中華料理の有名シェフである著者の自伝。易者である父親から、中卒で名店の厨房へ抛りこまれる。最若手で下働きの修行。中華鍋を洗う日々が、3年続くが、やがて背中に眼を持ち、ウサギの耳を立て、人知れず多くの学びを重ねる。当時の中華は料理人のトップは中国から招いた人々で占められ、ガラスの天井が存在した。立川のホテル経営者に見込まれ、新店の料理長となるが、客はまばらで苦戦。新たに中華の常識を破り始めた一人用のコースが評判を呼び繁盛、やがて都心で多くの店を経営するようになる。運命のように先達に恵まれたとあるが、当人の料理の実力と人柄のなせる業だろう。実篤の書「この道より我を生かす道なし。この道を歩む」信条。変革の意識も高い。全般にドラマチックで良い作品であるが、書評による期待が高すぎたか。





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