2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

未来の稼ぎ方

これからの20年を、年表と業界を立横軸にして予測する。著者は調達を主とする経営コンサルタント。統計的データをベースにするので説得力に富む。内容的には興味深いのだが、やや各章が長い。もう少しコンパクトにまとめてもらいたかった。未来を予測する…

この制御不能な時代を生き抜く経済学

経済時評。豊富な知見とネットワークを活かし、最新の情報を紹介し、解析する。アベノミクスには好意的。ただし消費増税には反対。悪影響を危惧する。日本への提言は、IT化に備えた積極投資と人材の再構築。ベーシックインカムも見据える。徹底した国際主義…

友情2

続編。親友山中教授は今回は編集者の役割。天才ラガー平尾氏への追悼文集となっている。チームメートや後輩、教え子、ビジネスパートナーから家族まで、誰もが人柄に魅せられ、早すぎる別れを惜しむ。難局に立ち向かうレジリエンス。塞翁が馬の精神で後悔せ…

なぜ必敗の戦争を始めたのか

偕行社で行われた、旧陸軍エリートたちの座談会。著者が新たに解説と補足を加えた形式。世にゆう陸軍悪玉論を否定。三国同盟は松岡外相の独走。南部仏印進駐は海軍強硬派の暴走とする。海軍はすでに出師にかかっており、米による石油禁輸は即開戦を意味して…

国家を食べる

食を導入に各国の政情や世相に切り込むルポ。著者は元朝日新聞の中東アフリカ支局長。美味そうな料理と厳しい現実の対比は見事なキレ。日本から距離感の遠い地域の事情をある意味命がけの取材で紹介する。記者らしく文章は簡潔でかつ重い。国民の安全を保証…

世界の中心でAIをさけぶ

著者とカメラマンのコンビ(実際は6名)が西海岸ワシントン州を旅したブログがベース。IT産業の中心であるアメリカ社会を通して近未来に思いを馳せる。既存の国家と民主主義は行き詰まり、ITジャイアントが主導する新体制が生まれる。ほとんどの人間は…

俺たちはどう生きるか

エッセイ集。齢70歳の著者が、若いころの思い出、近況を語り、世相を風刺する。名門高校を出ながら、大学には行かずかなり無茶をした破天荒な人生。失敗の数が現在の芸風を確立。明確な立ち位置の反骨精神には脱帽。常の一般民衆の側にある。感心するのは…

翼を下さい

開戦直前、初の世界一周を果たした「ニッポン号」の物語。毎日新聞社の出資であるが機体は96陸攻。そこにアメリカ人の前年に太平洋上で失踪した女性パイロットが乗り込んでいたというフィクション。実際に失踪事件は米軍によるスパイ容疑もあったとの種本…

記憶屋

都市伝説の記憶屋。人の記憶を消してくれる謎の人物。主人公の大学生の周囲で被害者が相次ぎ、本人も知らぬ間に一部であるが記憶が飛ぶ。途中でやや見えるが、身近な人物が疑わしい。残念ながら予測は外れしてやられた感が残る。ホラーまではいかない良く出…

人質オペラ

フィクション。中東で日本人女性が人質になる。日本側の主役は女性官房長官。そのうち財務大臣の息子も人質になるとの続報。その後政局をにらんだ駆け引き。最後は米軍の爆撃を許容し、見捨てた形。だがどんでん返しはしっかり用意されていた。なかなか楽し…

バルミューダ熱狂を生む反常識の哲学

次々にヒットを飛ばす家電メーカーバルミューダ。創業者社長である寺尾玄氏へのインタビューから。その経営、人生哲学を浮き彫りにする。かなりのカリスマで社員は信奉者がほとんど。その生き方の根本は非常にまっすぐで熱い。参考にしたい点多数。好著であ…

0才から100才の広告コピー

タイトル通り人生のそれぞれに年齢にフィットするコピーを紹介。よくできた構成だが、出典にはやや偏りがある。前半は育児、恋愛系、後半は葬祭系が多いのは致し方ない。汐留の本屋で見かけて存在を知った。これも地域性。 ずっと読みたい0才から100才の広告…

言い訳

著者はナイツのボケ担当。M-1では準優勝にとどまるが、今や東の大関クラスに君臨。現在の東西の漫才界を俯瞰する。M-1自体が吉本主催で大阪のしゃべくり漫才が王道。スタートが不利だが幾多の才能が挑み、スターダムにのし上がる。笑いの内情と推移が…

お金2.0

2.0とは既存1.0に対して新しい世界観を象徴する。著者が予測するのは価値主義。ネット上での評価がお金に取って変わる社会。確かに若い世代にとって金の持つ価値自体が低減していることは理解できる。前半の導入部はやや退屈だが、後半に刺激的で説得…

82年生まれキムジョン

韓国のフェミニズム小説。82年生まれの主人公は男尊女卑の社会の中で、生まれ成長し、結婚、出産する。親世代とは急速に改善方向にあるものの、社会の反感も根深い。最後は精神に異常をきたす。女性同士は互いに名字を知らないことも多いとのこと。本作で…

村上海賊の娘

歴史長編。戦国時代の海賊王村上武吉の娘が主人公。父の資質を最も引き継いだヒロインが木津川海戦に臨む。戦いの悲惨さに一度は引きこもるが、本願寺に残して来た信徒を想い、再び鬼手として水軍を渦中に巻き込む。周囲の登場人物はみな史実上の実在人物。…