2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

男と女のワイン術

共著の形を取るが、大半はワインビストロ「たるたる」のオーナーシェフである伊藤氏の著作。ワイン選びの基本をわかりやすく解説。白はマコンのシャブリを、赤はボルドーのメルローを基準に据え、そこからの差分で選択幅を広げていく。実践的な手法である。…

裏が幸せ

日本海側探訪記。最近裏日本は差別語なのか使わなくなったが、あえて裏表を比較しその魅力に迫る。PR下手だが空気と景色が美しく、居心地が良くて人々は幸せそうに暮らす。本書では作者の目を通じて上質で滋味豊かな裏の幸せを堪能出来る。金沢の3文人に…

テレサ・テンが見た夢 趣味は何ですか 僕はミドリムシで世界を救う

リーダーシップの名著を読む

欧米ののビジネス書より選りすぐりのリーダーシップ論のエッセンスをアナリストが解説する。現在の日本企業でのケーススタディを例に判りやすく解説するが、よく知られている内容であまりサプライズは無い。お勉強にはなる。原書を読む時間が無い身には助か…

魔法をかける

青学を箱根駅伝制覇に導いた監督の回顧録。現役時代は不遇で、中国電力では指導者と対立陸上部から退部を余儀なくされる。お荷物扱いとなった営業部で一念発起、トップの成績を上げる。退路を断って挑んだ監督業では、苦労するが選手の自主性を重んじ、営業…

マクドナルド失敗の本質

藤田田から原田泳幸と著名な経営者に恵まれながら、低迷を続ける日本マクドナルド。経営学による分析でその真因に迫る。BSEや中国原材料の問題はあるものの、結論は本来の強みであるQSC+Vをおざなりにし、短期の利益を追い求めた結果であるとする。…

ぼくらの民主主義なんだぜ

朝日新聞に連載の論壇時評。2011-4から2015-3月までを掲載。震災、原発、慰安婦、格差と重いテーマが続く。オピニオン誌やネットでの論説から引用。自らの意見を加えて構成。どちらかと言えば左よりの理想主義だが、人類が獲得した民主主義を大切な拠り所に…

稲盛流コンパ

経営の神様である稲森氏の人心掌握術。ここでいうコンパは単なる飲み会ではなく、議論と研鑽の場。全員参加を原則とし、席順と時間割をしっかり決めてオーガナイズする。京セラの事例は少なく、大部分が塾生達の中小企業での実践例。当然成功事例であるが、…

止まった時計

オウム事件当時11歳だった麻原彰晃の三女の告白本。幼い時から教祖である父親を慕い敬愛する。カリスマ父親の逮捕後、組織は分裂と迷走を繰り返し、家族もばらばらとなる。権力を維持したい幹部に振り回された格好。著者は苦労して社会復帰、大学で社会心…

日本の運命について語ろう。

講演集。これまでの作品の取材記をベースに近代の歴史についてわかりやすく解説する。人類は時代と共に進化だけではなく変容、特に退化するとの歴史観。語り手としては超一流だが、タイトルから期待した現代社会への提案はあまり見受けられない。 日本とアメ…

経営重心

製品の固有周期と固有桁数ボリューム(販売個数の対数)の2軸で新たな概念である経営重心を導入する。そのドメインからぶれなければ経営は安定。また新事業への展開も比較的容易。逆にずらす場合はリスクが高い。長年アナリストとして業界をウォッチしてき…

そらそうよ

阪神、オリックスで選手と監督の両方を勤めた経験をまとめた一冊。監督時代のチーム成績としては阪神では優勝を含め良好であったが、オリックスではふるわず最後は解雇。その差は現場とフロントの一体感にあるとする。野村、星野の改革で阪神の体質は改善さ…

デジデリオラビリンス

著者は雑誌の取材で出会った霊能者から、ルネッサンス期のイタリア人彫刻家の生まれ変わりであると宣される。そこから文献調査、さらに現地探訪と中世へのミステリアスな旅が始まる。断片的な情報がどんどんと繋がり、予言の正しさが次第に証明される。最後…

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

若者への人生指南書。勝間氏に代表される自己啓発イデオロギーに反発。現代の格差社会は2割のクリエイティブクラスと8割の貧困層に分離していく。一般人が生き残るには旧態依然とした伽藍を出て、ロングテールのネット社会(バザール)で働き場を見つける…

あと少し、もう少し

中学の駅伝大会が舞台。弱小陸上部は走れる長距離選手が3人。責任感の強い部長が学校中から選手をかき集め、6人で出場。物語は区間に合わせてそれぞれのランナーが自分の事情とレースの展開を語る。中学生という不安な時期に家庭の事情や自分の思いを胸に…

ビジネスマンのための幸福論

元エリート銀行員である著者が、題名の通り真正面から重いテーマに挑む。厳しい銀行での競争を人事部の立場から率直に語る。総会屋事件等で本領発揮するが退職し作家業へ転身。命題の結論から言えば、いかに組織の中に自分の存在価値を見出すか。地位でも金…

利休の闇

数多くの作家が取り上げるテーマである秀吉と利休。出会いから蜜月、対立への流れを茶会記の史料をもとに大胆に描く。根本は芸術感、美学の違い。秀吉は芸術にも造詣の深い人物として描かれる。謎の真相は本能寺の真相だがここは著者の一連の作品を読んでな…

レオナルドの扉

ダヴィンチの遺稿を巡るミステリー。イタリアを彷徨う時計職人の老人と孫が実は稀代の天才の子孫という設定。ナポレオン軍とヴァチカンが軍事技術を求めて争う。遺稿を見つけるまでの前半は良いが、見つけてそれを実機に落とす後半は荒唐無稽が過ぎて興味半…

ブックのいた街

商店街の犬として飼われているアイリッシュセッターのブックが主人公。特定の飼い主はおらず、いつもセルフ散歩。とても賢く犬の喧嘩を仲裁し、人との関係を取り持つ。住民達の恋愛や家族の問題が連作の形で紡がれる。やがて老い死を迎える中で、ブックの過…

50代から始める知的生産術

齢90歳の著者が「人生二毛作」論を力強く展開する。人類史上初めてサラリーマンが第二の人生を送る時代がやってきた。その準備を50歳から始める必要がある。蓄財と交遊。過去には囚われずあらたにリセットすべし。いくつになってもポジティブな生き方に…

ベンツ

大分高崎山の伝説のボス猿ベンツに焦点をあてる。サルは女系家族で乱交するので父親は特定できない。B群の有力勢力の若手としてボスとなるが、雌を求めてその後C群に移り、21年かけてボスの座に上り詰める。波乱の一生だが主題はむしろ人と野生猿の関係…