2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

修行論

長年合気道に勤しみ、大学では運動部顧問を勤める著者が、武道の修行とそこから見える宗教論にふれる。内容は各誌への寄稿の寄せ集め。特に合気道関連誌の部分は素人には理解しがたい論旨である。修行とは極言すれば平時に「自我」を規定する「額縁」を脱着…

ファミレス

料理で結ばれた中年3人組。それぞれ夫婦、家庭に問題をかかえる。教え子と料理教師を含めて計5組のカップルの危機。心のこもった料理が関係を解きほぐして行く。コミカル仕立てのほのぼの系は作者の得意とするところ。中年男性のこころにささる格好いい名…

55歳からのハローワーク

中編のフィクション集。書名の通りのテーマ。50代を超えた男女がそれぞれ人生の転機を迎え、自らの生き方を見直す。リストラやペットロスと厳しい環境の下で大切なのは、家族や人との繋がり、これを否定されると精神的に持たない。同年代として身につまさ…

先生

編者が呼びかけたエッセイ集。各界の有名人が思い出に残る『先生』をお題に寄稿する。教育関係者の比率が多いのは当然か。現代の教育問題が浮き彫りにされているようではあるが、正直全体に印象が薄い。こちらに書けと言われても思い浮かばないのであるが。…

本日はお日柄もよく

友人の結婚式で伝説のスピーチライターに衝撃を受け、弟子入り修行するヒロイン。幼馴染の衆議院出馬を受けて、その参謀となる。言葉の重みとまっすぐに真実を伝える大切さ。政権交代がなり、個人的にもハッピーエンドだが、モデルとなった民主党の没落を見…

三塁ベースコーチ攻める

日本プロ野球で12人しかいないベースコーチ。チーム内でその責任は重いが注目度は低い。周到な情報収集と瞬時の決断力が求められる。本書は歴代の名コーチにインタビューすることで重厚な仕上がりになっている。牧野、高代、森脇ら智将の名が上がる。プロ…

ノマドと社畜

現代の若者があこがれるノマドという新しい働き方。本来遊牧民という意味だが、組織に属さずネット上で個人の力で収入を得るスタイル。欧米特にイギリスでの実例を数多く見てきた著者は否定的で、成功のためには専門分野での高いスキルと実際の成果物で評価…

細野真宏の世界一わかりやすい投資講座

カリスマ予備校講師の投資入門書。株への長期投資を推奨。ますは配当性向と経常利益をチェックの上、使う指標はPBR,PERと極めて基本でオーソドックス。導入として株主優待も例示する。執筆時は日本の株価は異常に安値に放置されていたとする。論旨は明快平易…

里山資本主義

NHK広島で制作した経済ドキュメンタリー。過疎の進む中国山地で地元に根付いた新たな経済実験が行われている。目指すところは食料、エネルギーの自給自足。キーとなるのは製材所から出る木屑を利用したペレット燃料。オーストリアはこの部分でトップラン…

正義をふりかざす君へ

地方新聞記者から義父の経営するホテルに転身した主人公。食中毒で責任者が自殺する事件が起こり、内部情報をリークしたと疑われ職場を追われ、離婚した重い過去を背負う。7年ぶりに別れた妻への脅迫の調査依頼で帰郷するが周囲は冷たい。市長選挙の前哨戦…

初めてのルーブル

表題の通り、ガイドブック的な構成。必見の17作を取り上げ、解説と薀蓄をちりばめる。やはりルーブルは西洋絵画の宝庫であるとの認識を新たにする。自著の宣伝がくどく邪魔。はじめてのルーヴル作者: 中野京子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2013/07/05メデ…

月下上海

太平洋戦争中の上海が舞台。財閥令嬢で人気画家のヒロインと曲者の憲兵大尉が織りなす 愛憎劇。スパイ小説の香りはあるが、主題は主人公の過去の事件と中国大人との新たな恋。結末はやや物足りないが、周囲の人物像もよく描けている。清張賞受賞作。月下上海…

なぜタクシーは動かなくてもメーターが上がるのか

気鋭の交通経済学者が、交通の諸問題に経済学的な解析を一般人向けに平易に解説。表題の設問には機会費用を用い明快な回答を提示する。学者らしく用語の定義にこだわり、世にあふれる社会データの恣意性には注意を促す。総合的には経済学としてしごく当たり…

世界を変えた17の方程式

ピタゴラスからブラックーショールズまで、科学史上重要な方程式を紹介する。数式は最小にとどめ、その意義と社会へ与えた影響について解説する。それぞれ単独ではなく先人の成果を利用しており、過去の歴史を振り返れる構成になっている。残念ながらかろう…

坂の上の坂

リクルートから転じて公立中学の校長となった著者。5年ごとに見事な転身を成功させて来た自らを例に、読者に老後への準備を問いかける。キーワードは成熟社会と価値観の多様化。会社人間のままでは残りの人生は厳しいものになる。現役時代からコミュニティ…

竹中先生日本経済次はどうなりますか

安倍政権のブレーンでもある竹中平蔵と田原総一朗の対談。アベノミクスの目指すところを解説。批判の矢面にたたされた小泉政権時代。経済指標は着実に改善していたことをデータで示す。今も変わらず徹底した規制緩和論者であり、積極財政を支持。キーは3本…

モルフェウスの領域

難病を克服するため、未来の新薬に期待して人工凍眠に入った少年。5年の間に両親は離婚。子供の引き取りを拒否するという過酷な運命。覚醒時には厚生行政と官僚の利害という壁が立ちはだかる。5年間実質の保護者であった女性は、自らが新たに凍眠に入るこ…