2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

大軍都東京を歩く

戦前の旧軍史跡を訪ねるガイド本。北の丸の近衛師団、代々木練兵場。王子の第一工廠等が歩く地図と写真入りで紹介される。現在まともに残っている建物は数少なく、圧倒的多数は境界石等のトレース。王子の中央図書館は希有な例。徳川系の大名屋敷が明治期に…

それでも前へ進む

硬派のエッセイ。端麗な文章で家族の情景を描く。厳格だった父親との確執。海の事故で亡くなった弟。哀しみを乗り越えて来た母親。そして最初の妻の思い出と自らの半生を振り返る。強調されるのは家族特に親子の情愛。親は死ぬまで子供のことを片時も忘れな…

ことづくりの国日本へ

世界を旅した著者による比較文化論。各国の国民性を独自の喜怒哀楽論で類型化する。それぞれに当然長短有るが、止観により自らを見つめ、さらに一段高めることで、新たな奇跡を起こすことができる。根底には仏教思想がある。出版社もその系統。現政権による…

サバーイサバーイ

チェンマイの日本領事館が舞台。現地採用職員の主人公が、本省組の副領事の悪事をあばく構図。事なかれ主義で妻にも愛想を尽かされた男が真摯に人に向かい合い、現地の人々の信頼を得るようになるまで成長の軌跡がテーマ。最後は勧善懲悪でメデタシだが、決…

儲けたいなら科学なんじゃないの

異色の対談。最先端の科学技術とその応用がテーマ。共に経営の一線を退いた後、豊富な資金を利用してホリエモンは宇宙開発。成毛氏は科学ベンチャー投資に入れ込む。テーマは宇宙、医療、農業、エネルギーと幅広い。ホリエモンはすべてにおいて相変わらずの…

さようならと言ってなかった

都知事在任中、オリンピック誘致合戦の最中に、妻が脳腫瘍を発症。最愛の人を亡くしその後不正借入疑惑で辞任。当時の経過と心境を時系列で記述。同時に大学時代に知り合ってからこれまでの夫婦の歩みを振り返る。売れない作家であった修業時代、小学校の教…

日本の論点

WEB連載の時事批評最新版。分析にとどまらず必ず結論を明確にするところが、著者の面目躍如である。国内と国際の2部構成になっているが、前者の方が賛同しやすい内容。最大の課題は国家債務であるとする。実際の連載は2013年であり情報の鮮度の面で少し…

となりの芝生

著者による悩み相談。これが第二弾のよう。ふざけた質問は軽くいなし、真面目な問題には真摯に応える。大人の男として迫力十分。内容は極めて正論。著者曰く会ってきた人間の数すなわち人生経験が違う。楽しく読めました。となりの芝生作者: 伊集院静出版社/…

町工場の娘

父親の急逝で機械工場の経営を任された著者。工学部の卒業だがその時点では32歳の主婦。リーマンショックの不況を乗り切り、紆余曲折を経て見事に工場を再生する。職人気質の現場を根気強く説得し、新型機械やシステムを積極的に導入、若手の採用も進め技…

経営の失敗学

著者はBCG出身で現在は一橋大で教鞭を執る。ビジネスは本来失敗するものという前提で、本書は書かれている。過去の豊富な事例から避けるべき地雷を明示。論旨は明快で理解しやすい。自分に落とし込むと耳が痛い部分もある。好著である。参考にすべき引用多数…

今治タオル奇跡の復活

斜陽産業であった四国今治市のタオル業界。政府の補助を受けて再生を図る。白羽の矢が立ったのは佐藤可士和。いつもより二桁少ない予算の中で、ブランド戦略をプロデュースした。キーワードは安全、安心、高品質。あえて白タオルで品質を世に問い勝負に出る…

弾正星

戦国の梟雄。松永久秀の一代記。架空の弟が語り部となる。野放図な若い時代から、機知と策略でのし上がり大和一国を支配する。将軍暗殺や東大寺の焼き討ちなど後の信長の手本となる。ある意味極めて合理的。好色で残忍ながら魅力的な人間として描かれており…

母さんの「あおいくま」

ものまね王者の著者の自伝。母子家庭で育ち最愛の母親への想いが綴られる。貧しい生活の中でも常にポジティブで笑いの絶えなかった一家。内気な少年はいつしかものまねに目覚め、時代の寵児となる。実家にはられていたおしえ「あせるな、おこるな、いばるな…

異端児たちの決断

大幅な赤字からV字回復を果たした日立グループ。経営再建を担ったのは一度主流から外れた6人のトップ達。事業決断を早くし大規模な事業統合とリストラを断行。グループとしてのシナジーを求めた。厳しい環境の下で増資を断行。カンパニー制に移行して権限…

命をつなげ

三陸沿岸の大動脈である国道45号線。震災直後の復旧支援に不可欠なこの道路を「開啓」した男達のノンフィクション。官民一体となった自発的な決死の作業により、各地で救援道路が確保された。現場では法の規制や被害者への配慮、2次災害の危険などあらゆ…

ぶどうのなみだ

北海道空知を舞台とした映画のシナリオ。世界各地を周りアンモナイトを掘る女と、ピノワインの醸造を目指してブドウ作りに全てをかける男との巡り会い。それぞれ複雑な家庭環境を抱えるが、一つの夢に向かってやがて心を通わせている。バックに流れるのはク…

名画は嘘をつく

ビジュアル文庫。世界の名画を紹介しながら、そこに隠された嘘を解説するというタイトル通りの内容。美術史家として画家の生きた時代背景から秘められた背景と絵に込められた主題を明らかにしていく。如何に我々がタイトルや現代の常識に惑わされているかは…

風俗行ったら人生変わった

2chで話題になった告白小説。童貞の作者とデリヘルで出会ったヒロインとの純愛物語。純朴な彼女は騙されているともしらず元カレの借金を払うため風俗に身を落とした。著者はやり手の友人と協力して懲悪。彼女を窮地から救う。出来すぎの感じはするが、リアル…

国家経営の本質

80年代の国家リーダー6人を取り上げた研究書。東西冷戦が終結し、歴史的に大きな転換点となった時代。ケインズ経済学がいきずまり、新自由主義に転換したころでもある。評価の高いリーダーたちはどう動いたか。キーワードは歴史に対する洞察力とプラグマ…

慟哭の海峡

台湾とフィリピンの間バシーの海峡。大戦中は輸送船の墓場として恐れられた。やなせたかしの実弟は駆逐艦の聴音担当として戦死。もうひとりの主人公である中島氏は輸送船が沈められ、筏で漂流後奇跡的に生還するが多くの戦友の死を目の当たりにする。戦後は…