2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

武人の本懐

著者は震災発生時。横須賀地方総監(司令官)。そのまま救援部隊の司令官となる。当時のメモをベースに本書をまとめる。あまり知られていないが海上自衛隊も全力を挙げて、救援、物資の輸送に携わった。福島原発では巨大パージを送り込むオペレーションアク…

スコールの夜

主人公は東大卒、大手銀行の総合職一期生。離婚歴あり。関連事業室長として、不調の子会社のリストラを担当する。ご多分にもれず組織の理論や派閥争いに巻き込まれ、身を削るような苦闘が続く。因縁あるエリート企業弁護士がカンボジアの地雷除去NGOで見…

線路はつながった

現役の三陸鉄道社員が書いた復興の記録。甚大な被害を受けながら3年の歳月を掛け、全線復旧にこぎ着ける。被害の少ない部分から即座に運転を再開し、第3セクターとして地域の信頼を得たこと、復興のシンボルとなったことが大きい。経営陣と社員の危機対応…

中国停滞の核心

著者は経産省出身の中国ウオッチャー。経済が専門でありかって自ら予測した中国台頭の終演を予測する。GDPでアメリカを超える可能性は無くなったと断言。習近平は権力を掌握したが、経済の閉塞感から待った無しの改革を迫られており、三中全会で保守派に気遣…

世界を動かすプレゼン力

著者は東京五輪招致の成功に貢献したコンサル。ロンドン、リオと連勝。全体の構成、人選からそれぞれの主張すべき役割まで明確に規定する。勝因はいかに受け手のIOC委員が聞きたいポイントを協調できるか。今回は開催にあたっての運営力、資金力がモノを…

そして星の輝く夜が来る

神戸から東北の被災地へ派遣された中年の小学校教師が主人公。自身妻子を亡くした悲しみを持つが、我慢を強いられている子供達をあおり、不満を口にさせることから指導をスタートする。当然軋轢を呼ぶが熱意と周りのサポートで輪を広げていく。何より強調さ…

神様のケーキを頬ばるまで

錦糸町の雑居ビルが舞台の連作集。それぞれ事情を抱えた住人達が小規模なビジネスを営む。彼らにとってそれぞれ頭の痛い問題が描かれる。大きな展開はないが各編のラストではで救いが示唆されほっとさせられる。新聞の書評で知った。読みやすいがすこし浅め…

恋都の狐さん

恋愛メルヘン。女子大生のヒロインは東大寺の節分で知り合った謎の狐面の男に振りまわされる。次第に恋に落ち、ハッピーエンドかと思えたが、長年彼を支えた年上の美女に譲り初失恋。奈良の風情と行事を舞台に親しみは覚えるものの、プロットはやや平凡。大…

コンニャク屋漂流記

著者の実家のルーツを探るノンフィクション。外房で「コンニャク屋」の屋号を持つ漁師の一家。江戸時代の初め、紀伊半島から移り住んだらしい。当時江戸での肥料需要を見込んで漁業の先進地域であった近畿から鰯を追って多数の漁民が東に出稼ぎに出たという…

あなたへ

震災救援のため全国から派遣された警察官の手記を集める。悲惨な被害に打ちのめされ、自身も不安をかかえて現地に赴く真情が切々と語られる。任務は主として遺体の検視と遺族対応。華々しい表舞台でなく地道な活動。悲痛な慟哭が響く現場で、圧倒的な数の遺…

鉄童の旅

目の前の人身事故で両親を亡くした5歳の少年。記憶喪失に陥り鉄童としての旅が始まる。古き良き時代の国鉄職員に育てられるが、やがて養護施設で成人。鉄道検査技師となる。ふとした縁で手伝った雑誌の投稿テープから自らの過去を知る。愛する妻と生まれて…

武士の献立

加賀藩が舞台。代々続く前田家料理番武家の跡取りと町人娘のアンバランスな夫婦。包丁侍とバカにされる夫は家業を馬鹿にし得意の剣術で藩政改革に与しようとする。最後はお家騒動に巻き込まれながらも、妻の必死の努力と行動ですんでのところで事なきを得、…

サイバラの部屋

対談集。学者から作家、女優、漫画家まで幅広い相手と対談。重複する部分はあるもののいつもの西原節は衰え知らず。一部に重複する部分があるのは仕方ないところ。サイバラの部屋 (新潮文庫)作者: 西原理恵子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/12/24メデ…

コラプティオ

震災後の日本に現れた救世主のカリスマ総理。多弁な演説と実行力で国民の圧倒的な支持を勝ち取る。日本経済再興のため原発輸出のタブーに挑戦する。しかししだいに権力の魔力に魅せられ独裁者の道を歩もうとする。政策スタッフとして支える政治学者とその同…

ゆかいな仏教

対談により仏教の成り立ちを解明しようとする。先著のキリスト教に続くシリーズだが出版元は仏教系。一神教と違い人間が悟りを開き仏陀となることを目的とする。仏教が政治と結びつかず、一定の勢力を得たのは合理性があったからとする。現代日本を考えると…

三谷幸喜創作を語る

全編インタビューで構成。脚本、演劇、映画と絶好調の三谷氏の制作手法や哲学に迫る。基本的には理数系で職人肌。「新撰組」ではタイムフレームを決め、それぞれ個人の動きや感情をプロットして行ったとのこと。近年映画がヒットし絶好調ではあるが、新しい…

オービタルクラウド

近未来SFミステリー。衛生軌道で観察された不自然な動き。実は北朝鮮をバックとする新たなテロだった。いち早く気づいた日本のアマチュアが巨大な陰謀に立ち向かう。オリジナルの開発者やCIAを巻き込み、解決まで重層なジェットコースター小説となる。背景に…

団塊の秋

団塊の世代の産みの親である著者が、同世代の近未来を描く。卒業前に北米旅行をした7人の男女エリートが、これまで来し方と今後の問題を語る。共通するのは高度成長に乗った若い時代と、失われた20年に翻弄された熟年期。正しいと信じて邁進してきたこと…

アップル、グーグルが自動車業界を乗っ取る日

キャッチーなタイトルだが、最新の自動車業界の動向を細かくルポ。円安で一息ついた日本の基幹産業だが、市場と生産場所は海外へ流出が続き安閑としてはいられない。EVの陰に隠れて車のIT化が進む。キーワードはTelematics=Telecomunication&Informatics…