2007-12-01から1ヶ月間の記事一覧

戦艦「大和」暗号士の終戦。

慶応大を繰り上げ卒業後、海軍の短期現役士官として戦艦大和の通信士となった小島少尉の戦記。レイテ沖の大和では通信員として機密を知る立場にあり、またそれがために帰還後、機密封鎖のために送り込まれたフィリピンルソン島で陸戦に投入される。最後には…

美しい国へ

いまさらながら一時期評判になった著書に目を通す。主張は予想通りやや右よりであるが一貫性はある。世界市民などの理想論ではなく、国家を主体とした社会を構築すべきとし、そのためには自衛力の整備、教育の改革、ひいては憲法の改正が必要であるとする。…

世界の日本人ジョーク集

評判の新書。治められたジョークはわかっていてもやはニヤリとさせられる。日本人ネタは我々が思うほど一般的ではないようだ。類型化されてはいるがジョークも平文もどうしてもステレオタイプであるところはやむを得ないだろう。合間をつなぐには充分な一冊…

天切り松闇語り

シリーズ第4巻。激動の昭和初期を舞台に、義賊一家の国家権力へのささやかな反抗を描く。一貫しているのは反戦への思いと弱き庶民への暖かな視線。粋で一本筋の通った生き様はいつもながら清々しい。一作抜かしたかな。天切り松 闇がたり〈第4巻〉昭和侠盗…

君の名残を

現代の高校生カップルがタイムスリップにより、源平争乱にまきこまれ弁慶と巴御前として、別の人生を生き抜くという大胆なストーリー。意外と平家物語に忠実に進める。進展は遅く期待していたほどの出来ではない。巴の義仲への純愛、それぞれの親子の情愛に…

アヒルと鴨のコインロッカー

初めて著者の作品に接するが、予想以上に良かった。東北大に入学した新入生が、アパートの隣人に頼まれ本屋に強盗に入るという奇抜な書き出し。物語は現在とその遠因となった2年前のペット虐待事件を織り交ぜながら、淡々とスピィーディーに進展する。登場…

[野球]不動心

評判になった松井秀喜の新書。開幕当初の骨折でシーズンを棒にふった06年のシーズン中に執筆された。こういうと失礼だがきわめて冷静に自己を分析している。自分でコントロールできないことにはこだわらず、気分を切り替えていくことで精神面の強さを維持…

自己責任

2003年12月に発生した「イラク日本人拘束事件」。被害者のうち当時最年少の18才であった著者の手記。まずこの年齢に驚かされる。これだけで見方は著者サイドになってしまうのだから甘ちゃん読者です。NGOの取材のためバクダットへ向かう途中にいきなり…

砦無き者

「破線のマリス」につぐTV報道局を舞台にしたミステリー。マスコミとしてどこまで先入観なしに真実を伝えることが許されるかが命題。若手ディレクターが事件報道で活躍する前編を導入部に続き、恋人が過剰報道のため自殺したとする青年が引きこもりの若者…

フィラデルフィア美術館展

フレックッスで退社し、夕方東京都美術館へ。会期も残り少なく金曜日ということで混雑覚悟であったが案外空いていてゆっくり観賞できた。いきなりコローの人物画に圧倒される。大好きな印象派からキュビズム、エコールドパリと大家の作品がならび、非常に濃…

護憲派の一分

旧社会党党首土井たか子と評論家佐高信の共著になっているが、対談部分と「おたかさん」の自伝の部分が半分づつ。対談部分でも佐高氏は聞き役に廻り、女史の魅力と主張を引き出すことに徹している。土井さんは医者の娘、憲法学者から政治家へ転身するが、悲…

なぜ日本人は劣化したか

最近の日本社会の低迷は、個人レベルにとどまらず共同体としての社会の劣化=民度の低下にあるとする。前半は具体的に例をしめすことで理解しやすく共感できる。日本での劣化の原因は新自由主義経済がもたらした弱肉強食の「他者に厳しく自分に甘い」精神構…

天才セッター中田久美の頭脳

著者と中田女史の対談を中心に、バレーのゲームメーカーであるセッターの視点を通して競技の魅力にせまる。バレーに対しては素人同然のスポーツライターだが確実にポイントを押さえていく。セッターはアタッカー(彼女の場合は江上)に育てられ、また若手の…

下流社会

階級化が進む日本社会を、詳細な意識調査のデータを元に解析する。世代と階層を縦横軸にして主に数字に語らせる。データの量に圧倒されるが、それだけに説得力がある。問題は階層化が世代を超えて固定される機会不平等。食生活だけみると単身赴任者はどうや…