掲載され…

字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ

著者はベテランの字幕専門の翻訳家。限られた秒数で観衆に読んでもらうために、台詞を直訳でなく要約する技量が要求される。また登場人物のキャラをきめることも重要。映画を通して最近の日本での教養、文化度の低下を嘆く。全体にコミカルに書かれているが…

宮大工

[書評][美術]宮大工棟梁・西岡常一昭和の名工、希代の宮大工である西岡棟梁。前半は「私の自叙伝」。後半は関係者の対談。祖父の教育方針により、農学校に通い米作りから学ぶ。宮大工は本来仕事のあるときのみの日当制であり不安定な身分であった。戦争中は応…

[書評]iPodをつくった男

アップルの創業者であり、現在の隆盛をもたらしたカリスマ経営者ステーブ・ジョブスの評伝。かなり個性が強く独善的な一面を有し、一時は追放された形でに同社を離れたが、逆境により人間的には成長し、iMAC、iPODと独創的な製品を世に問い、見事な社業の復活…

世界の中心で愛をさけぶ

中学、高校の同級生カップルが大切に純愛をはぐくむ。しかし少女は白血病で短い生涯を閉じることになる。単純な筋立てであるが、互いを想い合う男女の会話は微笑ましい。前半の伏線としてかっての恋人の墓から骨を盗んだ祖父の慰めの言葉が主題か。映画が先…

コマツ

ためたカンブリア宮殿を3本見る。V字回復を果たしたコマツが参考になる。 人間辛抱できるのは2年が限度。リストラは2年で結果を出す。 商品開発ではまず犠牲にするスペックを決める。総花主義はダメ ライバルに3−5年差をつける性能。 IT化が、アフタ…

Les Miserables

"To die is nothing, but it is terrible not to live."Valjean が誤解を解き、死の直前家族への言葉。

月下の恋人

短編集。いつもながらの浅田ファンタジーで男女、親子の情愛を細やかに描く。2001−2004「小説宝石」への掲載作品を収録。今回は読者に登場人物の関係と真の結末を想像させるような構成の作品が目についた。おすすめは女子高生の義父への感謝の想いを…

6時間後に君は死ぬ

人の未来を予知する能力を有する心理学専攻の青年を中心とした連作集。さまざまな形で予知された女性たちが、運命に従うか、それを変えるべき努力するかで思い悩む。若者らしく後者を選ぶ主人公たちにはささやかなハッピーエンドが用意される。「13階段」…

インド人はなぜゼロをみつけられたか

タイトルとは異なり、エコノミストによるインド経済の入門書。世界2位の人口が安価な労働力と成長市場を用意するため、BRICsの中ではもっとも成長が期待される。現状分析は不案内な私にはちょうどいいレベルであるが、後半の将来予測に関してはややステレ…

グーグル革命の衝撃

NHK特集の取材記。グーグルの躍進の内情と社会のあらゆる面に与えた大きな影響を描く。革新的な変化はもちろん正負の両面を有する。前半の具体的な事例を並べた導入部に比べて、未来予測についての後半は、社会批評が主となりやや観念論的な印象。 グーグ…

枢密院議長の日記

検察官から宮内省、最後は枢密院の議長を務めた高級官僚、倉富勇三郎の膨大な日記をまさに解読する。本人が病的な記録魔で日常の些事から、大好きな人事関係のゴシップまで極めて事務的に記されており第1級の資料であることは確か。読み手を全く意識せずた…

スタバではグランデを買え

評判の経済入門書。すべてのモノ、サービス価格は「取引コスト」により決定される。表題のスタバについて言えば、そのコスト構成を変動費と固定費に分けて解説するごくあたりまえの話。携帯電話、DVDと身近な例をあげて啓蒙しているが正直内容的にはもの…

孫文の公園(1924)

西洋の物質文明は科学、武力による「覇道」の文明。東洋には道徳、仁義による「王道」の文化がある。 日本は世界の文化の前途に対して、西洋の覇道の番犬となるか、東洋の王道の干城となるか。日本は戦前に一度誤った選択をした。

発展形態

加工貿易 先進国と発展途上国 水平分業 工業国同士 工程分業 知識集約(先進国)と資本集約(中国、東欧)

日本=イスラエル

モンゴルから見ると「日本はイスラエルに見える」。世界の中でこれだけ周囲とうまくいっていないのはこの2国のみ。

40年周期

日本の近代史は40年の栄枯盛衰。 1867 明治維新 1905 日露戦争勝利 1945 敗戦 (高度成長)=理想的な近代化工業社会 1985 プラザ合意 2005 現在 次の転換点まであと20年だが底抜けの危機も。

日本の社会戦略

共著。日本の現状を嘆き、このままでは世界の2等国に没してしまうとする。一貫しているのは徹底した官僚批判。高度成長期の成功体験に依存する現在のシステムはすでにその役割を終えており、現在の知価社会にはむしろ弊害をもたらしているとする。日本は王…

終着駅

恋人を事故で失い、極道となったヤクザの武闘派幹部と盲目で純真な女性との純愛。跡目争いの抗争と自らの組織が原因となる2つの過去の事件への贖罪の中で、自分の立場を考え本心を抑制しつつ相手を慕う中年男性の気持ちは思わず応援したくなる。最後はある…

天皇家の財政

著者は元毎日新聞記者。情報公開制度を駆使して天皇家の財政を解明する。並べられた数字は庶民の感覚からはかけ離れてはいるが、まあそんなものだろうというのが正直な印象。予算を含む制度にについては戦後ずいぶん公開、議論されたが、再び形骸化し宮内庁…