2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧

社員を幸せにする会社

表題の通り、社員が喜ぶ3社を紹介。決して大手ではないが、独特の経営哲学で業績は堅調。社員の幸福度は高い。共通するのはノーブルオブラージュ。社会に対する責任をどこにおくかが焦点。経営者のカリスマ性によるところも大きく、哲学が継承されるかが今…

和僑

主人公は地方の町長。大手商社の出身だが、高齢者住宅団地を誘致して赤字だった町を再生する。一次の活況に湧いているが高齢化の進展により二十年先は過剰設備になることが予想される。現況には日本の人口減少がある。より深刻なのは地場産業の農業。後継ぎ…

安売り王一代

ドンキホーテの創業者である著者の自叙伝。ほとんどゼロからの出発で街のディスカウントストアを一大小売り業まで育て上げる。ブルーオーシャンであるナイトマーケットを開拓し、買い物にA(アミューズメント)を取り入れることで、新たな需要を掘り越した。…

花のさくら通り

主人公は零細広告会社の企画担当。経営不振で引っ越した先は寂れた商店街。やがて街の一員となり再生に一役買う。再生への苦闘を縦軸に、若手の恋愛やそれぞれの家族を横軸に物語は展開する。再生を阻むのは旧態依然とした長老連の内部要因。若手は賢明に風…

小説土佐堀川

明治の女性実業家、広岡浅子の生涯を描く。三井家から大阪の豪商加島屋に嫁ぐ。幕末の動乱で傾きかけた身代を才覚で立て直す。炭坑、銀行、保険と次々に起業。時代を見据える確かな眼力とここという時にリスクを取る胆力。その行動力に周囲ははらはらするが…

世界史で学べ地政学

地政学の観点から、現代世界のパワーバランスを解説。歴史的にはシーパワー(米、英、日)とランドオパワー(ソ、中、独)との対決。徹底したリアリストで、各国のエゴとダブルスタンダードは批判する。思想は右寄り。アメリカはすでに斜陽化しており日本と…

幸せの条件

農業小説。中小化学機器メーカーの女性社員が社長の発明したバイオエタノール製造設備の原料確保のため、農村に出される。立ちはだかるコストの壁。ひょんなことから農業法人出向することに。除雪から始めて稲刈りまで農家の生活を体験する。3月に起こった…

アズミハルコは

現代若者小説。高校を卒業した男女がそれぞれさえない生活を送る。平凡なOLのヒロインはある日失踪。一方同級生の男二人は落書きで名を上げる。ハルコの人捜しをモチーフとすることで両サイドが繋がる。地方の小さいコミュニティでありながら人間関係は希…

エヴァンゲリオン化する社会

今も謎の多いアニメ「エヴァ」を題材に、現代の労働環境を語る。作者の主題はもちろん後者にある。登場人物ごとに現代を生きる若者にあてはめてはいるが、後付に過ぎない。これは著者自身も後書きで認めている。使徒を現代社会をつつむ社会不安の象徴とする…

督促OL修行日記

平凡な女子大生がカード会社に就職し配属されたのは、コールセンターの督促部門。気弱な著者は回収の成績が上げられず苦しむ。もともと感情労働で離職率の高い職場。地道に努力をし、先輩方のテクを学んでコミュ力を上げて行く。ユーモアたっうりに書かれて…

移民の宴

日本に長期滞在する外国人の普段の食事を探る。対象はタイ人からイラン、台湾、ロシアと幅広い。特に震災での影響にも触れる。共通するのはコミュニティーを大事にしていることと、日本食は簡単であるという感想。食事から文化の違いが垣間見える良いルポに…

30円のブラックサンダーで100億円企業になった理由。

中小の菓子メーカーであるユウラク。ブラックサンダーの大ヒットで一躍メジャーに。社会現象ともいえる躍進振りをマーケティングや社会学の見地から解析する。基本は高品質のものを低価格で供給する。PRには金をかけず、SNS等で評判になるに任せる。ヴィジ…

与楽の飯

奈良の大仏建立を支えた市井の人々を描く。3年間の使役に徴用された仕丁たち。その食事を一手に担う炊屋の主。工夫をこらし質素な食事にも拘わらず好評をえている。役人との軋轢や望郷の想いなどさまざまなトラブルが起こるが、人脈と機知で解決していく。…

とにかくうちに帰ります

台風で台場(?)に取り残された4人が、大雨の中本土側に向けて橋を渡る。それぞれの事情はあるが、大きなドラマが有るわけでなく細かい心理描写で全編もたせる。どこにでもいそうな一般人の非日常を描く。なんだか不思議な読後感だが悪くはない。とにかく…