技術

ブレイク

地熱発電推進が主題の架空小説。日本は火山国で恵まれた環境にありながら地熱の有効利用は極めて低い。環境問題や温泉組合の反対が直接の原因だが、計画から10年以上を有するスケジュール。巨大な投資が遠因でもある。一方で原発の再稼働は難しく、化石燃料…

半導体ビジネスの覇者

TSMCの創業からファウンダリーとしての成功、今後の課題を描くビジネスルポ。最初は欧米から技術を導入し、天、地、人の利を活かして発展。創業者モリスの存在が大きい。TIに長く勤め、政府の要請で起業する。当初はフィリップスが出資。成長した時点で売却…

失敗する自由が超越を生む

量子コンピューターの第一人者である東大の古澤教授。その大胆な生き方を紹介する。研究は趣味で本職はウィンドサーフィンと豪語。学生には研究生活をゲームのように愉しめと導く。人生の転機にはかならず幸運が巡りくるがそれは実力がなせるわざだろう。組…

文字を超える

夫婦でジャストシステムを起業。夫人がプログラム、著者が営業と経営を担当。ワープロソフト一太郎で一世を風靡する。その後マイクロソフトのOS抱き合わせ戦略に押され、経営は苦しくなり、現在ではキーエンス参加。夫婦で新たにメタモジ社を起業、IPADベー…

超創造法

生成AIの現状と活用方法を解説する。現時点では使えるのは翻訳と要約。但しプロトコルにテクニックが必要。結果にはミスも多く信頼性は低い。AI側の創造性は期待できない。技術的な改良が進めば、大きく社会を変えることは間違いない。まずは教育システム。…

人類を変えた素晴らしき10の材料

材料工学エッセイ。専門用語はほとんど使わず、身の回りにあるものから重要な素材をピックアップし、その構造と発展を解説する。鋼鉄、紙、コンクリート、チョコレート、フォーム、プラスチック、ガラス、グラファイト(炭素)、磁器、インプラント(生体材…

土を育てる

著者はアメリカの農業経営者。リジェネラティブ農法を実践し大きな成果を上げる。不耕起、無農薬、無肥料。要は生態系の力を活用し、これまでの工業化された農業とは一線を画す。学界とも協力し、データに基づいた科学的なアプローチである。光合成された炭…

チャットGPTvs人類

何かと話題のチャットGPT,、生成AIに関するルポ。多数の記事やインタビューからの引用が多い。無敵の技術革新のように思われがちだが、未だ発展段階で功罪も多い。AI自身は判断機能を有しておらず、フェークを捏造、再生産する「幻覚」も例が多い。いずれに…

キーエンス解剖

超優良企業であるキーエンスの強さの秘密に迫る。直販による顧客に密着したコンサル営業とその情報共有。さらに即納体制で、ユーザーの心を鷲掴みにする。ある意味王道なのだが、仕組みづくりとそれを愚直に実行する力。社員には処遇で答えモチベーションを…

テクノロジーが予測する未来

ITの最先端を行く著者が予測する近未来。サブタイトルにあるようにWeb.3、メタバース、NFTがキーとなる。中でもWebはそのアーキテクチャーが大きく変わり、誰もが参加できる社会を導く。カギとなるのはDAO。企業や政府も参加型に変えていく可能性が高い。日…

世界を変える寄り道

ポケモンGOで世界を変えたナイアンティック社。グーグル発のスタートアップだが、そのコンセプトは位置情報を活かしたゲームで人をリアルな世界に出そうというもの。人間の健康と新たな繋がりを目指すミッション。ちなみにピグミンも同社の手による。著者は…

やらかした時にどうするか

失敗学の大家が、長年の研究の成果を学生向けにやさしく解説する。失敗と創造は背中合わせの関係で、決して恐れることなく貴重な体験知とすること。逆算の原因解明プロセスが創造的思考に通じる。自らの失敗も実例を挙げて説明。思いつきノートや思考展開図…

パンデミックなき未来へ僕たちにできること

自らの財団を通じて、長年保健医療に貢献してきた著者が、コロナとの闘いを評価、解析する。満点ではないが、短期間でワクチンの開発ができ、一定規模で押さえこめたことは一定の評価。国ごとの格差の問題は大きく、死者は貧しい国々に集中している。今回学…

2040年の未来予測

タイトル通り、20年先の未来を予測する。著者はテクノロジーの信奉者で明るい未来を予測してきた。5G,6Gにより完全なIT,自動化社会が到来し、生活は一変する。日本は高齢少子化で衰退モードが避けられない。さらに温暖化による災害の発生は予測しようがない…

考えて生きる

連載のシリーズ対談。時事問題を中心に二人が自由に語る。歯に衣を着せぬ物言いで、話題が脱線することもしばしばであるが、二人とも何事にも好奇心旺盛に知的な情報収集をしていることはよくわかる。目新しいのは核融合技術の実現と次世代自民党議員のクオ…

