2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

人類を救う哲学

両巨頭による対談。これが3作目だそうだ。両氏とも人類の行く末に大きな不安を抱いており次世代に警告を発する。進歩を前提としたアメリカ主導の現代文明はやがて崩壊すると予言。人類は仏教の教えにあるように足りたるを知り、成長第一主義から訣別するべ…

誰がオバマを大統領に選んだのか

予備選の段階から、オバマ大統領の誕生まで、各陣営とその支持層を解析する。イギリスよりの移民世代からアメリカの政治史を延々と解説されるが、素人には難解。相当歴史と政治に詳しくないと興味すら持てないのではないか。WASPとは白人、アングロサク…

はやぶさ

惑星探査衛星「はやぶさ」。小惑星「イトカワ」への着陸を成功する。本書はそのプロジェクトを描く科学ドキュメントであり糸川英雄博士による戦後の宇宙開発のモニュメントである。一般には日本の宇宙開発は米ソに比べて大きく遅れているように思われている…

夜回り先生

日本で一番危険な教師。水谷修。毎日授業を終えた後、横浜の街を夜回りし、さまざまな事情から、非行に走る少年少女たちと真正面に取り組む。多くの事例が紹介されるがほとんどに絡むのが暴力組織と薬物問題。そして背景は家庭問題。苦労の末やっと更正させ…

おかみさん

故林家三平師匠夫人の自叙伝。いきなり夫の浮気話から始まり驚かされる。疎開中に東京空襲で父母姉弟を失い、戦争孤児としての辛酸をなめた後、18歳で結婚。落語の世界で、妻、母、そして一門のおかみさんとしての一生を生粋の江戸っ子らしい歯切れのいい…

コンビニララバイ

連作集。個人経営のコンビニを舞台に、経営者、従業員、客達の人間模様を描く。経営者自身が子供と妻を交通事故で相次いで無くし、特に妻については遺書めいたメモもあって自責の念に捕らわれている。儲ける気持ちはさらさらなく、経営者としては失格である…

奇跡のリンゴ

無農薬、無肥料の自然農業でリンゴの栽培に成功した青森のリンゴ農家。NHK「プロフェッショナル」で茂木健一郎が伝えきれなかった部分をルポライターである著者に託した。周囲には「絶対不可能」「カマドケシ」と揶揄されながら、泥臭い執念で目標を達成…

ラーメン屋vs.マクドナルド

国際派エコノミストによる日米比較論。ステレオタイプではなく一段掘り下げた分析は説得力に富む。表題は画一的大量生産社会と職人技の多様性社会。根底には一神教とアニミズムの差がある。日本の未来に対する提言は今後のグローバル化、IT化社会では教育が…

恐慌第2波

現在世界を覆う不況について米、欧、新興国、日本と地域別に解説する。サブプライムローン発生のメカニズムについてはすでに多く論じられた通り。アメリカ中心かつドルを基軸通貨とする現在の世界経済は大きな変曲点を迎えている。来るべき「多極化の時代」…

螺鈿迷宮

医療ミステリーシリーズ3作目。麻雀の借金をかたに留年医学生がスパイとして送り込まれた桜宮病院。一族経営であるが、終末医療と検死医として大学病院の影の部分を担ってきた。新たな取り組みとして、入院患者自身がケア要員として働いていたのだが、次々…

スクールアタックシンドローム

中編が3作。近未来の社会での不条理な世界。親子、夫婦、恋人の不可思議な関係。背景には虐めや暴力が介在。決して読みにくくはなかったが、感性で書かれており共感するのは難しい。これも時代を映すと評するとありきたりか。スクールアタック・シンドロー…

男はなぜ急に女にフラれるのか。

男女の感情、思考回路の違いを脳科学をベースとした心療医療から解き明かす。実はこれは続編で前作がベストセラーになった。冗談めかして面白おかしく書かれてはいるが、納得できる部分は多い。人類が狩猟生活を送っていた原始時代にまでさかのぼり、生き残…

ビリーの挑戦

著者の主張する人間系ナレッジマネジメント実践の書。道東の営業所を舞台に新任のリーダーが所属員の意識改革により、売り上げ倍増を実現する。著者は旧日本ロッシュの営業マン。例示されるのはは医者相手で特殊ではあるが、部下育成の手法については一般性…

ストロベリーナイト

ノンキャリアからすぐれた直感力で本庁の警部補に抜擢させた美人女性刑事姫川玲子を主人公とするシリーズ第一作。驚くほどの出来であった。優れたプロファイリング力と、男勝りの行動力で厳しい警察組織内の競争に勝ち抜く玲子には、暴行された夏とその時に…

阿修羅展

金曜日の夜の延長開催狙い。人出は許容範囲だろう。十大弟子と八部衆が一同に展示されるのは初めてととのこと。天平の至宝を堪能させてもらった。普段ガラスケースの正面像のみしか観ることのできないこれらの仏像を360度周囲から鑑賞できる機会は有り難…

会社は毎日つぶれている

日商岩井の社長から、合併後の双日で不良資産の売却を断行した著者が現役社長へ心得をアドバイスする。トップにいるということはタイトル通り常にリスクを意識することであり、それだけで毎日がプレッシャーであるまさに常在戦場の精神。逆にトップは居心地…

博物館はマーケット

群馬県伊香保温泉で「おもちゃ人形自動車」博物館を経営する館長の自伝。私設ミュージアムとしては稀有な黒字経営を15年以上継続する。成功のキーはお客様目線でリピーターを増やすこと。観光地にありがちなハコモノ施設とはコンセプトが異なる。著者自身…

旅ステージ

旅行エッセイ。雑誌GREEN PALへの連載。日本各地を訪れているが、単純な旅行記でなく必ず人間ドラマを組み入れる。作者自身の生い立ちや遍歴に触れたものも多い。やや出来すぎで創作の嫌いもあるが、作品はシンプルな構成で文体は直球勝負である。挿絵の写真…

それでも世界一うまい米を作る

福島の「稲田米」を生産するグループを中心に日本の農業の現状をルポしたノンフィクション。元異端児の農協職員の強いリーダーシップの下に技術力を高めた独自の米作りの挑戦を続ける。日本の食糧自給率は40%を切る中、急速に豊かになり需要を増大させて…

グリーン革命

ベストセラー「フラット化する社会」の自作。副題はHot, Flat and Crowded。現代社会は急激な人口増加と新興国のミドル化により温暖化が加速されており、ただちに全世界をあげての対策を打たなければ人類の未来は望めないと警鐘を鳴らす。特にオバマ新政権に…