鉄道、航空

清張鉄道1万3500キロ

松本清張の全作品を精査。登場人物が乗った鉄道を記録し、机上の白地図で乗りつぶしを楽しむ。自らに課した判定ルールはかなり厳しい。戦後すぐ国鉄がまだ大動脈だった時代から、新幹線の開通まで、旅情あふれる清張の文章が引用される。一方で作品の粗筋も…

旅がグンと楽になる7つの極意

最新の海外旅テクニック。ネットやスマホは積極的に利用。判断基準は楽になるかどうか。旅の本質には影響を与えない。伝説のバックパッカーもシニア層となり、スタイルは時代と自らの年齢に合わせているとのこと。文章は変わらず巧みで、こちらの旅心をくす…

海の見える無人駅

最初に定義は、駅のホームから海が望め、かつ無人駅であること。当然地方のローカル線が主となり、廃線、廃駅の危機が迫るケースが多い。駅からの眺望や設備だけでは、ネタが足らず、周辺を巡ることになる。得意とするのは無人島の探訪。さらに文学や戦跡、…

夜ふかしするほど面白い月の話

月に関する雑学本。一般人の素朴な疑問に対する回答の形式。ほとんど既知の天文学の基礎だが、知らない最新情報も多少はある。ある意味これだけ大きな衛星を従えているのはレアなケース。今後は資源探索が期待されるがコストは膨大なようだ。まずは予想通り…

線路つまみ食い散歩

鉄道つたい歩きの第2段。ローカル線に沿ってブラブラ歩く。下調べは無し、現地でもGPSは極力使わず、偶然の出会いを大切にする。ローカルな食堂でのB級グルメにビール。のんびり旅情をかき立てる。鉄道の脇を歩くのは意外と難しい。明らかにされるのは地方…

妙な線路大研究

東海道、山陽新幹線に焦点をあて、その経路選定の経緯や理由を探る。ベースとなるのはよく知られたように戦前の弾丸列車計画。スピード優先の直線から、変更を余儀なくされた様々な理由。地盤や駅へのアクセス。地下水への影響に及ぶまで様々。意外なことに…

ロストトレイン

廃線ミステリー。若いカップルが行先不明となった初老の鉄道ファンを探す。戦中に短期間営業した、軽便鉄道の廃線跡がキー。これを全線踏破した者には異世界への入口が開かれるというファンタジー設定。本物の鉄道ファンからは全く評価されないだろうが、ミ…

鉄の楽園

東南アジアの新興国を舞台にした高速鉄道売り込み合戦。中国との出来レースが濃厚だったが、汚職撲滅を掲げる新政権が成立。日本と同国の鉄ちゃんの連携で白紙撤回。リゾートトレインを中心とする観光事業に舵を切る。経産省と総合商社のタッグ。売り切りで…

命のクルーズ

コロナ禍初期。多数の感染者が発生したダイヤモンドプリンセス。その支援にあたった医療従事者たちのノンフィクション。首相の鶴の一声で災害派遣チームが急遽対応にあたる。感染症の専門ではなく、高齢者や外国人クルーが多く、統制の取れない負け戦。圧倒…

クロカネの道

日本鉄道の父、井上勝の生涯を描く歴史小説。長州ファイブの1員として密航留学。ロンドン大学で工学を学ぶ。伊藤博文や井上馨が政局で帰国したのに反して、学業を修めてからの帰朝。信念は鉄道が日本の国家を統一し、発展を促す。猪突猛進型の性格で衝突は…

スーツの選んだ鉄道百景

鉄道ユーチューバーである著者の、口述、映像をベースに編集部が文書化。北から南まで日本全国の鉄道百景を選定。全体に東側にに集中しているように思える。乗り鉄としては基本的な有名どころは網羅。知らないところは多い。旅心をくすぐられる。 新たに選ん…

大相撲と鉄道

著者は現役の行司。部屋に所属し何かと役務が命じられる。長年交通係を担当。大人数での移動を差配統括する。貸し切り団体列車は一部のみ残り、現在は新幹線とバスが主流。一般客に交じって移動する。独特の階級社会だけあって面白いエピソードには事欠かな…

地中の星

戦前、東京に地下鉄を走らせた男たちの物語。地下鉄の父と呼ばれた早川徳次。浅草ー上野をまず開業し、銀座、新橋を目指す。経営は苦しく常に金策に苦労する。もう一人は五島慶太、2番手としてノウハウを引き継ぐ。結局国策として大合同がなり、現在の銀座線…

シークレットエクスプレス

ジェットコースター小説。青森から佐賀までの緊急貨物輸送。自衛隊の訓練を偽装しているが、実は原発の廃棄燃料輸送。不祥事から表に出せない裏事情。JR貨物の運転士出身のプロが主役。新聞社の女性記者と原発反対派が列車を追う。最後は小泉首相がモデルの…

鉄道無常

自身鉄道女子の著者が、鉄道紀行の先達である2大巨頭、内田百聞と宮脇俊三にささげるオマージュ。それぞれの代表作から引用し、時代背景と鉄道愛を新たな視点も組み入れ紹介する。共通するのは厳しい戦争体験。内田氏はそこからの復興、宮脇氏は斜陽化して…

