2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

わが心のジェニファー

典型的なアメリカ人が、恋人の愛する日本を一人で訪問する。IT機器はあえて持たず、2冊のガイドブックを頼りに各地を訪ねあるく。報告は手紙というアナログな旅。各地で様々な人間と巡り合いながら、自分の立ち位置を見つけていく。前半はたっぷり笑わせ、…

左遷論

左遷をキーワードに現代日本での会社組織の問題点を論じる。人事サイドは適材適所を目標とするが、ピラミッドからあぶれた人材の行き場所は、本人に取って左遷と映るのは致し方ないところ。同期横並びからの選抜方式は、低成長時代にはそぐわず、疲労破壊し…

峠うどん物語

舞台は市営斎場の目の前にあるうどんや。職人肌の夫ときっぷのいい妻が老夫婦が営む。葬儀の終わった一元の客が飲み食いして俗界に戻っていく。語り手は女子中学生の孫。さまざまな人々の死と別れをみつめることで、人間として成長していく姿を描く。全10…

かのこちゃんとマドレーヌ夫人

小学校に入学したばかりのかのこちゃんと飼い猫と飼い犬の物語。実は2匹は夫婦であるが、老犬は死を目前としている。猫はなぜか猫又になり、人間に乗り移り夫と飼い主のために必死の活躍をする。指しゃぶりしていた少女が、学校で友達を作り、別れ成長して…

仁義なき宅配

日本の物流に大きな影響をもつ宅配便につきレポート。ヤマト、佐川の2強にJPが追いすがる構造。Amazonに代表されるBtoCで物量は増えているが、価格競争が厳しく構造問題をかかえる。路線便や配送トラックに同乗。最後は鳴り物入りのヤマトのクロノゲートに…

自動車を生んだ化学の歴史

自動車の発達史に則して近代化学の歴史を平易に解説する。ボイルシャルルの蒸気機関から、ラグランジェの燃焼理論による内燃機関。有機化学の解明により石油化学への展開。電気化学から電池、発電と章立て。化学の基礎となる法則の発見にまつわるエピソード…

敗者の条件

西洋史が専門の著者が日本の戦国時代に焦点をあてる。欧州のルネッサンスと比較しながら激動の勃興期を振り返る。根底には戦後の自虐史観への批判と自らの戦争体験がある。史実には新たな発見はなく教科書通りであるが、武将個人の内面に踏み込んだ視点は新…

負け猫のしあわせ

失業し妻子に見捨てられた私が、ブログを通してしりあった女性に救われ、愛し合うようになるまでの物語。互いにつくしあい信頼関係を高めていく。それぞれの親族に問題があることもより二人の絆を強めていった。経歴をみると完全に著者本人がモデルの私小説…

幸いは降る星のごとく

売れない女芸人たちが主人公。あまり積極的な動機ではなく芸能界に入った同級生コンビ。不思議な時代の流れに押されて一定の地位を確保していく。同性、同年代にその「ひがみ」が支持されていくという結論。現代を生きる一女性として主人公の私生活や思いが…

ウィメンズマラソン

オリンピックの代表を賭けたアスリートの争い。主人公は名伯楽に指導され、一旦代表の座をつかむが妊娠が発覚しすべてを失う。物語は子育てしながら再起をかける姿を描く。世間の批判やマスコミのバッシングの中、コーチと実母の協力があり、ライバル達と最…

仕事に効く教養としての世界史

歴史好き経営者を自称する著者が、口述でまとめた1冊。勝者である西欧史観のくびきから離れ、独自の史観を展開する。古来文明は中国、ペルシャを中心とする東が進み、西は後進国であった。ヨーロッパの王朝変遷と、トルコを中心とする中東に頁を割くがこの…

君に成功を贈る

講演集。90歳をこえなお精力的な導師が人としての生き方を説く。宗教性は薄く実践的な手法。松下幸之助を始め著名な経営者が信奉したのはうなづける。精神論が大半でいかに心の持ち方が重要かが繰り返し述べられる。絶え間ぬ努力も重要。天風先生は軍事探…

素敵な選TAXI

タイムトラベルで過去に戻れるタクシー運転手が主人公。気弱で優柔不断な性格。様々な客がお金を払い1時間ほどの分岐点に戻り、リトライを数度繰り返すコメディー。期待に違わずしっかり笑わせる。脚本をノベライズ。楽しめた一冊。([は]5-2)小説 素敵な選TA…

大人はどうして働くの

各界の識者が仕事の意義について子供に回答する形式。後半は同じ内容を大人向けに繰り返す。共通するのは社会への貢献とそれによる達成感。若い打ちは何事にもチャレンジに貪欲に知識を吸収すべしとする。見習いたいのは幾つになっても努力を続けていること…

東京ドーン

短編連作集。東京に住む男女が、仕事や就活それに恋愛に苦戦する姿を描く。現代社会のゆがみが背景となっている。それぞれ別個の物語でありながら、ラストで全員が集合し連作であったことが思い起こされる。単篇では少しづつ救いの光明が与えられる。各編一…

日本を支えた12人

タイトル通り、歴史上の人物および現代から日本の思想、文化の形成に大きな影響を与えた12人を取り上げる。意外な選択でその視点は結構新鮮であった。雑誌「正論」への寄稿夫ということもあり、やや右寄りで天皇皇后が4人と皇室礼賛の臭いはある。小津安…