世界史は化学でできている

表題通り、人類の歴史を化学の発展の面から振り返る。各分野毎に時代を追う形になっており、火の発見から、食料、染料、エネルギー、原子力まで網羅。長い歴史に比べれば、プラは最近のことであることがわかる。進歩に貢献する光の部分と軍事や環境破壊とい…

豊田章男の覚悟

巨大企業トヨタを率いるトップの実像に迫る。リーマンショックとリコール騒動を果敢に矢面に立ち乗り切り、カリスマ性を高める。EVと水素の二本立てで将来に備える。日本の電力事情からすると、水素の線も捨てきれない。自らマウタードライバーとしてレース…

東大生も学ぶAI経営の教科書

AI経営導入の指南書。ほとんどの日本企業が必要を感じながらも対応は立ち遅れている。当社もしかり。必要なのはグランドデザイン=ロードマップ。エクスペリエンスがベースだが具体的に何を目指すのかを見極める必要がある。トップダウンの強い方針明示も必…

この国の危機管理失敗の本質

東日本大震災、福島原発事故、コロナ禍と続く大規模危機。日本政府の対応は後手後手で大戦中と基本的に変わっていない。特に震災、津波については学術的に予見されていただけに無策が惜しまれる。経済優先と前例主義が障壁となる。水俣病対策が悪例として何…

こんなに変わった理科教科書

戦後の小中学校における理科教育の変遷。学習指導要領に振り回され10年ごとに大方針が変わる。大きく言えばゆとり教育とその揺れ戻し。技術立国の礎となる部分だけに、大きく揺るがぬ幹が必要。子供は興味を持てば率先して学ぶ。受験用ではなく考え、探求…

メタバースとは何か

近づきつつあるメタバースの世界。GAFAMが主導するであろう技術論は最小限にとどめ、その社会的な影響に論点をあてる。問題となるのはリアルとの融合。SNSですでに傾向が見られるように、心地よい世界に浸る人々が出てくる。繰り返されるのはフィルターバブ…

原発事故最悪のシナリオ

福島第一の事故のノンフィクション。NHK-Eテレ特集の取材記。事故発生から日本政府のシナリオ作成まで2週間を要し、しかも公表されなかった顛末を探る。一方でアメリカ側は原発事故の連鎖を想定し、最悪の事態に備えた。パニックを避ける目的は理解される…

大河への道

伊能忠敬を題材にした歴史小説。地元香取市が大河ドラマの誘致を目論むプロジェクト。調査するうちに忠敬の逝去とその公表さらに地図の完成時期との差に気づく。幕閣の反対を恐れた天文方が死去を隠したのではないかとの推測。大事業を完遂したいという関係…

日本の美意識で世界初に挑む

著者は西陣織老舗の12代目。衰退産業の再生のために海外進出。従来の着物の枠にとらわれず、美術工芸品として一流ブランドに認められる。京都の伝統工業でネットワークを形成。先端技術を含めた新たなコラボで世界に価値を問う。繰り返されるのは妄想をイ…

未来は予測するものではなく創造するものである

SF作家とコンサルの2足の草鞋をはく著者によるSFプロトタイピングの解説書。最近はやりで企業による導入事例も多い。強調されるのは延長線上の未来ではなく、妄想による想像で未来を創造すること。過去のSFアニメが現実となりつつある。最終章に実例で作品…

シンニホン

日本の近未来を予測し、戦略を提案する。AIとビックデータの波に乗り遅れた日本であるが、社会実装のフェーズ2&3では大きなチャンスがある。そのためには人材の育成が急務。疲弊した大学や研究機関への投資を促す。後半はSDGSから「風の谷」創世を提案。技…

火星に住むつもりです

著者は現役の東大生。自ら財団法人を主導し温暖化対策に取り組む。CO2を吸収する装置を発明。普及と啓蒙を図る。本書は温暖化問題とその対策としてのCO2の有効利用をやさしく解説。祖父や母親への感謝も忘れない。内容はともかくこういう若者が日本で活躍し…

地球の未来のために僕が決断したこと

言わずと知れた大物が、地球温暖化対策を解説し、提言する。技術屋らしく原因の分析から入り、必要な要素技術とその関連、活用まで言及。経営者として経済的な数値も詳しく示す。最終的には政治の調整力が必要だが、その部分は踏み込めず理想論。長年貧困対…

ふくしま原発作業員日誌

原発事故から10年。現場で戦った作業員たちの記録。報道管制が厳しい中、丹念な取材で人間関係を構築。それぞれの思いと現場の理不尽さを描く。彼らを支えるのは郷土愛と使命感。厳しい労働環境と被爆の恐怖の中での奮闘には頭が下がる。もちろん危険手当…

変化の時を生き抜く

富士ソフト創業者野澤宏の伝記。大学卒業後、専門学校の講師を経て、教え子と自宅で創業。独立系ソフトベンダーとして一代で巨大企業を築く。強みはランプサムでの受注とハードへの組み込み技術。時代の追い風もあるが、積極的な経営は見事。勝負は人材と新…