幻想列車

メルヘン小説。上野駅18番線を発射する旧型列車は、乗客の記憶を無くす効果を持つ。結果を先にシュミレーションし本人に見せるサービス付き。4編に描かれたケース。徐々にテーマは重くなる。いずれも現実に向き直る覚悟を決め、記憶操作は最小限にとどめ…

関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか

タイトル通りの内容。創業者である小林逸翁からの伝統である、その顧客第一主義とブランド志向を解説。阪神との競合、京阪との融合分離と企業としての生々しい歴史も描かれる。ファンによる推しの部分と鉄道ジャーナリストとしての分析が入り混じる。期待通…

地下鉄の駅はものすごい

マニア向けの一冊。東京の地下鉄路線と駅を網羅。それぞれの歴史と特色を紹介する。工法や設計など知らない事実が多い。路線の建設時期により、意味づけは変わる。昭和初期からの交通事情の変遷は興味深い。古い路線も近年はリニューアルが進む。読む側とし…

はやぶさ2最強ミッションの真実

はやぶさ2のプロマネ自ら、10年にわたるミッションのすべてを語る。初代に比べて非常にスムースに思えるが、立ちはだかるのは小惑星リュウグウの厳しい地形。先端技術と柔軟な対応で、高精度のタッチダウンを2度成功させる。宇宙研と民間企業からなるプ…

東京発半日徒歩旅行

タイトル通り、首都圏軽めのお出かけ案内。実際に著者の体験による。意外と範囲は広く、首都圏3県から山梨まで浸食。徒歩は2-3時間だが、アクセスにそれ以上かかる計算。結局は1日仕事になる。内容は簡潔で文章も巧み。旅心をくすぐられるのは確か。地…

トラックドライバーにも言わせて

日本の物流を担うトラック輸送。元女性ドライバーの著者がその実情を解説する。一見マナーが悪く、さまざまな問題を起こしているが、そこにはドライバーたちの止むにやまれぬ事情が存在する。圧倒的に強い立場の荷主は、定時配達に加え荷役作業も強要する。…

地図帳の深読み

地図マニアの著者が、戦前から最新の地図帳を参照し、日本及び世界の社会の動きを洞察する。高校生用のカラー版の地図が掲載され、なかなか愉しい一冊。地図は時代を反映し、多くの情報を与えてくれる。平成の大合併により歴史ある地名が消失したことは極め…

阪堺電車177号の追憶

阪堺電車の最古車両である177号を舞台に展開される人間ドラマ。戦前から戦中、戦後の高度成長、バブル崩壊を超えて現在まで物語を紡ぐ。連作の形をとり、独立した各編が実は伏線になる構成。秀作だが後半少し無理があるかな。まあ楽しめた。 阪堺電車177…

翼を下さい

開戦直前、初の世界一周を果たした「ニッポン号」の物語。毎日新聞社の出資であるが機体は96陸攻。そこにアメリカ人の前年に太平洋上で失踪した女性パイロットが乗り込んでいたというフィクション。実際に失踪事件は米軍によるスパイ容疑もあったとの種本…

あぽやん3

シリーズ第3弾。モデルとなるJALの破綻を境に、現場の変革が進められ、労働強化が図られる。中間管理職として狭間のあぽやんは鬱を発症し出社できなくなる。顧客本位の仲間たちの精神はそのまま、ラストは老夫婦手助けすることで何とか復帰を果たす。出張所…

あなたの知らない大阪「駅」の謎

駅にスポットをあてた鉄道もの。大阪府内の面白駅を紹介する。駅名一つに私鉄の変遷の歴史が反映されて興味深い。地図を見ながら追っかけるのは楽しい。軽めの読み物。繋ぎの域を出ない。 あなたの知らない大阪「駅」の謎 (新書y) 作者: 米屋こうじ 出版社/…

列車ダイヤはこう進化を遂げた

長年国鉄でダイヤ作成に携わった著者が、基礎から解説する。ダイヤは鉄道運行のすべての基本であり、技術の進化とともに改善されてきた。驚かされるのはその飽くなきスピードアップへの挑戦の歴史である。あわせて乗客から見て便利で使いやすいことにも配慮…

駅格差

沿線格差の第2段。首都圏の駅をルポし、その実態と評価をまとめる。前段はさまざまな駅ランキング。後段はライバル駅対決。ここはあまり縁がないこともあり退屈。まあ交通情報本としての位置づけ。上中里、西ヶ原ともにマイナー側のネタとして挙げられてい…

鉄子の旅写真日記

表題通りの写真エッセイ。乗り鉄の著者が、ある日カメラに目覚め、旅先で写真にはまっていく。旅先でのやさしい風景や大好きな猫たちに癒される。文章も女性らしく心情にストレート。つなぎの一冊だが素直に楽しめた。鉄子の旅写真日記作者: 矢野直美出版社/…

青春18キップポスター紀行

25年に及ぶポスターのコレクション。ロケハンから撮影、キャッチコピーまでプロデューサーが制作の裏話を簡潔につける。モデルの扱いは小さくあくまで主役は鉄道であり、旅である。特に近年はその傾向が強い。ポスターはいずれも秀作揃い。手元に置きたい…