幼少の頃の発病で聴力を失った筆者。普通校では落ちこぼれ、本人は意識がないが不良、問題児に。高校は中退。アルバイトで接客のおもしろさを知り、やがて水商売に。巧みな筆談で評判になり、青森から上京、銀座で勤める。かなりはっきりした強い性格。両親…

著者は保険会社の人事部に所属。伝統的な日本企業の雇用、人事問題を解説する。典型的なタテ型のムラ社会であり、不文律と慣習が組織を支配している。個人のパフォーマンスより、和を尊びチームの構成員となることが重視される。出世の条件は上司の望む枠内…

歴史作家競作の第二弾は大阪冬の陣、夏の陣。それぞれ人物を取り上げそこに視点を据えて描く手法は前作に同じ。いずれも秀頼をひとかどの人物と定め、家康には時間が無くかなり無理をしたという説を取る。関ヶ原から比べていずれも代替わりしているところが…

２５年に及ぶポスターのコレクション。ロケハンから撮影、キャッチコピーまでプロデューサーが制作の裏話を簡潔につける。モデルの扱いは小さくあくまで主役は鉄道であり、旅である。特に近年はその傾向が強い。ポスターはいずれも秀作揃い。手元に置きたい…

人気時代作家によるオムニバス。各人がそれぞれ武将を担当。異なる視線から天下分け目の決戦を描く競作。従来に無い新しい解釈も披露され、。実力者揃いで筆も冴える。話題性は十分。期待に違わず楽しめた。決戦!関ヶ原作者: 葉室麟,冲方丁,伊東潤,上田秀人,…

日本を真の観光立国にするために解決すべき問題を列挙。東京オリンピックで盛り上がっているが、現状は独り善がりで訪問した外国人の評価は低い。フランスに代表される観光大国とは大差がある。アジアからの買い物客は増大しているが、経済効果を得るために…

伝説の戦場写真家キャパの足跡をたどる紀行文。キャパの代表作を手がかりに、撮影場所を著者が探し求め、同じ構図で写真を撮るという単純だが斬新な構成。すでに７０年前であり、地元の人でも判らない景色となっているあたりは時の流れを感じる。恋人を失い…

私小説。不倫小説である。大学教授である私は公開セミナーの聴講生である女性と深い仲になる。その証拠を妻に発見され別居生活に。二人の間を取り持ったのが愛犬のラブ。残念ながら老齢で病死。妻はたまらず保護犬から２頭目を受け入れる。この子は躾はでき…

副題は「教えてお仕事」。著者が様々な女性のプロにインタビューし、素人目線からその真髄を紹介する。靴職人から、研究者、現場監督、最後は編集者と幅広い。年齢の近い女性同士だけにだけに会話ははずみ、これは後付であろう適度なユーモアが文章にリズム…

著者は元シャープの液晶事業技師長。現在は立命館AUで技術経営専攻の教授。シャープの凋落の要因を自らの経験と経営学の視点から分析する。電卓の時代から技術先行で液晶の開発に成功。亀山工場での「すりあわせ」による垂直統合で成功を収める。さらに事業…

著者は岡山県真庭市で自然志向のパン屋を営む。天然菌と自然栽培の原料で評価の高いなパンを作る毎日。業容拡大のための利潤は追わず、自然の中での豊かな生活と子供達と後継者の育成に挑む。荒れていた若いときにマルクス経済学に学び、通過を基軸とした腐…

画商として波瀾万丈の画家を支えた著者が、放浪の生涯を綴る。ダンディでありながら意外と小心な性格が赤裸々に語られ微笑ましい。行く先々で人々に囲まれたのは決して偉ぶらない人柄によるものだろう。最後は躁鬱病がひどくなり、自ら命を絶つ結果となった…

最新のアニメ業界が舞台。ヒロインは３人。プロデューサー、監督、アニメーターの女性。共通するのはアニメが大好きで恋愛を含めた社会生活は二の次。作品の制作に没頭する余り、他を犠牲にして省みない。男性側は曲者揃い。彼らとの葛藤が一つのテーマとな…

江戸時代初期の東北の隣り合う小藩。山間の村落が突如怪物に襲われ全滅する。主人公はいわれのある双子の兄妹。謎が明かされていくと怪物は先祖の残した怨恨が作り上げた人造のもの。権勢拡張に利用しようとする兄と、それを止めようとする妹。尊い犠牲のも…

ＮＹ,ＭＯＭＡを舞台とした短編集。美術館で働く人々が主人公。モチーフは代表的な名画達。著者は元ＭＯＭＡに勤務していた経験があり、細部まで知り尽くした物語が展開される。美術に魅されれた人々の思いが伝わる秀作。期待通りの内容。モダン (文春e-book…

経済学の大家である教授が若手の女性とイノベーションについて対談する啓蒙書。身近な事例を引き合いにしてわかりやすく解説。前半の一般論の解説部分に比べて今後の対応に移った後半の息切れ感は否めないが、アメリカに比して人材と資金で劣位である日本企…

学園モノのラブコメ。新人女性教師と現役男子高校生が実は夫婦という設定。この二人を正義側とし、廃校し敷地を売却し利益を得ようとする理事長一派との勧善懲悪劇。スマホやLINEを武器に情報戦を仕掛ける。基本的には他愛ないエンタメ。著者もこんなの書く…

辛口コラム集。メルマガへの連載だけに遠慮がない。出版にあたり少しは気遣いをしたそうだ。政治、、外交、社会、マスコミと４章立て。特にマスコミの内部事情には手厳しい。繰り返されるのは過剰な犯罪者（容疑者）の人権保護と、朝日新聞の従軍慰安婦問題…

中堅住宅メーカーの買収劇。狙いをつけた大手自動車メーカー（トヨタ）が破壊工作員を送り込み、業績を悪化させさらに不祥事を連続させる。立ち向かうのは一度ラインから外れた社長と彼に抜擢された不遇の社員達。ある程度で結末（ハッピーエンド）は見える…